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給食のプロ、管理栄養士 傘木先生

大岡小・中学校の給食はおいしいと子ども達からも評判です。
そんな給食を支えてくださっているのが、栄養士の先生と、少数精鋭の調理員さん達です。
いつも子ども達のお腹と心の幸せをありがとうございます

今回は、我らが栄養士!傘木先生に給食の極意をインタビューしました。

子ども達の給食を見守りながら一緒に時間を過ごします

大岡へ、子ども達とのコミュニケーションの工夫

傘木先生は、大岡小・中学校に赴任される前は保育園に勤務されておられ、当初は保育園と小・中学校の違いに戸惑いもあったようです。

保育園は保護者と接する機会も多く、各家庭での食事の様子や悩みを直接聞くことができたのに対し、小・中学校では保護者と会える時間は極めて限られています。
その上、この数年はコロナの影響もあり、給食試食会も開催できず、尚更保護者の声を聞く機会が減ってしまったことで、子ども達の家庭での食事の様子が遠くなってしまったようです。

それでも、日々の子ども達の給食に多くのアイディアを思考してくださり、子ども達のワクワクとドキドキを取り入れてくださっています。
子ども達とのコミュニケーションに「ランチタイム」や「給食おいしかったよカード」を取り入れるなどして、直接会話を交わすことが限られている分、文字にして伝えあうことで工夫されています。
子ども達にとって「ランチタイム」を読むことは日々の楽しみの一つです。

“食を通した子ども達とのメッセージのやり取りも大切なコミュニケーションです。”

※ランチタイム:栄養士の先生から子ども達へのメッセージ。(毎日の給食だより)
※給食おいしかったよカード:子ども達から栄養士の先生や調理員さんへのメッセージ

ランチタイムと給食おいしかったカードで、児童生徒と栄養士の先生が文字で対話

給食の一工夫

給食は、献立名称と料理内容が一致することが大前提。
それでも、子ども達に「食のおもしろみ」は提供したい。食べる時の楽しい気持ちや新鮮な気持ちは大事だという思いから、給食に時折ちょっとした変わり種や隠し味を入れることがあります。変わり種になりすぎないように気を付けながらも、子ども達がどんな顔をするかなと思い浮かべながら工夫を凝らしてくださっています。

“普段からレシピ本を見て、変わったメニューや子ども達のリアクションを想像しながらメニュー開発をしちゃいます。
いくら面白くて楽しそうでも、見た目や味が「えっ?」と思うものは出せないし、調理が複雑でもやっぱりダメで、全てが合致した時に新しいメニューが生まれます。ピタッとあった時は嬉しくなりますね。“

メニュー開発をされるのは本当に楽しいのだろうなと思える程良い笑顔で話してくださいました。
ちなみに、全て合致とは、子ども達の嗜好にあうのか、栄養価に偏りはないか、調理場の作業工程に無理はないか、など2桁に昇る項目をクリアして初めて新しい献立が生まれるそうです。
新しいメニューができるまでの工程に脱帽です。子ども達も多くの工程があって新しい献立が生まれることを知って欲しいものです。きっとたくさんの驚きや発見があるのではないかと思います。

小1生の希望献立 ポイントはミルメイク♪

給食されど給食

年に3回、自分で選んだメニューを食べるセレクト給食が大岡ではあります。
栄養士として、献立の選び方のポイントとして、栄養価や食材の組み合わせなどの要素を子ども達に伝えつつも、何よりも大事にしてくださるのは子ども達の意志や思い
人生は選択の連続です。食も選択し、子ども達が自分なりの選択した理由と思いを言葉で現わせることを傘木先生は大切にしてくださいます。

子ども達の選択は面白くて、「そうやって選ぶんだ」という新しい発見や学びも傘木先生にはあるそうです。
牛乳には、カルシウム以外も入っているんだ!とか、果物には脂質も入っている!とか、子ども達なりに発見があって、そこから想像もしない組み合わせを選んでくるようで、その子ならではの日頃の食生活をちょっとだけ垣間見れる時間にもなっているようです。

セレクト給食の時は「セレクト給食希望調査用紙」に、傘木先生から子ども達へ一言メッセージを書くように心がけてくださっていて、それが次の選択の幅を広げ、新しい視点を得ることにつながればという思いを込めてくださっています。

児童生徒たちは栄養士の先生にポイントを聞きながら、給食の話題に華が咲きます

大岡産食材の活用。給食を通した地域の方々との関わり

給食の大事な要素の一つとして、大岡産食材をふんだんに取り入れてくださっています。
大岡特産センターさんとはマメに連絡を取り合い、どのような野菜が・どの程度・いつ入る予定なのか会話をとても大事にされています。
自然相手の生産なので、変動要素もある中、細目に連絡を取り合うことで双方柔軟な対応を実現させ子ども達の給食に届くように最善を尽くしてくださっています。

