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◆ある日のカトヒロの食卓 その1


      自宅で鱧鍋

この時期、やっぱり鱧が食べたくなる。
今夏はひょんなことから淡路島の友人が鱧と玉ねぎを送ってくれた。
いつもは心斎橋の日本料理「梅市」さんで鱧鍋をいただくのが夏の恒例となっていたが、今年は自宅で作ってみることにする。(今まで自宅で作ったことがなかったので少し不安)

さすがに鱧用の包丁も持っていないし、鱧切りはできないので、知り合いの日本料理屋の包丁名人に切ってもらった
サクサク、サクサクというリズミカルな音を立てながら、
「これ、沼島の鱧やね、よく太って旨そうや」と名人がつぶやく 
心が沸き立ってくる

自宅で作るから、手を抜けるところはとことん抜こう
所詮、素人がどんなに足掻いても限度があるのは百も承知だ

まずはダシ
今回は心斎橋のうどん屋「今井」さんのうどんダシを使うことにする
これは百貨店でも売っているので買いだめして冷凍している

鍋にダシを入れ温めて、例の「梅市の鮪節」を片手いっぱい掴んで追いダシとして使う
それを濾して、しばらく鱧の骨で緩やかに煮込む 
最後に塩、味醂、酒で味を整えて出来上がり

いいダシの香りが家中に広がる

淡路島の薄切りと天然の三つ葉、豆腐を用意する

さあ、エアコンを最大に効かせよう!

鍋のコツはとにかく沸騰させないこと!
これに注意しながら食べる分だけ食材を入れてゆく

そう、熱めのお風呂に入る感覚ですな

おお、ダシも完璧!
家でこんな味出せるんだ(もちろん今井さんのおかげですが…)

冷蔵庫から大好きな日本酒、岐阜の醴泉の大吟醸を取り出す キリリとよく冷えている!

美味いダシをいっぱい吸い込んだ熱い鱧にすだちをしぼってひと口頬張る
ホロッホロッと柔らかくほぐれる。骨切りも完璧!
まるで口の中に花が咲いたようだ。

そこに、冷酒をすぐに合わせる。
「これはあかん、なんぼでも食べられる」
思わず独り言がこぼれた。

玉ねぎがまた甘い。 やるな、淡路島!
豆腐にも鱧と玉ねぎの旨味だけが沁み込んでいる。
天然の三つ葉はいつもの三つ葉より味が濃いから立派な脇役を演じてくれている。

うーん、うまい……しか言葉が出てこない。

何も考えず、ただひたすら箸と口が動く。

あっという間に完食してしまった!

さて、〆はやっぱり麺類だろう。
今回は三輪 山本さんのブランドそうめんを使うことにする。
茹で時間は1分半。 

これは僕が今いちばんハマっているそうめん。

しっかりとコシがあるのだが、繊細でおつゆによく絡むその食感が良い。

茹でてにゅうめん風にして食した。
ちょい吉野葛でとろみをつけてみたら最高!これで冷酒がまたいけるから不思議だ。(普通、〆でお酒は飲まない)

テレビもつけずに軽いボサノバだけが流れている。
降りしきる雨を眺めながら、しばしコロナのことも忘れて

今年も夏がやってきたことを実感した。

今夜は良い夢が見られそうな気がする

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