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お綺麗なオブラート (バスタフェロウズ2 感想)

はじめに

当記事は「バスタフェロウズSeason2」のプロローグ、エピローグのストーリー展開のネタバレを含みます。

ガイドラインに沿って個人の感想のみの掲載としており詳細なストーリー内容を含むものではございませんが、共通ストーリー部分の展開とゲームシステムの話に言及しておりますのでご注意ください。

注意書きもほどほどにこんばんは。
最近ちょっと隙間時間が出来たので積みゲーを一気に消化してまして、バスタフェロウズSeason2を一昨日ようやっとフルコンプしました。

で、エピローグを見てガチで「え……?」って絶望しきった声が己の喉から出たので、折角なので記事にしようと思ってキーボード叩いております。


バスタフェロウズ紹介(ネタバレ無し)

まずはじめに、わたしは前作の無印バスタフェロウズが大好きです。
ネタバレ無しにバスタフェロウズの魅力を知ってもらうのって難しいなーとはすごく思うんですけど、このゲームはクライムサスペンス系の女性向けアドベンチャーゲームです。主人公たちはフィクサーとして法の隙間を逃れる悪に自分達の正義を貫く中で、それぞれが大事なものを己のやり方で時に守り、時に暴かれ、時に受け入れ、時に乗り越えて、そして生きていく。

クライムサスペンス系の中でも特に洋画や海外ドラマが好きな方にはすごくオススメしたい作品です。現時点では無印と続編のSeason2がありますが、わたしがオススメしたいのは無印1作目の方です。

このゲームの何が楽しいって、わたしが一番にあげたいのは「わちゃわちゃしたホームコメディ感とスリリングなドラマ感のギャップ」って言えば良いのかな……。

とにかく主人公と攻略キャラたちのやり取りが見ていてめちゃくちゃ楽しいですし、ゲームシステムの枠を飛び越えてテキスト外でのガヤみたいな会話も多い。その楽しい時間があるからこそ事件の時は逆にシリアスな部分が多く、主人公というよりプレイヤーにとってシビアな選択肢を与えてくる。

そして物語の共通エピローグではプレイヤーにとっても主人公にとっても吐きそうなぐらい辛い事実、変えられない現実があることを知る。

そんな作品です。
だから勧善懲悪が好きな方や、一般的に悪事と呼ばれる犯罪を嫌悪する方には向いてません。

ミステリ、ソリッドシチュエーションスリラー、それこそクライムサスペンスの映画ばかり見てるわたしが大好きな作品ですので、トータルしてテキストのワードセンスもなかなかパンチが利いています。

また攻略キャラの中に検死官が居りますので、そういう意味でも画像こそ一切ないものの、この手の乙女ゲームとしては死体描写などはかなり詳細にテキストに書かれていると思います。あくまで検死結果とかの話ですけど、ゲーム内の食事中にそういう話してきたりもしますんでね、想像力豊かな方はご注意を。

この作品は無印とSeason2がありまして、物語の性質上、Season2からいきなり始めることは全くと言って良いほどオススメできません。
2は前作から完全な地続きですし、個別ルートではご丁寧な振り返りなどもありませんので、バスタフェロウズを楽しみたいなら前作を終わらせてから内容を忘れないうちにSeason2に進むのが良いと思います。

わたしは結構前作のルートを忘れていたので、当たり前のように「あの時の事件」とか言われても「何だっけ マジで記憶なさすぎ 何だっけ」と勝手に何だっけ川柳が出来るレベルで記憶の引き出し漁ってました。

という理由から、感想自体はSeason2についてなのですが、ゲームの紹介自体は無印の紹介をしていこうと思います。

この記事のネタバレ無し部分を読んで、もしバスタフェやってみよー!って思ってくれた方がいるならば、ぜーったいにネタバレ感想のとこは踏まないでくださいね!


