その4 『心在らずフェス』 -夢中のストラット
悪夢だった。最初、星空かな、と
思った。近寄ると、大勢の観客が振
るペンライトだとわかった。「ここ
は自分の来る場所じゃない」と思っ
たのに、帰らせてもらえない。
中央に、スポットライトに照らさ
れた、とても狭いステージがあった。
私は後ろも振り返れずに、照明の真
下に立った。いや、立たされた。そ
の途端、照明は消え、星々は、その
手に摘んだお札を、私に向かってヒ
ラヒラさせながら、みんな暗闇に帰
っていった。お札が擦れる音が、ま
るで虫の羽音のようだった。私だけ
が一人残さ