見出し画像

世界の学校から“良い教育”を学ぶ旅@マレーシア 〜教育移住する日本人が増えているワケ〜

【はじめに】

 近年世界中から教育移住が増えているマレーシア。そのワケを知るために、マレーシアで最も有名な学校の一つであるISKL(THE INTERNATIONAL OF KUALA LUMPUR)というインターナショナルスクールを訪問してきました。

 日本の教育と比較することで見えてきた“良い教育”についてのヒントを皆さんにも共有したいと思います。(今回の記事はかなりボリュームが多いので、見出しの気になった箇所だけでも読んでいただければ幸いです)

【結論】

マレーシアに教育移住するワケを簡単にまとめると…

◯選択肢が豊富で子どもに合った学校を選べること
◯異文化交流で多様な価値観を習得することができること
◯国際的に活躍できる力を育てることができること

の三つが大きな要因だと考えました。

 まず、一つ目の選択肢が豊富ということについてですが、マレーシア国内にはインターナショナルスクールが約170校あり、これは東南アジア最多です。イギリス式カリキュラムやIB(国際バカロレア)、アメリカ式、カナダ式、オーストラリア式などがあり、卒業後英語ネイティブの国にある大学にスムーズに進学できるように組まれています。

 次の二つの点については、実際に見学した学校と日本の学校を比較しながら分かりやすく解説していこうと思います。

【教育の目的とカリキュラム】

 まず初めに、この学校の教育の目的に感動しました。ホームページには「地球市民にインスピレーションを与えること」とあり、国際社会で活躍できる人材を育てるということを目的としていることが一発で分かりました。
 
 そのために国際的に通用する大学入試資格(国際バカロレア資格)を与え、大学進学へのルートを確保することができるようになっています。

 また、72カ国から生徒が集まっており、子どもたちは常に異文化交流が行われ、多様性に向き合う機会があります。母国語や文化が全然違う人種の子達がごく自然に一緒に勉強する姿を見て、「これが世界中で行われたら世界は平和になるのかな…」なんて思った程でした。

 また、教師も様々な国から集まってきているため「文化の違いが原因で起きるトラブルへを解決するために大切な考え方を生徒に教えながら、生徒の問題解決力も育てていくことができる」と案内人が話をしてくれました。

◯この学校と日本の一般的な学校を比較すると…
・国際的な視野や多文化環境を重視している点
・国際バカロレア資格の取得を提供している点

 が異なる特徴として挙げらます。日本の教育では、一般的には国内の学生が主体であり、多文化環境や国際バカロレア資格の取得は限られた状況しかありません。

【学習環境】

 学習環境がとにかくすごかったです。子どもが思いっきり遊べるアスレチックがあると思ったら、となりにはくつろぐスペースがあり、静かに学習できる環境もありました。教室の数やグラウンドの大きさについては、私立の学校でお金をかけているので何とも言えませんが、多様性のある子どもたちがそれぞれの目的のもと、他人に迷惑をかけずに自分のやりたいことに夢中になれる環境は、真似できる部分があるなぁと感じました。

 また、学習中には、一人でタブレットを使って熱心に学んでいる子もいれば、先生に粘り強く尋ねる子、あるいはお友達と何やら熱心に話し合いをしている子もいれば、ゆったりと休憩している子もいました。それぞれが自分のペースで、自分に合った方法で学習をしている様子でした。

◯この学校と日本の一般的な学校を比較すると…
・学習環境に多様性があるという点
・学習の個別化がより重視されている点

 が異なる特徴として挙げられます。一般的に、日本の教育では、教室や学校の環境は比較的統一された形式であり、学習の個別化や自由な学びの選択肢は限定的な場合が多いです。

【生徒と教師との関わり】

 冒頭にもあったように、生徒がとっても自立している様子でした。「なぜここまで生徒たちは自立しているのだろう。先生との関わりに何かヒントがあるのではないか」と思い、生徒何人かに先生についてどう思っているか聞いてみると、「厳しい感じではなく、フレンドリーに話すことができる」「教えてくれるというよりは一緒にサポートしてくれる」と答えてくれました。

 授業の様子を見ても、先生は初めに少し説明をした後は、思いっきり子どもたちに委ねている様子でした。子どもたちは自由に席を移動して先生に質問をして先生と一通り話をした後に、また友達と協力しながら学習を進めている様子でした。

 また、案内人によると、学校の先生は子どもたち一人ひとりのニーズ(何が好きなのか、何に情熱を注いでいるのか、将来何になりたいのか)を把握し、それに合わせて関わり方や教え方を合わせるように努めているのだそうです。それを実現できるのも一クラス18〜20人程度で、さらには一クラスに2人の教師がついていることも要因だと考えられます。

◯この学校と一般的な日本の学校を比較すると…
・生徒が自立して学ぶために個別対応が充実している点
・小規模なクラス環境や教師の数充実している点

 が異なる特徴として挙げられます。一般的に、日本の教育では大規模なクラスや教師一人に対して多数の生徒がいることが一般的であり、個別のニーズへの対応が限定的な場合があります。

【終わりに】

 最後に、何人かの学生に「勉強は好き?」と尋ねてみました。すると、即答で「大好きです」と答えてくれました。「先生は私の好きなことや夢を応援してくれていて、その夢のために勉強できているから勉強は楽しい」のだと話してくれました。日本に「勉強が大好き」だと言える子どもがどれだけいるだろうか。子どもがそう言える環境を作っていきたいと強く思いました。


〜プロフィール〜
大好きな「学校の先生」という仕事を辞めて世界一周中の27歳です。

学校現場に危機感を覚え、日本で「新たな学校のスタイルを築きたい」と思うようになったからです。

日本の学校と世界の学校を比較して「良い教育とは何か」について考えを深めいくとともに、公立でなくても無料で教育が提供できるモデルケースを世界の学校から学んでいます。

一緒に旅をしているつもりで、リラックスして読んでいただけると幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?