京極殿三國志(仮・2
とても良い香りが鼻先を擽っていた。
ーーー此処は桃源郷なのかもしれない。
だったらどんなに素敵だろう、関口は夢うつつに想う。
「‥‥うふふ」
無意識に関口は微笑んでいたようである。
「コラ、不気味に笑うなッ!」
頭をポカリと叩かれ、意識が戻った。
「‥ん、ぅう‥?」
気づけば、立派なお屋敷の庭先の縁側で関口は横になっていた。
傍らには、先刻の美麗だが奇矯な男と、まるで立方体のような強面男が鎮座している。
だがその存在より、関口は嗅覚に気を取られ、いい香りのする方へぼんやりと目