最近のお気に入り3点(ベルリン・フィルのデジタル・コンサート篇)

①アダム・フィッシャー2021年10月23日の客演/モーツァルトとハイドンの作品

 弟のイヴァンも素晴らしい指揮者ですが、個人的には指揮がより「危なっかしい」感じの兄アダムの方が魅力的な存在です。知られざる名曲、ハイドンの『合唱と管弦楽のための「嵐」』が出色。テキパキと合唱団にキューを出すアダムですが、非常に動的な演奏を実現させています。

②トゥガン・ソヒエフ2021年9月25日の客演/メインのショーソンの『交響曲変ロ長調』

 ベルリン・フィルに客演を重ねているいるトゥガン。N響への客演によって日本でも知名度の高い指揮者です(筆者は彼とN響のドボルザーク「新世界」に度肝を抜かれた経験があります)。ショーソンのシンフォニーはメジャーとは言い難い作品。曲の雰囲気がふとした瞬間に変わり、どこかとらえどころないところもありつつ、後期ロマン派の詩情を存分に持った名作です。チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番を演奏したルガンスキーによるアンコール、ラフマニノフの『リラの花』も聴き逃がせません。

③キリル・ペトレンコ2021年10月29日のコンサート/メンデルスゾーンの『スコットランド』

 やや落ち着いた演奏なのが以外。ペトレンコのことですからグイグイ飛ばしていくのかと思いきや抑えめのテンポで『スコットランド』に挑んでいます。近年再評価(というよりも再解釈)がなされているメンデルスゾーンですが、このテンポによる演奏はたしかに、この作曲家の秘められた情熱を浮かび上がらせているようです。

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