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映画『演者』公開16日目

ユーロスペース6日目。
これで残すところあとたったの1回。
すでに寂しくなっている。

今日は前日より少しだけお客様が減ってしまった。
大反省。キリキリと胃が痛む。
映画館に申し訳ない。恩返しができない。
ただ来てくださったお客様たちの顔は僕を暖めてくださる。

もう32年も前に僕は芝居を始めたのだけれど。
その頃の同期が3人で観に来てくれた。
お互い芝居をどこかで頑張っているのは知っていたけれど。
なんだか時の流れというものは凄いものだなぁとしみじみ。
長く芝居をやっている女優の言葉だから少し恐かったんだけれどさ。
なんだかすごく心温まる言葉をもらった。

あ、今日、初めてぐらいなのだけれど。
ちゃんとした否定的意見ももらえたのです。
それはほんとうに心から嬉しかった。
思わず嬉しそうに、ほんとうに!?って言っちゃうという。
おかしいよね、普通に考えたら。
でも僕はそれも待っていた。
わからないっていう言葉は前にもらったことがあったんだけれど。
その意見も納得は出来る意見、そうだよなって思った。
傷つくとか、落ち込むとかはない。
僕の中で確固としたものがもう出来ている。
それは評価してくださったお客様の声で出来上がったものだ。
それだというのに否定的意見に喜ぶ自分が気持ち悪かった。

登壇するトオルさんとも、音楽の部分で好きじゃないっていう書き込みがあったんですよと話したときに、二人そろって「それは嬉しい意見だなぁ」って言っちゃうという。
なんというか、それをわかっていてあえての部分だから、そういう意見が出ないとおかしいと思っていた部分で。
だからこそ、あ、その意見は待ってた!みたいな感覚だった。
そして逆に言えば、それだけたくさんの人に素晴らしいと言われているということだからなのだけれど。

映画を創って心から思うこと。
色々なさ、評価基準みたいなものがあるでしょ。
なになにの賞だとかさ、ランキングとかさ、点数とかさ。
きっとそれで自信をつける若い監督もたくさんいると思う。
でもそんなものは実は大したことなくて何かのきっかけで簡単にポッキリと折れてしまうようなものだよ。自信というよりも自尊心にしかならない。
どんなに徹底的に創り込んだって良い評価も悪い評価も出てくるし100%支持されるなんてことはない。
今、かっこいい監督たちだってデビュー作は賛否両論で興行的にもつまづいた人なんてたくさんいる。
でもさ、ほんとうの自信みたいなものがある。
流動的な数字ってやつでも、友達とか知り合いからの支持でも、わずかな審査員の言葉でもない、もっとすごいもの。
それは誰かの心が動いたんだっていうことを実感することだ。
観てくださった方の心が動いたこと以上に自信がつくものなんてないと思うよ。
それ以外をくだらねぇとまでは言わないけどさ。

だから僕はこの作品に大きな自信を持っている。
今日も目を潤ませて話しかけてくれたり、質問してくれた方がいた。
あなたのおかげで僕は大きな自信をもらったのです。
なんと大阪のシアターセブンで出会った方が渋谷まで来てくださった。
その女性の顔をみたとき、あれ?って思っていたのだけれど、パンフレットに僕のサインと一緒にシアターセブンって書かれていて、わあ!ってなってさ。
また映画も観たいし別の映画館でも観たいし監督にも会いたかったですなんて言われちゃってさ。
そんなことが毎日毎日続いている。

こうやって映画好きな方々が足を延ばしてくださってさ。
噂が拡がって口コミでお客様が来てくださっているのにさ。
もう最終日だなんてとても信じられない。
これから噂が噂を呼ぶかもしれないのになんて考えてしまう。
今日、チラシを最後の一枚まで配り切ったんだけれどさ。
すごく観たいんですけど時間的に遅い時間は難しいので、どこかでまた上映してください!なんて言ってくれる方もいらっしゃって。
少しご高齢だったしSNSとかはやっていないと思うのです。
どこかで誰かに何かを聞いたのか、チラシか予告か。
わからないけれど、やっぱりじわじわと拡がっているんだなって思ってさ。

夢かもしれないのはわかっています。
そんな事起きたら奇跡だっていうのもわかってる。
でも最終日、いや僕たち的には千秋楽。
満席で終わりたいって、心から思ってる。
ユーロスペースへの恩返しでもあり、同時に僕自身がその光景を見たい。

きっと、行こうかなってところで止まっている方がいると思う。
行けたら当日券で行きますという方もいると思う。
行きたいんだけどどうしようかなぁっていう方もいるはずで。
もしかしたら今から興味を持つ方もいると思うのです。
そんな皆様の背中をどうやったら押せるのかなって考えています。

まだ観ていない皆様が足を運んでくださいますように。
そしてすでに観てくださった皆様も、最後の最後にもう一度、観てやってください。
観れないという方も、どうかお友達に「つまらない」でも「むずかしい」でもなんでもいいから一言でも伝えてください。
それが難しかったらSNSで情報拡散だけでもしてくださると嬉しいです。
公式アカウントはこれです
このnoteを拡散してくださるだけでも嬉しいです。

観て欲しい人もいっぱいいるんだ、ほんとうは。
あの子とかさ、一緒に映画の話をしたあの子とかさ。
一緒に映画を創ったりしたあの子とかもさ。
一緒に木刀振り回して殺陣の稽古をしたあいつらとかさ。
連絡先すらわからなくなっている人もたくさんいる。
もしかしたら、誰かのSNSで知ってくれるかもしれないしさ。
そんな人にも届いちゃうのがSNSだもん。

これを書いている最中に予約が一枚入ったようです。
ありがとう。あなたに逢えるのを心待ちにしています。
眠って起きたらまた予約が増えるかな。増えないかな。

そして迎えるのだ。
大千秋楽を!!!!


映画『演者』
企画 監督 脚本 小野寺隆一
音楽 吉田トオル
題字 豊田利晃

「嘘ばかりの世界」だ
  「ほんとう」はどこにある

【上映館】
・2023年11月18日(土)より
ユーロスペース(東京・渋谷)
http://www.eurospace.co.jp/

出演
藤井菜魚子 河原幸子 広田あきほ
中野圭 織田稚成 金子透
安藤聖 樋口真衣
大多和麦 西本早輝 小野寺隆一

撮影 橋本篤志 照明 鈴木馨悟
録音 高島良太 絵画 宮大也
スチール 砂田耕希
制作応援 素材提供 佐久間孝
製作・宣伝・配給 うずめき

【あらすじ】
昭和20年春、終戦直前のとある村。嶋田家に嫁いだ3人の女たち。
血の繋がらない義理の三姉妹は男たちが戦時不在の家を守り続けている。

家長であるはずの長男の嫁、智恵は気を病んでいた。
三男の嫁、恵美は義姉を気遣う日々を送っている。
次男の嫁、陽子は智恵がおかしくなったふりをしているのではと疑っていた。

やがて魔物が再び女たちの前に現れる。
世界は反転して、演技は見抜かれる。

◆終映(特別限定先行上映)◆
・2023年4月15日(土)16日(日)※限定2日間
シアターセブン(大阪・十三)
・2023年4月15日(土)18日(火)21日(金)※限定3日間
名古屋シネマテーク(愛知・名古屋今池)
・2023年3月25日(土)~31日(金) ※限定1週間
K'sシネマ (東京・新宿)

投げ銭は全て「演者」映画化計画に使用させていただきます。