主人公 (CV 近藤唯さん)

めっちゃめちゃにキュートな主人公

ネタバレの無い範囲でご紹介しますと、主人公はフリーのジャーナリストであるテウタ・ブリッジス

彼女は「時間をさかのぼる」という能力を持っていて、この能力で後述する攻略キャラクターの1人であるリンボを救うことから彼らの出会いは始まります。

そして彼女はジャーナリストではありますが、ライターとして読者と友達のような感覚で一緒に問題を考えていくというコラムを新聞で掲載していて、それが街では結構評判になっています。記事も書きますが彼女の得意分野はコラム。自分の目線で物事を等身大に考えて共有・問題提起することが得意です。

彼女の性格を簡単に書くと
・頑張り屋
・負けず嫌い
・正義感が強い
・時に頑固
・理解することを諦めたくない子
・笑うと周りを明るくしてくれる子

って感じです。前作無印の時には「賢い子」も入れることが出来たんですけど、2では恋愛ボケしたのか賢さをどこかに落としてきたみたいです。

なのでわたしのように「拙者、二次元イケメン大好き侍!!拙者はおなごに自己投影などせぬ、おぬしらの生き様をとくと見せよ!!」とデバガメ感覚で乙女ゲームやってる人は大丈夫かなーと思うんですが、自己投影型の方がそういう意味で感情移入できるかわかんない。

ちなみにわたしはテウタ・ブリッジスが大好きです。
だって彼女は本当に周りに力をくれる女の子で、テウタがこんなに小さい身体で踏ん張ってるんだから自分も頑張らなきゃって思わせてくれるって言うんですかね。彼女が笑顔になるためになら何でもしてあげたくなる。彼女にそれだけのものを貰ったから。
幸せになってほしい、できるだけ笑っててほしい、彼女が持っている美しい心を失わないでほしいって心から思える素敵な主人公なんですよ。

あれ?これ攻略対象の男の目線では……?🤔
まあいいや、わたしはこういう目線で乙女ゲームをプレイしている者ですので普通の感想など飛び出すわけがありません。

ここら辺のキャラ紹介はそういう記事もたくさんあるでしょうし、攻略キャラ紹介は省きたいところではありますが(もしくは公式を見て頂きたい)、バスタフェロウズを布教したい気持ちはあるのでちょっとだけご紹介しますね。攻略キャラは5人います。Season2やった直後なので、無印の情報だけにおさまっていないとは思いますが、どちらも個別ストーリーに関するネタバレなどはしていません。

わたしの偏見100%を混ぜ込んだコメントで偏向紹介させて頂きまーす。



リンボ・フィッツジェラルド (CV KENNさん)

リンボはフィクサーの一員である弁護士ですね。絶対無罪の悪徳弁護士、として街ではちょっとした有名人でよくテレビや取材で追及されています。
その網の目を掻い潜るやり口は痛快で、一般人にはむしろ人気で良くも悪くも派手な存在です。

フィクサーって何?というのを改めて書きますと、法や正規の方法で定められた意思決定にそれ以外の力で介入しようとしてくる存在のことなのですが、誤解を恐れず簡単に書けばリンボ達はダークヒーローの集団です。
彼らは皆等しくそれぞれの信念と正義を持っていて、たとえば誰か1人が仕事を請け負ったからといって全員がそれに参加するわけではありませんし、個人的に助けて欲しい時にはポケットマネーから報酬を支払ったりなんてことも日常茶飯事ですね。持ちつ持たれつってやつ。

そんなフィクサー集団の顔とも言えるリンボの仕事は、絶対に依頼人を「有罪」にさせない悪徳弁護士。だけど金を積まれたからと言ってだれかれ構わず無罪にするわけじゃありません。もちろん実際に有罪である悪人を不起訴や無罪に持ち込むことは多々ありますが、それはリンボにとって意味があるから。信念にそぐわない依頼を彼はそもそも受けません。

そして法廷で偽証など自分が罪に問われるような戦い方もしません。リンボは法律をなめているわけでは決してなく、「法」というものが何を守っているのか、法廷では何がもっとも重視されているのか、それを見極めようとしている節が見受けられる。そんな彼の武器は頭脳……は正直攻略キャラ全員頭良いので置いときますが、巧みな話術と交渉術、そして人間的な法の使い方だと思います。リンボはこう見えて実は自分のためじゃなくて他人のために何かをしたいと思うタイプなので、主人公とはよく似ているとも思います。

