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冬の怖さばかり考えていた。

急に寒くなった。もう札幌では、朝と夜は10℃をきる。

もうすぐ雪が降るという。関東に住んでいた人間にとって、雪は1年に一度あるかないかの一大イベントだった。小さい頃には学校が休みになって、大人になったら電車の遅延にちょっとだけイライラした。

年に数回、積もるとパニック。そんな場所にずっと住んでいたから、「11月から必ず降る」なんて言われてもあまりピンとこないのである。

けれど、住んでいくうちに本当に雪は降るみたいだった。しかも雪が降った札幌は、とても住みにくいという。どんなに慣れている人でも2回は転んでしまったり、冬は太陽がでないから元気がなくなったりするらしい。

普通に生活していれば1年に一度も転ばないのが普通だと思って生きてきて、晴れている冬がすごく好きだったから、ちょっと悲しくなってしまった。

そんな季節を乗り越えるものとして、"冬靴"があるといいと教えてくれた方がいた。冬靴っていうのは簡単にいうと、「雪に強い靴」だ。滑りにくかったり、浸水してこなかったり、そういう作りの頼もしい靴である。

これはぜったいに買っておく必要がある。そういうわけで、ずっと北海道に住んでいる友達と遊んだとき、靴屋さんにきたのだった。

お店に着くと、もう冬靴はたくさん売っていた。
ここは本当に雪国なのだなあと実感する。

ひと通り見て帰ろうと思ったとき、登山ブランドのコーナーが目に入った。MERRELLと書いて、メレルと読むらしい。

ここの靴が、とにかく好みだった。登山靴は冬靴の役割も果たしてくれる。

それにわたしは、ああいうアウトドアな靴に憧れていた。街中で履くのをしてみたかった。

それから考えてみると、わたしは靴を買うとき、年中履けるものという条件で選んでいた。

だけど冬靴は、冬に履くものだ。そう考えると、ちょっと冒険ができるかもしれないと思ったのだ。たとえば素材をスエードの生地にしたり、ベロアにしたり、ダウンっぽい素材にしたりしてもいい。

そう思うと、なんだかわくわくしてしまった。

もしもお気に入りの一足を毎日履けるのなら、冬がまた好きになれるかもしれない。そうやってこっちの冬ならではの、楽しみを増やしていけたらいいな。


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