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光を照らしておくれ

一人のスポーツ選手が信頼している人に裏切られた。
センセーショナルに多くの報道番組が報じた。
それもトップニュースでだ。
2つ目のニュースが機能性表示食品で死者が出たこと。
3つ目に政権与党の裏金問題を取り扱っていた。
そういえばその間にアメリカの橋が崩れる映像も流していた。

スマートフォンのニュースアプリとはまるで違う。
それはそうだ。
普段から読んでいるニュースを記録していて、関心度の高いニュースをより目立つ場所に配置しているのだから。
関心の高いニュースが矢継ぎ早に表示されていく。
関心度の低いニュースはいつまでも低いままだ。
下手をすれば表示すらされない。

司馬遼太郎という小説家は歴史に埋もれた人に光を当てた。
誰も知らなかった歴史上の人物を小説にした。
ピックアップだ。
日本人が歴史上で好きな人物の上位になる坂本龍馬も「竜馬がゆく」がなければ未だに埋もれたままだった。
ニュースとは興味関心が高いから見るものではない。
誰かがピックアップして知っていくものだ。
新しく知るべきことだ。

報道番組が視聴者の関心の高いニュースを報道するのはどうなのだろう。
まだ視聴者が知らないニュースをピックアップするべきだ。
偏向報道に厳しくなってから、どんどん劣化しているように感じる。
まだ日も浅いのにモスクワのテロのニュースは流れなかった。
ガザのこともウクライナのこともすっかり忘れられているかのようだ。
視聴者の関心が低いのが原因なのかもしれない。
でもさ。報道が視聴者に寄り添っちゃダメだろうと思うんだよ。
だってそれはもうニュースでも何でもないからさ。
モスクワのテロについてプーチンやバイデンやトランプやマクロンが何を発言したのかテレビでしかニュースを見ない人はほとんど知らないままだろうなぁ。

大谷選手のニュースは確かに関心度が高いだろう。
それでもスポーツニュースの中のほんの一部での報道でいいはずだ。
大スターだけれど、それを掘り下げるのは報道番組がやることじゃない。
ピックアップするべきだ。
それでいて報道キャスターは真面目な顔してこんなことを言うんだよ。
「国民の政治離れが深刻です」だってさ。
無責任じゃないか。報道の政治離れの方が深刻じゃないか。
選挙シーズンになれば必ず口にするんだろ?
なんだったら「若者の政治への無関心が」とか言い出すんだろう?
一切の恥ずかしげもなく。

信頼している人に裏切られた。その告白。
何度も何度もループして放送されてた。
あれはドラマだ。
心理学者が発言を分解して、表情の変化まで分析してる。
弁護士が偉そうに発言内容から勝手な妄想を口にしていた。
その全てのコメントがただのおかずだった。
主食は、裏切られた人の持つ悲哀。辛苦。
それを食らうのか。
かわいそうねぇと同情するのか。
それをみてニュースをみたなぁと思っているのか。
本質はどこにある?

僕はたくさんの矛盾を目にして憂鬱だよ。
知らないことは知らないままでいいんだ。
関心のあることだけ知らせてくれたらそれでいいんだ。
現実が苦しい醜い世界なら目を閉じればいいんだ。
今日もご飯は美味しいし、楽しいことはたくさんあったんだ。
僕はたくさんの矛盾を自分の中にも見つけているよ。

爆薬を抱えた無人機が飛び回ってる。
どれだけ逃げても追ってくる。
かろうじて反撃した所で無人機が墜落するだけだ。
そしてまた新しい無人機が空をうろうろしている。

見上げれば丸い月。
月灯りほどの光の中で。
僕たちは頭上の無人機を探さなくてはいけない。
照らしてほしいよ。
照らしてほしいよ。

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