他にリンボの人柄という面ではメンバーのまとめ役であり、作戦参謀であり、バランサーといったところでしょうか。ムードメーカーは他にも居るのですが、場の流れが止まったりした時にまず声をあげるのがリンボっていう感じです。でも他の奴ら(主にシュウとヘルベチカ)が協調性という言葉を一晩寝たらベッドにわざと忘れてくるような奴らばかりなので、リンボはチームで見ればまあまあ苦労人ポジの印象ですね。まあそんなリンボも好き勝手にやってますし、良い意味で遠慮が無いのがフィクサーたちの信頼関係なんですけども。ただこやつ、悩みだすとだんまりになる傾向があります。なのでヘルベチカあたりによく発破かけられてる気がする。
でも頭はもちろん良いし、悪徳とはいえ弁護士だし、金持ってるし、性格も明るく人当たりも良いし気立ても良い……たしか料理も普通にできたはず……あと美人のお姉さんがいる……。あとこのリンボ、オフの時は眼鏡です。
オフの時!!眼鏡です!!!!

完璧じゃねえか、嫁にするか??

わたしは声優さん大好きオタクですのでもちろん触れさせて頂きますが、リンボを演じられているKENNさんの演技がこれまた本当に凄いんですよ。
リンボというキャラクターの持っている魅力を引き出しているのはもちろんですけど、どんな声色でどんな方向に話を持っていけばこの裁判を有利に進められるかとか、リンボの巧みな話術を印象付けてくれているのはKENNさんの演技力ですもん。言葉選びや声の力の込め具合一つでも陪審員の印象が変わる裁判の流れを鮮やかに誘導していくリンボの声、個人的にめちゃくちゃ注目して欲しい部分です!

印象操作って悪い意味で受け取られがちですけど、技術はなんでも使い方次第。それを自在に操るリンボは正直言ってカッコイイです。



シュウ・リン・オキーフ(CV 細谷佳正さん)

シュウはリンボと組んで情報収集を担当しているバウンティハンター賞金稼ぎで、殺し屋を殺す殺し屋キラー・キラーです。フィクサーの中での荒事担当と言えば良いですかね、やる気なさそうな顔してますけど射撃や格闘の腕は一流です。シュウの美学や考え方、目的などは個別ルートのテーマでもありますのでここでは全くと言って良いほど語れませんが、テンプレに当てはめようとすると良い意味で裏切られると思います。

だって、こんないかにもクールですって顔しといて仲間と話している時にはジョークとか普通に言うし、スケアクロウや主人公を良くからかったりピザの取り合いとかゲームとかしてるし、面倒くさいことは嫌いだけど実際はなんだかんだと面倒見良い兄さんだったりするし、でもキラー・キラーですしね……それを飄々とやってきたりやってこなかったりするのでギャップがありすぎて真夏でも風邪引きそうな男です。情緒がジェットコースターに強制的に乗せられて悲鳴あげるレベル。ギャップがあればあるほど好きになるわたしみたいなギャップ萌え人間は絶対にシュウにやられますと断言できるね。

あ、フィクサーの面々はスケアクロウの家になかばシェアハウスのように住んでいますので、毎朝おはようって顔を合わせるし互いの予定は大体把握してるし、同じ釜のピザとかモズの手料理食ってるし夜に集まってみんなでムービーナイトしたりとガチで楽しそうにやってます。この空間がそれぞれにどんな意味があるのかは、ゲームやって頂けたら自然に分かると思いますよ。

アメリカンホームコメディ感ってこういうところからも来てて、本作の映画みたいな演出と相まって前作無印やったときにはめちゃくちゃワクワクしたし本当にオシャレなゲームだと思いました。洗練されているって意味じゃなくて、何というかアメリカンレトロ……それこそダイナーとかガレージ感のあるプール付きの家とか、ギラギラしたネオンに照らされる多国籍街とかっていう世界観の作品なので、わたしの感性にはモロに刺さりましたね。

そんなシュウのお声を担当されているのは細谷佳正さん。わたしが声優大好き人間になるきっかけのうちのお一方です。細谷さんがシュウを演じられている中で一番凄いと思ったのは、「間による説得力」ですね……。
シュウという男はたしかにギャップで風邪引くような色んな魅力を持つキャラクターですが、口数自体は特別多いわけでもありません。決して少ないわけでもないですけど。そして本っ当に面倒くさがりなんですよ。
そんな彼がどうしてこんなにカッコイイのか、信じたいと思える男なのか。キラー・キラーなんてやっていながらも愛しいほどの人間味を感じるのか。それを表現しているのが「間」なんだと思うんです。呼吸、吐息、言葉の緩急、そういうものです。
シュウの言葉には重みと説得力がある。それは彼が歩んできた過去と歩み続けている現在があって、彼の美学とも言える信条があって譲れないものがあるからです。それを「間」からわたしは受け取ることが出来たと思う。

