人類で初めて食べた人のきもちを知ってみる
新しいお家探しのために横浜に2週間滞在して、約半月ぶりに淡路島に帰ってくると、すごい状態になっている庭が出迎えてくれました。
雑草がボーボーに生い茂っている光景を見てボー然。
初夏で植物の生長が旺盛なこの時期なので覚悟はしていたのですが、予想をはるかに超えるジャングルっぷりでした。
その週末に友人が遊びに来てくれる予定だったので、こんな状態でお迎えするのはちょっと忍びないなと思って雑草を刈ることに。
翌日からはしばらく雨の予報だから、なんとしてでも今日中にやり終えたい。
その熱意から湧き出るエネルギーで作業をすると、数時間で無事に綺麗な庭に戻ったのでした。
その晩から雨は降り始めました。
一夜明けると雨は強くなっていて、朝からザーザー降り。
昨日のうちにお手入れを終わらせておいてよかったなと思いながら、リビングの掃き出し窓から庭を眺めていると、おや?あれはなんだ?というものが目に飛び込んできました。
昨日まではなかった得体の知れないものが庭一面を覆っているのです。
急いで庭に出て確かめると、なにこれ?!と思わず叫んでしまいました。
ワカメみたいなものが一面に繁殖しているではありませんか!
おそるおそる手に取ってみると、それはやっぱり海藻にしか見えません。
言葉で説明するよりも写真でお見せしたほうが早いので載せますね!(若干閲覧注意です)
3年もかけて作り上げた愛しいマイガーデンが、2週間の留守のあいだにワカメの養殖場のようになってしまったこの事実をどう受け止めていいか分かりません。
一体何があったのだろう?
頭の中をさまざまな仮説が猛スピードで浮かんできます。
近所の子どもたちがいたずらで「ふえるわかめちゃん」をまいたのかな。
去年庭で干したキクラゲとアオサの破片がザルからぼれて二つが交配しちゃったのかな。
果てしなく脳内妄想は広がりますが答えは見つかりませんでした。
こうなったらグーグル先生に聞いてみよう。何か情報が得られるかもしれない。
そう思って家に戻って、さっそくスマホで検索してみました。
「庭 海藻のようなもの」という二つのワードで検索してみたら、その正体はイシクラゲというものでした!
乾燥時は小さくカサカサに縮んで休眠状態に入って見えなくなるのですが、雨が降ると水を吸って膨らんでプルプルのワカメ状になるのだそう。
だから雨が降って急に庭一面に現れたのですね。
厳密に言うとこれはワカメのようだけれど海藻ではなく、クラゲという名がついているけれどクラゲでもなく、藍藻という藻類の一種であるとのこと。
しかも、なんとこのイシクラゲは食用になるそうで、栄養価が高くスーパーフードとして昔の人は食べていたことも判明!
食べ方はスープ、混ぜご飯、つくだ煮、酢の物、味噌汁など本当にワカメのように食べることができるそうです。
というわけで、勇気を振り絞ってトライしてみることにしました!
きれいそうなところを食用に取り分けて、ザルに乗せて乾燥させていきます。
実際はこの10倍くらいの量が採れたので相当の量が繁殖してました(汗)
3日間天日干しするとこんな感じでシュリンクして出来上がり。
このふえるいしくらげちゃんを酢の物にして食べてみることに。
水に戻して、石や砂を取り除いて、軽く湯がいて、お酢と醤油で和えて、いざ実食!
恐る恐る口にしてみると、無味無臭のアオサという感じがピッタリ。
食感はアオサそっくりなのですが、味や香りは全くありません。
それでも本当に食べて大丈夫なのだろうかという不安からなかなか咀嚼できず、ほぼ丸のみして終わりました(笑)
一夜明けていまこうして文章を書いているのですが、いまのところお腹をくだしていないので大丈夫なようです。
昔の人って「これは食べても大丈夫なのかな」と不安を感じながら、自らを実験台にして今の食文化を開拓してきてくれたんだなあと感謝のきもちが湧いてきました。
わたしはタコとかイカとかシャコとかナマコとかグロテスクなものが苦手で食べられないのですが、あれらを初めて捕まえて食べてみた人類最初の人の勇気って本当にすごいなと思うんですよね。
イシクラゲは食べられると分かっていてもこんなにドキドキしたわけで。
祖先が味わった恐怖と好奇心のあいだにあるなんとも言えない興奮と緊張を疑似体験させてもらったのでした。
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