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13歳のフィリピン留学 #1

わたしの3番目の息子の話

あるとき、プチンって切れたんです
わたしが

「このままじゃヤバイな」って


彼の生活は
朝起きてスマホ
朝ごはん食べながらスマホ
トイレに行くのもスマホと一緒
学校に行っている間だけスマホから離れていて
帰宅後スマホ
火、木、金、土、日のサッカーの送迎時もスマホ
月と水のオフのときは寝るまでスマホ、もしくは友達とゲームセンター
そしてお風呂もスマホ
ずっとずっとスマホと生活しています

定期テストのときは
さすがに切り替えてはいるみたいだけれど

なぜそんなにスマホを見るのか?

そこにいまどき事情があったのです



なぜ留学を決断したのか

スマホを見る理由

息子に聞いてみたんです
なんで、そんなにずっとスマホを見ているの?って
そしたら
「見ている間は何も考えなくていいから」

「え?じゃあ見なかったら何を考えるの?」
息子は言います
「なんで自分は生きているのか、自分の存在って何なのか」

中学受験の失敗

恐らく、息子は自己否定の塊だったのでしょう
彼は中学受験に挑んだものの、合格することが出来ませんでした
なぜ中学受験したのか
それは単純な動機だったようです
一番上の長男が中学受験をし、その後国立大学へと進学しました
兄と同じ道を辿りたかったのでしょう
私が息子に受験という道もあることを選択肢として提示したことも理由の一つかもしれません
息子は勉強が好きでしたから
長男と同じように勉強が好きなお友達とたくさん出会えてくれたら
親として望んでいたことは否めません

息子は受験することを周りの友達に言いふらしました
不合格の場合、どんなことが起きるのか予想すらしなかったのでしょうね
結果が伴わず、周りの友達からは散々な言葉を投げかけられていたようです
なにより、自分に自信があったのでしょう
「合格しなかった」
その事実のみが彼を大きく支配し
自己否定となり、自分の存在への意味を見出せなくなってしまったのでしょう

周りの環境

私は合格しない、と思っていました
勉強への姿勢を見ていたからです
そして動機
彼の目的は受験に成功することで
その中学でどんなことに挑戦したいか、という明確な目的が無かった
これも恐らく不合格となった理由のひとつだと思います
何度も本当に受けるの?と確認しましたが
彼のプライドが、すでにいろんな人に公言していることが
「辞める」という選択を邪魔していたのでしょう

このことから
私は不合格の場合に備えて学区外の公立中学に進学できるように
市の選択制に申込んでいました
その理由は
小学校のお友達から息子を離れさせたかったのです

彼の周りにいる子は
なぜかみんなお金を持っていました
小学6年生なのに
近くのゲームセンターに毎日のように通っています
子ども同士で夜ご飯を食べに行くこともあります
夜遅くまでスマホで話をすることもあります
SNS上で知らない年上の人と繋がっています

私はとても怖かったです
何度もお金の大切さを説きました
なぜSNSで知らない人と繋がることが危険なのか話しました
しかし息子は彼らをリスペクトしていました
自分の知らないことをたくさん知っていたからです
一緒にいると刺激的だったのでしょう

中学に入り、別々になったはずのお友達
でも、無理でした
LINEで繋がってますものね・・・
家も近いですものね・・・
結局サッカーのないオフの日は、ほとんどそのお友達と一緒に行動していました

そして私にとって衝撃的な出来事が起こってしまいました

消えたお金

最近、コード決済するようになって
現金を使わなくなりましたね
お財布を忘れても、スマホがあれば大丈夫な時代です

なので
時々引き出す現金がどれくらい残っているか
何に使っているか
あまり把握できていませんでした

何度かお財布にあったはずのお金がなくなっていることに気づきます
でも自信がありませんでした
私も多忙で記憶力も曖昧で
あ~ボケてきた?(笑)
なんて思っていたのですが
大きな間違いでした
それと
「まさか…」という思いもありました
息子のことを信じたかったのでしょう

ところがそうも言っていられない事実が発覚します

ある日、クレジットカードの明細をふと見たら
見覚えのない請求があったのです
それも私の会社用のクレジットカードです
経費支払いのときにしか使っていないカードなので
自分が使った記憶のないものということは確かでした

不正利用された!と支払先のサイトに問い合わせました
「ご家族で利用されていませんか?」との問いに
「そんなことありません!」と自信をもって返信しました
しかし、購入した商品を見ると…
あるブランドのペンケースでした
息子は文房具類にドはまりしていたのです

その日のサッカーの送迎の時に息子に聞いてみることにしました
「今日さぁ、ママのクレジットカード不正利用されてん」
「え?そうなん?」
「一回も買ったことのないサイトから請求きてて」
「なんてとこの?」
「BASEっていうねんけどな…」
少し間がありました
そして
「ごめんなさい、それ、ぼく…」
私は内心で
(はぁ~やっぱりそうかぁ…)
という思いと
(しらばっくれんとちゃんと言ってくれた…)
という二つの感情が入り乱れました
帰宅後
息子と向き合って話をしました

今まで私の財布からいくら盗ってきたのか
なぜそこまでしてお金が必要なのか
欲望を抑えることは出来なかったのか
悪いことだという認識はあるのか
そのお友達と仲良くするにはお金が必要なのか

息子はすべて吐き出してくれました
やっていることは悪い事だとわかっていたこと
だけど我慢できなかったこと
友達がうらやましいと思うこと
そんな自分が大嫌いだということ
そして最後には
もうどうすればいいかわからない!
と大きな声で泣き叫びました

14歳差の子育て環境の違い

私の4人のこどもは
一番上が平成11年生まれ、二番目の娘は平成12年
三番目は平成22年、四番目は平成24年生まれです
一番上と一番下の年の差は14歳
上二人の子育て環境と下二人の子育て環境には
大きな違いがありました
この違和感がのちの私の新しい事業へと繋がるのですが
それはまた別の話…

この環境の違いのなかで一番大きな要因が
何度も言うようにスマホです

上の二人のときには今のように誰もがスマホを持っている
そんな環境ではありませんでした
この子たちに携帯電話を持たせたのは高校生になってからです
今では考えられませんね
なぜなら
中学の部活やクラブチームの連絡方法はLINEなのですから
スマホを持っていること前提の活動環境なのです

そしてこのスマホのアルゴリズムが問題なのです
YouTubeやX、TikTokなど、こどもたちが毎日見ているこれらのサイトでは
パーソナライズしたものが表示されます
一見便利なようですが
裏返せば「好きなモノ」「興味のあるもの」しか出てこないため
新しい発見、気づきが生まれません
毎日同じカテゴリのものにしか触れない状況は
視野を狭くしてしまっているという残念な環境であると言えます

息子の周りの友達から影響される内容は
スマホの中でも同じで
そういう意味でも彼は小さな世界から抜け出すことが出来なくなってしまっていたのです

私は子育てにおいて初めて
自分ではどうすることもできないところまで来てしまった
と感じました

友達と引き離したり
スマホを壊したり

そんなことは簡単ですが
最善策ではありません

自分で気づいて
自分で変わって欲しい
そして
周りの友達をも巻き込んで
みんなが良い方向に変わっていってほしい

それが私の望んだ未来でした

そしてそれが叶うものは何か

思い巡らせて
私の出した結論

それは
「日本から出す」
ということだったのです


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