男は背中で美学が云々って言いますけど、あーそれって間のことなんかな?って今ふと思いましたね。シュウは後ろ姿の立ち絵が表示される回数、他より多い気がするし。

あとこのペースで書いてたら一生Season2の感想書けないですね。誰だ、ちょっとだけご紹介します~とかほざいてたのは。



ヘルベチカ・オルステッド(CV 吉野裕行さん)

ヘルベチカは街で有名な美容形成クリニックを持つ美容形成外科医です。形成外科、ですよ。その技術もさることながら、本人のタレント的人気も高くてクリニックの特集記事なのになぜかグラビアが載る。フィクサーの中では変装や演技のスペシャリストで、女装なんかさせたらガチでイイ女にしか見えないし声帯も女になる。基本的に誰かを欺いて良いように動かして隙を作るのがヘルベチカの仕事って感じですね。

こいつさあ!!!本当にすっげえ沼なんですよ!!!!

急にお口が悪くなりました、すみません。
わたしね、基本的にこのバスタフェロウズって作品は推しが居ないんです。推しが居ないっていうと愛がないように聞こえちゃうかもしれませんが、要は全員大好きってことなんですよ。あ、攻略キャラじゃないカルメンさんが最推し疑惑はありますけどそれは置いといて。

でもわたしヘルベチカには最初、苦手意識ってほどじゃないけどコイツー!!って思っちゃうぐらいの感情がありました。まあそんな感情をわたしが二次元のキャラクターに持つこと自体がそもそも珍しいんですけど、好きの反対は無関心だから苦手っていう感情は関心であり興味の1つです。それぐらいヘルベチカっていうキャラクターはわたしにとってイレギュラーだった。

初対面の女性や男性を見ては点数を勝手につけ、もちろん主人公にもことあるごとに点数つけてくる。人の第一印象は見た目が9割という持論を持っていて、そんなヘルベチカは美容形成外科という仕事を生業にしています。こう書くとルッキズムの権化みたいに見えるでしょう?

でも、実際はそうじゃない。ヘルベチカっていう男がどんな思いで患者を美しくしているのか、自分を含めなぜ容姿に拘っているのか。それは個別ルートにも関わる事なので全てを書くことはできませんが、ヘルベチカにも過去に基く信念……個人的には生き様って言葉がふさわしい気がするんですけど、飄々とスマートに生きているように見える彼がどれだけのものを抱えていて、そして今の彼になったのか、本当ゲームで見てあげて欲しいんです……。あとこの人本当に仲間のこと大好きなんで。仲間こと大好きなんでー!!(うるさい)

熱量違いすぎて推しに見えるかもしれないけど本当ちゃうねん……。わたしはこの5人に順番なんてつけられないよ……みんな好きだもん。まあサブキャラクターも含めて全員推しってことでもいいですけど多すぎるんだわ……。

さて、そんなヘルベチカを演じているのは吉野裕行さんです。今までの吉野さんの役傾向を知っていると意外と思われる方も多いんじゃないかなと思います。ご本人もあまり演じたことがないタイプだと仰ってました。わたしも綺麗な吉野さんだ!!とか失礼なことを思ってたんですけど、ヘルベチカルートを終えて見ればもう神采配としか思えないぐらい、吉野さんのヘルベチカが好きでした。ネタバレ防止で理由を書けないのが本当に悔しいのですが、ヘルベチカが見た目通りにただ美人なだけの優男じゃないっていうのはなんとなく感じて貰えていると思います。
吉野さんって結構武骨っていうのかな、骨太そうなキャラを演じられることが多いと思うんですけど、ヘルベチカはそういう見目じゃないですよね。
人の第一印象は見た目が9割と言うヘルベチカのお声が、ヘルベチカのようなタイプを演じられることが少ない吉野さん。ヘルベチカを形作るのに吉野さんのお声は必要不可欠で、例えば泣いたり叫んだりするヘルベチカの声は見た目通りの優男風な声じゃダメだった。わたしはそう思っています。