大岡産の食材は、子ども達の楽しみの一つ。
大岡を身近に感じるものであり、地元への愛着も沸くみたいですね。
傘木先生ももっと大岡産食材を増やしたい思いがある反面なかなか増やせない現状もあり、ここはもどかしい思いもあるようですが、きっと子ども達にもその思いは届いています。

地産地消が実現できるのは、数多の作物を育てている大岡ならではなのかもしれません。

大岡産食材。獲れたて新鮮なお野菜が入ります。

定番!子ども達からの絶対的人気な献立

日々色とりどりの給食を楽しむ子ども達ですが、それでもやっぱり人気メニューはあります。
一番人気は、「行事食」。お花見給食など、いつもとはちょっと違う気分を味わえるのが人気ポイント。
定番人気は、ラーメンや焼きそばなどの「麺類」。そして、唐揚げや揚げパンなどの「揚げ物」
献立を見て定番人気メニューが載っていると朝からウキウキしている子ども達です。

給食ブログからも不定期で日々の給食の様子を発信しています。併せて読んでくださいね。

調理場への思いやりが、おいしい給食の秘訣

子ども達への思いが溢れる傘木先生ですが、給食を作る上で、調理場のことももちろん忘れてはいません。
調理員さんたちの人数や調理場の規模に見合った献立作成を心掛けてくださっています。

美味しい給食を作る上で欠かせないのは、調理員さんとのコミュニケーション。
信頼関係があってこそ、給食作りに向かう士気があがりますし、大変なこともやってくれたりします。
日々の給食を作っているとやはり課題は出てくるもので、その都度、何がいけなかったのか調理員さん方と振り返っていて、改善ポイントは皆で考えるようにしています。互いに気づきがあり、意見もたくさんでてくることで、よい改善へとつながっていきます。
大岡の調理員さんは、一つひとつのケースまで細やかな気づかいがあって、給食を円滑に作るために色んな工夫をしてくださっています。

調理員さんは改善と工夫を重ねて、日々、より美味しい給食づくりに努めてくださっています。

調理員さんのチームプレーは素晴らしいです

傘木先生の幸せ、栄養士としてのやりがい

子ども達に「おいしかったよ」と言ってもらえると、それだけで嬉しい。

「給食おいしかったよカード」に「(から揚げが)サクサクカリカリでおいしかった」とか「汁ものに入っているお野菜について」など子ども達が書くちょっとしたメッセージのやり取りが、子ども達とのよいコミュニケーションツールになっていて、傘木先生の励みにもなっているようです。

初めてジビエを出した時は、「給食おいしかったよカード」を使って皆がそれぞれに思った感想を書いてくれて、「鹿がかわいそうだったけどおいしかった。」など食を通じて、子ども達が何をどのように感じたのかを知ることができるのも魅力の一つです。

これからも、子ども達の献立リクエストに応えられるよう、できる範囲で創意工夫を凝らして子ども達の想いを実現させたいとおっしゃる傘木先生。実現できるかは分からないものの、「どういう顔をするかな?と子ども達のことを思い浮かべながらやるのは楽しい」「できることからやっていく」と前向きに朗らかにお話してくださいました。

子ども達には、「給食は食べるだけではなく、多くの人が関わっている」ことを知って欲しい。

“目の前にある一食がどのような背景でできているのか、誰が関わっているのか、知るからこそ食べることへの興味も立体的になり、背景を知って選択ができる子ども達になって欲しい。自分達の食生活が豊かになるようにというのが狙いです。”

インタビュー後記

傘木先生、インタビューのお時間ありがとうございました。
「食」を通した子ども達への関わりの中には、溢れ出す思いと、食だけではない子ども達の生きる標となる深い愛がありました。
言葉を丁寧に選びながらお話くださったのがとても印象的でした。
保護者とも接する機会が限られている中、いつも子ども達の健康と栄養を支えてくださりありがとうございます。

少数精鋭の大岡小・中学校の調理場、多くの方々の思いが詰まった給食づくりにはたくさんの創意工夫が凝縮されていることが伝わってきました。

いつか、保護者への直筆アンケートもやりたいとおっしゃっていたので、実現できると良いなと思っています。

次のバトン

傘木先生からご紹介いただく次のインタビューのバトンは、中学校と言えばのあの先生です。お楽しみに。

※複数のバトンがこれから走ります。いつ掲載になるのかもお楽しみにしてくださいね。

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