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第七話: ワーカー達から村祭りに招待される 前編

私の世代(40代前半)ですらかなり以前には無くなった習慣ですが、サザエさんとか見ていると ーまぁ、それもテレビ版じゃなくて原作の方ですが。 会社の上司が家に来るからと、奥さんが慌てて支度をしているのを見たりしますが。

と言う例え話をした所でどの世代に響くんだろう?と言う位に今の日本では完全に忘れ去られた風習。

そんな事が今でも行われているとしたら?

ラオスの工場に人が集まり、少しずつではあるものの、作業を教えて、ラインを作って、ようやく生産が始まった頃。終業のミーティングをしてみんながロッカールームに向かうときに、ワーカーのオイちゃんがティプさんの所に行って何か話してる。

オイちゃんは、私が12月にラオスに来た時から働いてくれている子で、真面目にコツコツ仕事してくれるタイプの子。

ティプさん: オノさん、オイちゃんの地域は明日がブンバーンだから、午後から休ませて欲しいって。

ブンバーンとは、村祭りと言うかパクセーにはそれこそ地域毎にお寺が建っていて、そのお寺の年に一度のお祭りがあると。なんと言うか日本で言う例大祭みたいな物で、その地域のお寺毎に開催日が違う。既にこのブンバーンの時は地域の子が休みを取ると言うのは他の日系企業の人から聞いていたので知っていたし、祭事はその国の習慣だし宗教なので彼女の申請を承認するつもりでいた。

私: そうなんだね、休んでも大丈夫だよ。

ティプさん: それはそうなんだけど・・・オイちゃんがオノさんをお祭りの時に家に招待したいって。

え?そう言うのに招待してくれるの?

そもそも、このオイちゃんの家、その当時私が住んでいた会社から5キロ先位の地域で管轄しているお寺も同じ場所なので、なんなら自宅から歩いて行ける場所にお寺がある位。

元々日本でもお祭り好きなので、当日は1人で祭見物でもしようかと思っていた所だったのでちょうど良いかなと、その招待を受ける事に。

ティプさん: あと同じ地域に住んでいるケットさんとブアカムさん、ノイさんもお休みです。

まぁ、そうだよなぁって程度で彼女達も休みを承認して翌日。

仕事が終わってから、車を自宅のガレージに入れて、ティプさんのバイクでオイちゃんの家まで。

流石に近くに住んでいるのは知っていたものの、具体的に何処に住んでいるのか迄は知らなかったのでティプさんに道案内して貰うんだけど・・・

え?この林の中を超えるの?

ってか、これはお寺の裏手側?そんな所にオイちゃんの家はあった。

1階はコンクリート造りで2階の住居部分が木造の2階建て。上の階ではオイちゃんのお父さんの仲間が飲んでいるからと1階の部屋に案内される。

そして、Beer Laoと、料理が運ばれてくる。お祭りの時の料理として定番なのがカオプンと呼ばれる米粉の冷麦みたいな麺に、キャベツやインゲン、香草などの野菜を載せて、鶏を煮込んだ出汁にこれまた香草や豚の血を固めたパテなんかを入れたスープをかけて食べる。

これが個人的にはとても美味しかった。

なんと言うか、具沢山なぶっかけ?鳥スープの冷やし中華?みたいな感じで、ザクザク食べられるし、味も複雑でおいしい。

それとビール。

Beer Laoは実は『東南アジアで1番美味いビール』と言われるだけあって、本当に美味しい。基本的に私はビールが苦手だったのに、Beer Laoは苦味は少なくて軽い飲み口なのに、飲み応えはしっかりしていると言うか。後で考えたら、そりゃそうだよなって話なのですが、その話はまた今度。

オイちゃんの家には私とティプさんだけではなく、ワーカーのブアちゃん、ケットさん、後からブアカムさんも来た。

食事とビールが2本程空いた所でオイちゃんのお母さんとお父さんに挨拶。

私: オイちゃんは会社で凄く頑張って働いてくれていてとても助かっています。どうもありがとうございます。

ってのをティプさんに訳してもらってお伝えする。

オイちゃんの両親も喜んでくれたみたいだった。

感じたのは、確かにワーカー本人とは会社で会うし、ラオス語は分からなくてもティプさんを通じて話をしたり、一緒に食事をしたりはするけれども、彼女達の親に、直接お礼を言ったりこんな人と仕事をしているんだって理解してもらえるのはとても良い事なんじゃないかなぁと。

ましてや、自分の愛娘が働いている会社の上司が外国人な訳で、どんな奴なのかは気になるだろうなと。親御さんが安心してくれたら、ワーカー本人も気持ち良く働けるんじゃないかなと。

いやはや、今回はオイちゃんの家だったけど、まぁこれを機に他のワーカーの子達の家も1年くらいかけて周らないとダメかなぁ・・・

とか考えていたら

ティプさん: それじゃあ、次の家に行きます。

私: え?

ティプさん: 次はノイさんの家です。

おぉ、今日は朝から休んでたノイさんね。確かに彼女もこの辺に住んでるんだっけか・・・

そして、ノイさんの家。
ノイさんも12月から働いてくれているワーカーで、旦那さんと娘が居るのは知っていた。なので今度は旦那さんに挨拶。

このノイの旦那さんには後から沢山世話になるし、色々あった(笑

そしてここでもカオプンが出てくる。
まぁ、2軒連続でもしょうがないよね、まぁお祭りの食べ物だって言うし・・・カオプンとビール。
メンバーはブアさんのお姉さんと旦那さんも加わる。

このブアさんのお姉さんと旦那さんは、工業団地内にあるキャンティーン(食堂)の料理人で彼等もいつもお世話になっている人達。

そんな訳でみんなでワイワイ飲む。

ティプさん: 次はブアカムさんの家が隣なので行きましょう。

3軒目にブアカムさん宅。ブアカムさんの旦那さんにご挨拶。ここでもカオプンが出てくる。

・・・流石に3杯目のカオプンはさぁ。
確かに、家毎にスープの味付けは微妙に違いがあって面白いんだけど、なんだかんだビールもそこそこ飲んでる訳で・・・

でも、食べない訳には行かない、

食べなきゃイケナイ義理があるっ!

そんな訳で食べる。

ティプさん: 最後はケットさんの家にも行きます。

私: お、おう・・・

ちなみに。
まぁ、アタシがこの子達のボスな訳です。
そしてそのボスが家に来ると。

まぁまぁ1杯どうぞ、


ってなるじゃないですか。

ワーカー本人はもちろん、そのお父さん、お母さん、旦那さん、その他こんな場所に来る日本人が珍しいと思った関係者とかがこぞって、私のビールが無くなると同時に注ぎに来る。

ビールとカオプンでお腹がパンパンになってる。

酔っ払うとかそう言う前にお腹がキツい・・・

そんな中、ケットさんの家も無事、ご両親にご挨拶をして・・・

さて、お寺の方に行ってみましょうか。

普段よりも長くなってしまった。
次回に続きます。

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