早稲田音楽同攻会

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早稲田音楽同攻会WEB部室ノートです。好きなCD・レコード・録音、作曲家や指揮者、鑑賞したコンサートの感想など、音楽について会員たちが思い思いに書き込んでいきます。(旧: 早稲田大学音楽同攻会) 公式Twitter→@ondo_waseda

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最近の記事

明日、そしてまた明日

 2022年5月15日(日)。今日はヤノフスキ指揮によるNHK交響楽団の演奏会が執り行われた。会場は池袋にある東京芸術劇場、ホールは5階にある。正面の自動ドアを抜けると、果てしなく高い吹き抜けがそこにはある。エントランスの広大な立体空間に身を置くと、これから控えている演奏会への興奮をいつでも両手に確かめることができる。エスカレーターで5階まで上がれば目当てのホールがある。「待ち望んでいた今日を迎えた」という気分とともに、私たちは演奏会に臨む。今日のプログラムは、シューマン:ヴ

    • 交響曲を、木管五重奏で聴く!#ホットファイヴ #ベートーヴェン

      こんにちは!はっしーでございます。 4月15日に、江古田駅すぐのカフェ・フライングティーポットというプログレ喫茶で行われた、ホット・ファイヴという五重奏団の演奏会に、会員2名で参加いたしました。その演奏会では、とってもおもしろい試みをなさっていたので、それについての感想をまとめさせていただきます。 曲目は、ホット・ファイヴのオーボエ担当の方による編曲で、ベートーヴェンの交響曲第2番と第3番「英雄」でした!プログラムはこちら→ 会場について まず、会場のプログレ喫茶「カ

      • 新入会員募集中!早稲田 音楽同攻会の紹介

        こんにちは!いつもお世話になっております、早稲田 音楽同攻会 幹事のはっしーでございます。この度は、早稲田 音楽同攻会(以下、当会)についてご紹介させてください! ちなみに、当会のホームページ(https://sites.google.com/view/ondo-w/home?authuser=0)もございますので、もしよければそちらもご確認ください。 活動方針 当会は、クラシック音楽を中心として、クラシック音楽に限らず音楽を幅広く、かつきままに鑑賞し、気楽に意見交換を

        • コンサート初心者必見!演奏会の楽しみ方やマナーなど②(開演から終演まで)

          こんにちは、はっしーでございます。 前回から引き続いて、演奏会に行くうえで気を付けたいことについて、開演後から演奏終了に至るまで、ご紹介いたします。 演奏中―しない方が良いこと(マナー) どこかの本を参考にしているわけではありませんが、基本的には「余計な音を立てずに、演奏を聴く」ということが、聞き手の側には求められます。 (この常識も、ワーグナーが登場するまでは全く常識でもなんでもなく、聞き手もうるさいのが当たり前だった、とかいう小話もあります。) しかも、ホールは

        明日、そしてまた明日

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        • サークル員リレーエッセイ「私の好きな曲」
          1本

        記事

          コンサート初心者必見!演奏会の楽しみ方やマナーなど①(~開演まで)

          こんにちは、はっしーでございます。まだまだ寒い日が続いていますが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。 新型コロナの影響で巣ごもり需要が高まる中、クラシック音楽に興味を持つ方が増えてくれるといいなと思いながら日々を過ごしています。そこで、新歓の季節が近いですし、演奏会に行きたいけどどうすればいいのかわからない…といった人に向けて、演奏会へ行くまでどんなことをすればいいのか、ご紹介しようと思います。 また、わたしは直近一年間で30回ほど演奏会に行きましたので、参考になるのではな

          コンサート初心者必見!演奏会の楽しみ方やマナーなど①(~開演まで)

          映画『パワー・オブ・ザ・ドッグ』を観る

           ベネディクト・カンバーバッチ主演の映画『パワー・オブ・ザ・ドッグ』(原題:The Power of the Dog)を観た。ときは1920年代。美しく雄大なモンタナ(撮影地はニュージーランド)の風景とコントラストをなすのが、主人公フィル・バーバンクを中心に展開される愛憎入り乱れる人間ドラマだ。  映画のタイトルは旧約聖書の詩篇第22篇20節「Deliver my soul from the sword, my precious life from the power of

          映画『パワー・オブ・ザ・ドッグ』を観る

          最近のお気に入り3点(ベルリン・フィルのデジタル・コンサート篇)

          ①アダム・フィッシャー2021年10月23日の客演/モーツァルトとハイドンの作品  弟のイヴァンも素晴らしい指揮者ですが、個人的には指揮がより「危なっかしい」感じの兄アダムの方が魅力的な存在です。知られざる名曲、ハイドンの『合唱と管弦楽のための「嵐」』が出色。テキパキと合唱団にキューを出すアダムですが、非常に動的な演奏を実現させています。 ②トゥガン・ソヒエフ2021年9月25日の客演/メインのショーソンの『交響曲変ロ長調』  ベルリン・フィルに客演を重ねているいるトゥ

          最近のお気に入り3点(ベルリン・フィルのデジタル・コンサート篇)

          最近のお気に入り3点(オーケストラ篇)

          ①カール・ベーム指揮ウィーン・フィル/ヨハン・シュトラウス2世、ヨーゼフ・シュトラウスのワルツとポルカ集(グラモフォン)  今年のウィーン・フィル・ニューイヤー・コンサート、いかがでしたでしょうか。バレンボイムも流石に年をとったなぁと少しばかり頬のこけた顔を見て思わずにはいられませんでしたが、基本的にウィーン・フィルのしたいようにさせた演奏は実に流麗でした。往年のマエストロ、カール・ベームはニューイヤーに登場したことはありませんが、シュトラウス・ファミリーの作品集であるこの