ネタバレなしにこれ以上は書けない……。
ゲーム体験は新鮮に越したことはないとわたしは思っているので、今はバスタフェロウズに興味無くてもいつかバスタフェロウズを手に取るかもしれない可能性がある皆さんのゲーム体験を損なわせたくない。

もちろん他人の感想を読んで気になるから始める!ってパターンもあるとは思いますし、決して安い買い物じゃないから払うに値する内容なのかって確認してからやるっていう気持ちも分かるんですけど、わたし個人の理想を言わせてもらうと「きっかけだけを知って自分でやってみて、その世界に新鮮な状態で触れる」ことですね。



モズ・ナイル・シェパード(CV 福山潤さん)

モズは舞台であるニューシーグ市検死局で主任を務める検死官です。クライムサスペンスとはいえ、検死官が攻略対象かつガンガン職場と仕事っぷりを見せてくるゲームをわたしはバスタフェしか知らない。

フィクサーの中では何担当だろう……警察側の情報とか広範囲の医学知識とかですかね。ヘルベチカも医学知識はもちろんあるんですけど、ヘルベチカは専門外なことには興味ないですからねー。検死官という立場上、警察や検察側の協力者でもありますので法廷に立つことも多いです。改めて考えるとモズの担当って意外と多岐に渡ってるんだなーって感じですが、おまけにシェアハウスのお母さん(料理上手)でもあります。シェアハウスでの料理は基本的にモズがしてくれていますね。ちなみに主人公は料理が下手なので、彼女に料理をさせるのをやめさせる時の5人の団結力はココイチ強い。

そしてなんかよくわからないけどダイ○ン並みの吸引力がある魔性の男だと思っています。前作もSeason2もわたしが1人目に選んでいるキャラですね。Season2はあえて前作と同じ順番でやってみたってだけなんですけど、わたし初回攻略は絶対に攻略情報見ないって決めてるんで、ガチで12回ぐらいエグいBadED見ました。あまりにエグすぎて普通につらかったし泣いた。

魔性と言ってもこれはわたしが勝手に吸引されているだけで、モズ自身は口数も少ないし表情筋も死んでるし自分の感情を自覚するのがちょっと遅いタイプなので、魔性なんていう言葉からは縁遠いところに居ます。ただ、ヘルベチカのように確信犯で煽ってくることもなければリンボやシュウのように軽口をたたいてくるわけでもないモズの言葉はなんだろうな……どんなノイズもすり抜けてストンっと心地よく軽い音立てて心臓を射貫かれるような感じなんですよね。5秒ぐらい遅れて「あ……?え……好き……」ってなって死ぬっていうか。

淡々としたテンション感の中でもモズの感情自体はちゃんと見てとれますし、こう見えて実はめちゃくちゃ行動が男前。他のメンバーとのやり取りもかなり小気味良くて気持ち良いですし、俗世の文化(?)にちょっと疎いところもあるのでたまにすれ違いコントみたいになってるし。ジョークも全く言わないわけじゃないし、ツッコミもしてくれるし、ついでにシェアハウスのメンバーには怒らせると一番怖いとも言われてます。つまり、おもしれー男なんだな。カーディガン片方ずり落ちてても気にならないみたいだし萌え袖可愛いし。

そんなモズの声優さんは福山潤さんです。
福山さんは色々なキャラを演じられているのでこういう淡々とした語り口の似たようなタイプのキャラを知っては居るのですが、月並みな表現だけど本当に演技が上手なものですから、このテンションを維持していても乗っかってる感情っていうのがちゃんとモズとして自然にプレイヤーに伝わってくるんですよ。語彙力をください。
さっきわたしが書いたストンっと心臓を射貫かれるって部分が本当に最たるところなんですけど、モズってすっごい複雑で繊細なキャラクターだと思うんですよ。紹介するのにだってどうやって紹介しよう?って一番首傾げてるし多分一番脳みそ使ってると思う。いまこの時だってこんな下手くそな文章を何度も何度もこねくり回してます。それほど一言では言い表すことができない魅力があって、でも対してモズの感情表現の幅は他よりも少ない。表情も言葉選びも基本的に冷静で淡々としているから、いちばんモズの感情が乗るのって「声」なんですよ。モズの感情がモズの声としてちゃんと伝わってくるその感覚って、まさにキャラに命が吹き込まれてるっていうか。

