『整形』をめぐる親子の問題

眼瞼下垂の患者支援活動をしているおーばです。

シリーズ企画「眼瞼下垂のおーばが語る『整形』のおはなし」
7回目の今日は、ひきつづき解決編を書いてまいります。
今回は『整形』をめぐる親子の問題… です。
私が親子の関係のことを書き始めたら それだけで本が書けてしまうくらい、思うことはたくさんあります。
くどい部分もあると思いますが、ご了承ください。

それから、今回は『整形』のことというよりは、先天性眼瞼下垂のことを中心に書いてゆきますが
取り組む姿勢、考え方は つながっていると思っていますので
いろんな病気や症状の方も 参考にしていただけると 幸いです。


眼瞼下垂の治療には手術が不可欠なのですが、
当事者が手術をしたいと思うと、未成年であれば「親の承諾」が必要になりますし
先天性眼瞼下垂の場合は、生まれてから今までの経過を知ることが、治療する上でとても大切になります。

このとき、
家族に手術を受けたいということを言いにくいと思っている当事者が とても多いです。
これまで家の中でまぶたの話はタブーになっていた感じがある というご家庭もあるかもしれませんね。
自分の顔のことでいままでずっと気にしていたということ親に話すと親は悲しむだろうし、
親からどんなことをいわれるかわからない。
そして、自分のことで家族に迷惑をかけたり、心配させたくない
っていう気持ちの当事者さんがとても多いということを実感しています。

家族に知らせない形で手術に臨むかたも多いのですが、
まぶたの手術をすることに関しては とても危険だと私は思っています。
なぜなら小さいころに手術をしたことやその術式を無視して手術をすることで トラブルに見舞われる危険性が増してしまうからです。
つまり 赤ちゃんのころに一度行った手術についてよく理解しないまま 成長後にいざ手術をしてみると 予想もしていなかったことがわかった という話は多いのです。

実はこの問題の裏には、親の側にも複雑な心情があるものなのです。

わが子が誕生したときにまぶたにトラブルを抱えていると、親はその子の今後のことを思って悲しむし、なんとかしようとします。小さいころに手術をする場合も しない場合もありますが、どちらのケースでも「まぶたの問題」にはわが子に対する負い目を感じ続け、でもそのことはほかの誰にも相談できず、どうしようもない気持ちのままで その気持ちにも蓋をしてしまう。

でも こどものほうから切り出してくれるのを待っている親もいるんです。
だから 意を決してお子さんのほうから まぶたの手術のことを話し始めると
親は「その言葉を待っていた」とかいって 泣いたりするわけなんですが。

お互い、相手が大切だからこそ なかなか切り出せないでいるのかもしれません。
でも
まぶたの悩みを共有できている親子は、出来ていない親子に比べて治療もスムーズに進むし 
なにしろお子さんが 親を信頼して 感謝する気持ちが強いのです。
(科学的に証明するのは難しいのですが、私の10年の活動の中でひしひしと感じている実感です) 

私から言いたいことは、すっとおんなじ ひとつのことだけです。
おかあさんをはじめとする ご家族に対しては
お子さんの症状、病気のことはお母さんにとっても大きな問題であるし、大変辛くて目を背けたいかもしれないけれど、それはお子さんと一緒に考えたり、工夫したりするのがいい。決して隠すべき問題ではありません。
黙って抱え込もうとするのは百害あって一利なしです。

お子さん(当事者さん)に対して言いたいことは
親は、いい部分も悪い部分も どんなあなたも まるごとうけとめてくれる存在です。
親に迷惑かけたくないとか思わないで、ぶつかっていってください。
で、眼瞼下垂のことは 親はものすごくあなたに「申し訳ない」気持ちを持っていることが多かったりするんだけど、ここはもう はっきりと 「自分の人生なんだから、自分の好きにさせてもらうし 
あんまり責任感じて落ち込まないでよ」とかね、自分の気持ちは ちゃんと言った方がいい。

親が子を思うがゆえに 言えないでいたり
子が親を思うがゆえに 言えないで 
それで起こる悲しい出来事を わたしは ひとつでも多く減らしてゆきたいんです。

繰り返しますが 親子のあいだで眼瞼下垂の話はタブーにする必要はないし
治療には手術が必要なのだから、「いい手術」が出来るように親子で話をしてください。


次回は 場合によっては家族よりも大切な
友人や 恋人に 顔の手術のことをいかに話すか について考えて見ましょう。

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