          最近のお気に入り3点(オーケストラ篇)

          ワーグナーと「影」

           「夢分析を始めると、まず影の像が出現することを述べたが、夢分析によらない普通の話合いのカウンセリングの場合にも、影の話題がよく出てくる。自分の周囲にいる「虫が好かない人」を取りあげ、ひたすら攻撃する。自分はお金のことなどあまり意に介していないのだが、同僚のXはお金にやかましすぎる」。「話合いを続けてゆくと、結局は、この人が自分自身の影の部分、お金の問題をXに投影していたことが解り、この人がもう少し自分の生き方を変え、影の部分を取り入れてゆくことによって問題が解決され、Xとの

          ワーグナーと「影」

          魔法使いチャイコフスキーとその魔法

          新年のご挨拶 あけましておめでとうございます。  今年も音楽同攻会を何卒よろしくお願いいたします。  音楽同攻会の再建が開始されてから、およそ1年が経過いたしました。1年間、試行錯誤の繰り返し、上手くいったこともあれば、なかなか上手くいかないこともある1年でした。新生音同も2年目に突入です。昨年中は大変お世話になりました。 記事のご紹介 年明け一本目の記事は、今回初の寄稿の会員によるものです。学生オーケストラに所属する会員が、昨年にあったチャイコフスキー特集演奏会で感じた

          魔法使いチャイコフスキーとその魔法

          小林秀雄『モオツァルト』

           23年の人生でどれだけの本を読んできただろうか。部屋の本棚には本が何百冊と並んでいるが、そのすべてを詳らかに読んだわけではないカントの『純粋理性批判』、アドルノの『ミニマ・モラリア』、グラスの『ブリキの太鼓』(やはりドイツものが多い)、あるいは清宮四郎の論集などなど、背伸びして買った本もたくさんある。  自分は多読ではない。多読であろうとしているし、その努力もしているところだが読書における性分は好きな、あるいはこれは大事だと思った本を読み返すというものである。  「You

          小林秀雄『モオツァルト』

          人生初の遠征!@岩手県

          こんにちは。今年から入会させていただいております、会員のはっしーでございます。 この度は、私が日頃から応援させていただいている阪哲朗さんの演奏を聴きたくて、8/3に岩手県南部の一ノ関文化センターにて行われました公演、「ベートーヴェンの夕べ」に行ってまいりました。曲目は、序曲「コリオラン」、交響曲第5番、ピアノ協奏曲第5番「皇帝」でした。ですが、写真を撮ってくるという意識に欠けていたので、文字ばっかりの投稿になってしまいますが、どうか最後まで読んでいただければ、と思います..

          人生初の遠征!@岩手県

          タルコフスキーのサクリファイス

           アンドレイ・タルコフスキーの『サクリファイス』を観た。1986年公開の作品で、カンヌで4冠を達成した巨匠の遺作である。タルコフスキーは次なる作品として『ハムレット』の映画化を構想していたという。「人間的、あまりに人間的」なデンマーク王子ハムレットをどのように描いたのだろうか。54歳での早逝が惜しまれる。  真理というものは極めて明快なかたちで開示されるものだ。新約聖書に登場する「善きサマリア人のたとえ」はその一例である。「行って、あなたも実践しなさい」。盗賊に襲われ、大怪我

          タルコフスキーのサクリファイス

          7年越しのモーツァルト

           最近、音楽を聴けなくなってしまった。クラシックを聴かなくなり、耳馴染みの良い洋楽・邦楽を聴いてみても、良くて10分聴き続けられればよい方で、症状は日に日に進行している。情報を受け付けられない状態に至り、早半年。調子の良い週を除いては、丸1週間音楽を全く聴かないこともザラだ。  すぐに音楽を止めてしまうものの、何とか曲を流すことを試みる日もある。今日のような日である。まずは、軽い気持ちで聴ける邦楽を数曲チョイスして聴いてみた。  しばらく曲をかけっぱなしにしていると、自動再生

          7年越しのモーツァルト

          ベートーヴェン、彼岸より戻る:普遍とは何であろうかを考えるに至った体験について

           哲学的な難しい論議は抜きにして、音楽や絵画といった芸術に触れて深く美しいと感じる時純粋にプラトンがイデアについて言ったことについて納得することがあります。美というイデアがあってそれが様々に形を変えてこの世で表象されている。  普遍とは何であろうか、この問が私の中にはっきりと根付いたのは大学3年生と時にサークルの同期から破格の値段で譲り受けたチケットで行ったコンサートでベートーヴェンの第9交響曲を聴いた時でした。オーストリア生まれの秀才フランツ・ヴェルザー=メストとアメリカの

          ベートーヴェン、彼岸より戻る:普遍とは何であろうかを考えるに至った体験について

          軽めのカルメンはダメです!―T先生の思い出―

           昨年のはなし。一通の年賀状が届いた。それは小学校で音楽を教えてくれたT先生からだった。私の音楽との出会いはほぼ完全にT先生に負っていて、小学校卒業後も何度か家に招いて食事をしたりする仲であったのだが最近は私が上京しているということもありすっかりご無沙汰している次第である。  先生の授業において、指定された教科書を使った例は私が記憶する限りでたった一回、『ふるさと』を習った時である。それ以外、T先生はほぼ教科書というものを使わなかった。T先生は戦後日本を代表する作曲家の一人で

          軽めのカルメンはダメです!―T先生の思い出―