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対話

近所の川沿いを歩いていたら目の前に2匹の雀がとまった。
「チッチチチチーチ」
「チチッチチュンチ」
「チチチチーチュン」
「チチー」
鳴いてから飛び立った。

少し歩いてから気付く。
あれ?さっきのって。
あれ?やっぱ、どう考えても対話していた。
何を話していたのかもわからないけれどあれは対話だ。
間違いない。
そうだっけ?鳥って対話できるんだっけ?

カラスの鳴き声を研究している方がいて実はかなりの語彙力があるという。
頭の良い鳥で人間で言えば2歳児ぐらいの知能があると聞いたこともある。
カラスにはカラスの言語があって一つのコミュニティの中で共有している。
だから一匹に敵認定されると集団で襲われることもあるらしい。
そう考えれば他の鳥だって言語を持っていてもおかしくはないのか。
でも海外のカラスと日本のカラスで同じ言語ってこともあるのかなぁ。
どうなのだろう。

ふと友達の言っていたことを思い出す。
そいつは子供の頃、飼っていた鳥と会話が出来たのだそうだ。
うそつけー!とか言っても、かなり本気の顔で出来たと言っていた。
今の僕の耳では聴こえないモスキート音も含めれば鳥の鳴き声は現在の僕が聴くよりもずっとずっとバラエティに富んでいるのかもしれない。
まだ日常会話程度しか話せない子供の頃であれば仲が良い鳥と意思を通わせるうちにある程度話せるようになっていてもおかしくないのかな?
子供の頃の記憶なんてどこかで自分で修正してしまうところがあるけれど、ありえない話じゃないのかもしれない。
鳥と話す子供は想像よりもいるのかもしれない。

今はスマフォのアプリで自由に様々な言語を翻訳してくれる。
鳥にも共通語があるのならいつか大人でも鳥と話せる日が来るかもしれない。
良い天気ですねぇ。暑いけどさ。なんて。
犬でも猫でも猿でも鳥でも。
ドラえもんの道具みたいに話せる日もそう遠くないのかもしれない。
実際、猫語翻訳のアプリはまだ遊び程度とはいえ出ているしさ。
まぁ一方的なだけじゃなくて人間の言葉を鳥語にしてくれないと会話は成立しないのだけれど。

でもどうかな。
あの雀たち。
絶対にこっちが何を話しているかわかるまいって思ってるよな。
もし言葉がわかるなら話していないようなことを話しているかも。
人間の悪口とか言ってるかもしれないもんな。
会話出来たら楽しそうだけれどそういう壁はあるんだろうなぁ。
だって人間同士にだってあるのだから。
心の壁、言語の壁。
ましてや多くの動物は人間が怖いはずだからさ。

「ねぇねぇ人間が近くにいるよ」
「だいじょうぶだよ、距離があるし人間は遅いからさ」
「でも捕まったら、舌を切られるらしいよ」
「それはおばあさんだろー!」

なんてさ。
聴こえてきたら笑っちゃうね。

あ。でもね。やっちゃうらしいのよ。僕。
鴨とか、鳩とか。燕とか。
話しかけちゃうの。
そこでなにしてんの?とか言っちゃうらしいの。
ちっちっちとか言っちゃうらしいの。
人がみたら怖がるからやめた方がいいって言われた。

あれ、もしかしたらちゃんと向こうは聞こえて理解してるのかもな。
そんな気もする。

映画『演者』

企画 監督 脚本 小野寺隆一
音楽 吉田トオル

「ほんとう」はどちらなんですか?

◆終映◆
2023年3月25日(土)~31日(金)
K'sシネマ (東京・新宿)

2023年4月15日(土)16日(日)
シアターセブン(大阪・十三)

2023年4月15日(土)18日(火)21日(金)
名古屋シネマテーク(愛知・名古屋今池)

出演
藤井菜魚子/河原幸子/広田あきほ
中野圭/織田稚成/金子透
安藤聖/樋口真衣
大多和麦/西本早輝/小野寺隆一

撮影 橋本篤志 照明 鈴木馨悟 録音 高島良太
題字 豊田利晃 絵画 宮大也
スチール 砂田耕希 制作応援 素材提供 佐久間孝
製作・宣伝・配給 うずめき

【あらすじ】
昭和20年春、終戦直前のとある村。嶋田家に嫁いだ3人の女たち。
血の繋がらない義理の三姉妹は男たちが戦時不在の家を守り続けている。

家長であるはずの長男の嫁、智恵は気を病んでいた。
三男の嫁、恵美は義姉を気遣う日々を送っている。
次男の嫁、陽子は智恵がおかしくなったふりをしているのではと疑っていた。

やがて魔物が再び女たちの前に現れる。
世界は反転して、演技は見抜かれる。

投げ銭は全て「演者」映画化計画に使用させていただきます。