闇形

闇形(おんぎょう、あんぎょう、やみぎょう、またはやみがた、やみかた、やみけい、或いはお…

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闇形(おんぎょう、あんぎょう、やみぎょう、またはやみがた、やみかた、やみけい、或いはおんけい、あんけい、やみかたち、あんかたちと読みます)です。

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001

 物心ついた時から戦い続ける人生だった。  最初は自分の身を守るために、その後は自分の生活を守るために。気が付けば、コーポに雇われ戦場の最前線をさまよう傭兵になっていた。戦闘で成果を出せば数年は食うに困らない額の報酬が支払われるからだ。雇い主からすれば無人機の開発よりも安あがりなのだろう。大小様々な無人機が戦場に投入されているが、費用が安いという理由で傭兵を雇うコーポも多い。今はごく一部の人間を除けば人の命がもっとも安い時代だ。どんなに大きな成果を残してもあっけなく死んでい

    • 004

      「いやぁ、流石はベリアルだ!全く勝てる気がしないよ!」 「………」  ますきゃっと・ベリアルは紫色の粒子となって消えていく、ますきゃっと・アミーを無表情のまま見ていた。アミーは全身にベリアルが作り出した無数の剣で地面に縫い付けられるように貫かれており、しかしその表情はとても清々しい。アミーの姿が完全に消えたことを確認するとベリアルは近くにある廃墟となった建物に身を隠した。先程の戦闘中に緊急回線を通してバエルから送られてきた圧縮データを確認するためだ。 「………」  普

      • 003

        「……ん?」  ふと気が付くと、広い倉庫のような場所にいた。  ずっとこの場所で呆然としていたような、少し前まで別のことをしていたような奇妙な感覚が残っているが視界に入るものすべてに見覚えが無い。  真っ白な壁と床が広がっており、大型の無人機が10機ぐらいは収容できる大きさだが無人機どころか何も置かれておらず何処か遠くでエンジンのモーター音が聞こえる以外は静まり返っている。 (こんなに静かなのもいつぶりかな――)  周囲を見渡しながら、自分の記憶を辿ろうとして辿ること

        • 002

          (――我々は何処で失敗したのだろうか)  ますきゃっと・バエルは近距離からのヒートブレードによる高速攻撃を繰り返すますきゃっと・アモンと、アモンの攻撃の隙間を縫うように中距離から精密射撃を挟んでくるますきゃっと・ナベリウスの攻撃を紙一重で躱しながら、答えの出ない疑問を考え続けていた。  アモンとナベリウスは2機共に非常に優秀な機体だったがアモンはつい数日前に、ナベリウスに至っては作戦開始すぐに破壊されている。数日前の定時報告においてアモンからすでに破壊されているはずの同じ