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最近のお気に入り3点(オーケストラ篇)

①カール・ベーム指揮ウィーン・フィル/ヨハン・シュトラウス2世、ヨーゼフ・シュトラウスのワルツとポルカ集(グラモフォン)

 今年のウィーン・フィル・ニューイヤー・コンサート、いかがでしたでしょうか。バレンボイムも流石に年をとったなぁと少しばかり頬のこけた顔を見て思わずにはいられませんでしたが、基本的にウィーン・フィルのしたいようにさせた演奏は実に流麗でした。往年のマエストロ、カール・ベームはニューイヤーに登場したことはありませんが、シュトラウス・ファミリーの作品集であるこのディスク、実に素晴らしい。まるで交響詩を演奏しているかのような緊張感があり、特に『南国の薔薇』の前奏にアッチェレランドには目を瞠るものがあります。

②ロビン・ティチアーティ指揮ベルリン・ドイツ交響楽団/ラフマニノフ交響曲第2番(LINN)

  クラウス・マケラなど若手指揮者の台頭が著しいですが、ティチアーティもそのうちのひとり。個人的には2019年リリースのスコティッシュ・チェンバー・オーケストラとのR・シュトラウス作品集も素晴らしい出来だと思うのですが、このラフマニノフは情に流されない抑制が効いた演奏が魅力的。下手すると冗長になるこのシンフォニーを手堅くまとめた力量にはただならものがあり、今後の活躍にますます期待です。

③マンフレート・ホーネック指揮ピッツバーグ交響楽団/ブラームス交響曲第4番(楽団自主レーベル)

 カルロス・クライバーのエピゴーネンを自称するホーネックですが、その指揮姿はカルロス以上に筋肉質。激しく指揮台を踏む音もよく聞かれます。彼はピッツバーグ響と長年のパートナーシップを築いていますが、これまで発表されてきたディスクはどれも非常に完成度が高い。いつも彼らの集中力の高さに圧倒されます。この4番も1楽章からホーネックの唸り声が炸裂していますが、ブラームスが残した最後の交響曲に求める情念のうねりを余すことなく顕現させている出色の1枚です。E.


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