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深夜2時、長男のオムツを交換しているときに奥さんに陣痛が来た

 奥さんが退院してから一週間後、奥さんの祖父が亡くなったと連絡が来ました。おじいちゃん子だった奥さんとしてはお別れをしっかりとしたいので、葬儀にはなんとかして出たいと言っていました。しかし、奥さんからは2日前に前駆陣痛といわゆる「おしるし」が来ていることを聞いていたため、私は諦めるように説得をしていました。葬儀に参加するために奥さんの実家に帰る場合、車で片道1時間半の移動が必要になります。もし、実家に帰ってから陣痛が起きることを考えたら、奥さんの想いに賛同できませんでした。私も奥さんの祖父には結婚後、何度も会っているのでしっかりとお別れをしたい気持ちはわかるのですが、そのためにお腹の子を危険にさらすのは賛成できなかったのです。
 私だけではなく、奥さんのご両親からも全力で来ないように言われたため、なんとか諦めてくれました。ただ、このときの判断については葬儀までに生まれない可能性もあるので、正しかったのかと悩んでいました。

 その連絡から2日後の深夜1時半。私は前日から40℃近い熱を出し、ひどい下痢に悩む長男のオムツを交換していました。病院ではただのお腹の風邪だと言われましたが、奥さんに感染したらまずいと考え、仕事を休んで子どもとつきっきりでお世話をしていました。
 オムツを交換して、高熱を出している長男を寝かしつけると、奥さんから「陣痛がきたかもしれない」という声をかけられました。
奥さんはスマホのアプリで陣痛の間隔を記録し、事前に言われていた感覚よりも短かったため、産院に電話。これから来るように言われたというので、私は慌ててタクシーを呼びました。5分で車を手配できると言われたため、陣痛で苦しむ奥さんに言われるがまま、奥さんの入院セットを持って道路近くでタクシーを待っていました。
高熱で寝込む長男を家に残すことは出来ないので、奥さん一人で病院へ向かうことになるのは申し訳ないなと、深夜2時の寒空の中、考えていました。そんなことを思っていたのも束の間、5分で手配すると電話で言われたものの10分経ってもタクシーが来ないので、もう一度タクシー会社に電話をするべきかと途中から考えていました。
電話をもう一度かけようかと思っていると、タクシーが到着。タクシーに荷物を載せ、奥さんを呼び、タクシーに乗せ、「頑張ってね」と送り出しました。
私はタクシーが見えなくなってから家へと戻り、高熱に苦しむ長男の隣で横になりました。眠りが浅かったのか、私が戻ってきたことを理解した長男は私の腕にしがみついてきました。奥さんのことは気がかりだし、とても眠れないなと思っていたのですが、明日も具合が悪い長男と2人で過ごさねばならないのだからと目を閉じてじっとしていました。
結局、気になりすぎて4時ぐらいまで何度も何度もスマホをチェックしていたのですが。
 7時ぐらいに目覚め、スマホを確認すると5時ぐらいに無事に生まれたという連絡が入っていました。奥さんの状況がわからないため、ねぎらいの言葉を送り、長男の横で再び眠りました。長男は目覚めて奥さんがいないことに気づき、「ママがよかった」と30分ぐらい泣き叫んでいました。またハードな2人暮らしがはじまると構えていましたが、体調不良のせいかその後すぐに眠り、結局ママがいないことの不満はこの一回しか口にしませんでした。

 その後も長男の高熱は下がらず、下痢も相変わらずひどい容態でした。次男に会いに行きたいという想いはかなり強かったのですが、こんな状態の長男を連れて行ったら奥さんと次男だけではなく、病院にいる他の方々にも迷惑がかかるので、長男の看病を続けていました。
 奥さんもそんな状態にある私を気遣ってか、次男の写真をいっぱい送ってきてくれました。それを見て微笑みながらも、苦しむ長男の隣にいました。
 このとき、私の母親は1ヶ月前にくも膜下出血で倒れて意識不明のまま集中治療室におり、父親もその関係で頼れない状態でした。奥さんのご両親についても、奥さんの祖父の葬儀関係で地元を離れられない状態です。奥さんと次男の退院までまたしても体調を絶対に崩せないというプレッシャーを感じる状況となりました。しかも、長男が何かしらの病気を持っているという点で前回よりもハードな状況です。
結果的には体調を崩すことなくこの状況を乗り切ることが出来ました。意識していたことは、長男が寝ているときは極力一緒に寝ること。家事も最低限しかやらないこと。寝過ぎて寝られないときは自分がリフレッシュすることをすること。この3つでした。

 長男の体調は結局奥さんと次男が退院する前日の夜まで悪いままでした。そのような状況だったため、仕事はまるまる一週間休むことになりました。
快く休ませてくれた職場に感謝してもしきれないという想いと、子どもを2人育てると1人のときよりも休む回数が増えるなという不安が募りました。幸いにしてまだまだ有給はあり、育休も4ヶ月取る予定ですが、その後も子ども関係で休みながら仕事をしていくことになるんだろうなとこの時点で痛感しました。
 ネガティブに考えればいくらでもネガティブに考えられる状況です。だからこそ、「働けるときは最大限のパフォーマンスを出して、職場に貢献します」と全社員に宣言しました。自己満足と言われればそれまでですが、このような宣言をして少しでも自分の思いを理解して欲しかったのです。
また、現在の職場には育児中の社員はいませんが、育児をしながら働く社員が出てきたときには最大限配慮し、恩返ししたい。今迷惑をかけている社員たちには返せなくとも、受けた恩を他の社員たちに返していきたい。そんな風に考えています。

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