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サッカー選手の"21億円の申告漏れ"に思うこと。

(※今日の記事を音声で楽しみたい方はコチラ↓)
https://voicy.jp/channel/660/758521
※大河内薫"お金の学び"ラジオ Voicy 2024年3月27日放送より

どうも、大河内薫です。
本日は、「サッカー選手の申告漏れ」のニュースについて、解説と僕の意見をお話しします。




■申告漏れ

サッカーJリーグのヴィッセル神戸に所属していた元スペイン代表のアンドレス・イニエスタ選手や、キムジンヒョン選手、パトリック選手、彼らが申告漏れをしていたと。
「申告漏れ」というのは所得があって税金が課される対象になるわけですが、確定申告にその所得が記載されてなかったということなので、いわゆる「脱税」ではありません。
脱税の場合、同時に刑事告訴もされて刑事罰を受けることになるので、今回は「大阪国税局が指摘をした」というところです。
ただ、金額が大きく3人合計で"21億円の申告漏れ"というところです。
これは選手がかわいそうだなというのがファーストインプレッションです。


■非居住者と税金

まずは税金の話ですが、日本で収入を得たら日本の税金がかかりますよね?
給料を稼いだから所得税を払うわけで、日本にある法人が売上を上げたから法人税を払うわけで、一方で非居住者「日本に住んでいない人」が日本で収入を得た場合の税金はどうなるかというと、これも税金がかかります。
ただ、確定申告の対象ではありません。
例えば、僕の会社が非居住者に対してお金を払う場合、何かサービスをしてもらって非居住者にお金を払う時は、原則こちらが源泉(天引き)をします。

僕が非居住者であるイニエスタ選手にお金を払う場合、「1億円払います」という時は20%の約2000万円源泉徴収をして8000万円を払うわけです。
そうすると国税局としては税金の徴収漏れがないので非居住者はそういう感じで税金を集めることになっているわけです。
居住者の場合、僕は1億円そのまま払って、イニエスタ選手は確定申告をして税金を納める感じになります。

なので今回は何が起こったかというと、"非居住者"ということで3選手は理解をしてことを進めていた時期があったんです。
なので確定申告をしていないんです。
20%の源泉徴収をされて終わりで、「外国税額控除」と言って本国の方で税金を払う時に「この収入に関しては日本でこの税金が取られているので…」みたいな感じで取り戻すわけです。


■非居住者と居住者の判定基準

ただ、その非居住者期間が"居住者"と判定されたんです。
そうすると日本の居住者なので日本を最優先に確定申告、税金を払っていくことになりますから、金額が金額なので20%の源泉だと全然足りませんという話になるわけです。
「最高税率45%+住民税の10%」その差額を今回払うこととなったわけです。

居住者・非居住者の判定はなかなか難しいところですが、条件としては「家族を連れて来ていない。そして1年未満で仕事が終わることが分かっている」みたいな状態だと非居住者になるんですが、報道によればこの3選手は来日当初から家族を連れて来ていたし、契約もよく見ていくとほぼ複数年契約が拡約されている状態だったので、"最初の1年が非居住者には認められない"ということになっているわけです。

これが今回の税金をめぐる全貌ということで、21億円の所得漏れが3選手合計であったわけです。


■イニエスタ選手に対する税金トラブルの影響

これ、何がかわいそうかというと、3選手が日本の税金を知るはずがないんですよね。
となると、所属チームや代理人、イニエスタ選手をサポートする人が徹底的に調べ上げてちゃんとやってあげないと防ぎようがないわけです。
加えて、特にイニエスタ選手は世界的サッカー選手ですよね。
なのでサッカー業界における発言力はメディアを通してもそうですが、メディアを通さずともとんでもない影響力があるわけです。
「日本に行った時に税金ですごい嫌な思いをした」ということをサッカー業界でイニエスタ選手が言ってしまったら、Jリーグに人が来なくなります。
ヴィッセル神戸を持っているのは楽天で、イニエスタ選手に大金を払って呼び寄せたわけですが、それだけではダメですよね。
当然、広告塔としてヴィッセル神戸は人気も出て、おそらく観客動員も増えたと思いますが、世界トッププレーヤーの影響力を考えると、十分すぎるぐらいのケアをしてあげなければいけなかったんじゃないかなと思います。
本人の胸の内で「日本は楽しかったけど税金ですごく嫌な思いをしたから、仲のいいサッカー選手にはそういうことがあるよって教えてあげよう」と思っていたら日本サッカー業界全体で大損害になります。


■大阪国税局の調査

最後に、苦言を呈したいんですが、大阪国税局は頑張って調査をしたと思います。
大阪国税局しかり東京国税局、国税庁、財務省、税金について調査する機関は行政にたくさんあるわけですが、順番ってあると思うんです。
裏金でキックバックもらった人の脱税を検挙する方が先じゃないですかね?と思うんです。
当然、同時に進めていると思いたいですが、おそらく脱税の方は永遠に"税金"という文脈ではニュースには出てこないだろうなと、この国に失望しているという結びで本日は終わりたいと思います。


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それでは本日も張り切っていきましょう。

それでは、素敵な1日を。
最後まで読んでくれたあなたに、幸あれ✨じゃあね!


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