わたしはフルボイスのゲームを無音でやるなんてもったいないことは出来ない性分なので、バスタフェロウズも例に漏れず無音でやったことはありません。このゲームは映画のような演出が魅力で、シーンがフェードアウトする際や細かな会話の端々にもテキストウィンドウに表示されないガヤがアドリブのようにたくさん入ってます。それはたぶんちゃんと台本があるセリフ達なんですけど、本当に彼らが彼らとして喋ってるかのように聞こえるぐらい自然で、今までのゲームにあったようで無かった没入感をくれる斬新な演出だと前作プレイ時に思いました。バスタフェロウズという作品の真髄がここにある、みたいな。

声優さんの名前が表に出るから声優さんって凄いよね、って思うんですけど現場には監督とかディレクションするスタッフの方々が居て皆さんで作り上げてるものですからね。そういうのを端々から感じて嬉しくなったり愛しくなったりするから、わたしはキャラクター全員が大好きだって言ってます。攻略キャラに限らず、ですね。まあ吐き気を催す邪悪も居るのでそれはそれこれはこれなんですけど、人間って多面性があるから一概に悪だとも善だとも言えないよねっていうのがこのゲームのテーマの一つだと思うので。



スケアクロウ(CV 白井悠介さん)

こやつに関しては断言できる、本作品のダークホースです。
スケアクロウは裏社会のボスを自称しているサイバーギークで、超絶技巧を持ったハッカーです。独自開発したAI「アニマ」を使ってフィクサーのメンバーをあらゆる方面からサポートしてくれる必要不可欠な存在で、シェアハウスの家主でもあります。もう存在がカッコイイじゃん……。

見た目通りすーぐ調子に乗るし子供っぽいところがある彼ですが、それは幼稚という意味ではなく本当になんていうかこう……情緒が幼いというかとても純粋な心を持っているんですね……。お陰でメンバーからは揶揄われたり悪口を言われたりすることが多いので、家主ルールとしてスケアクロウの悪口を言った奴は罰金というルールが存在します。逆に罰金払えば悪口言い放題とばかりに遊ばれたりしてる。色んなことで稼いでいるので超金持ち。

そんな明るくてコミカルな存在の彼にも個別ルートで明らかになる過去があって、それはきっと想像を凌駕するぐらい重たいものだと思います。ぶっちゃけ攻略キャラクター全員重たいもんは背負ってるんですが(じゃなきゃフィクサーなんてやってないので)、スケアクロウはちょっと抜きんでて重たいと個人的に思う。人の過去なんて比べるものじゃないんですけどね。

攻略対象の中では一番年齢が若くて主人公に近いので、良い意味で未熟な部分も目立ちますね。分かりやすいぐらい恋愛経験も未熟だしものすごーく奥手。そんな彼の一番の魅力は「やさしさ」だとわたしは思っています。単語だけ見れば月並みに見えるかもしれないんですが、わたしが思うにたぶん攻略メンバーの中で一番やさしいのがスケアクロウです。彼の主人公に対するやさしさは、無償の愛に近いものがあります。包容力ゲージがガチでぶっ壊れてると思う。そこだけは最年少とは思えないけど、最年少だからこそとも言えるっていうか。

そんな今の彼がくれるやさしさと、彼の重たすぎる過去がどうにもアンバランスなようで調和が取れてるっていうんですかねー……何とも形容し難い感覚なんですけど、個別ルートをプレイした上で改めてしっかりと「好きだ」って思える男でした。だからダークホースですね。

スケアクロウの魅力は、正直に言うと個別ルートをやらない限り言いたい事の半分も伝わらないと思っています。わたしにもっと秀逸な語彙力があればなーと思っていたんですが、たぶんどんな書き方をしても実際にゲームをやらない限り伝わりきらない。伝えることを放棄してるわけじゃなくて、マジでただの事実ってだけですが。こういうミステリアスな部分もスケアクロウの魅力なんだろうなと気付きを得ることができました。

そんなスケアクロウのお声は白井悠介さんです。
白井さん以外考えられる?わたしは考えられないです。はい拍手~👏
ふざけてるわけじゃなくてですね、白井さんの演技の中でもわたしはこうちょっと悲痛だったり悲壮感のあるセリフを演技されてる時の声の震え…って言ったら良いのかな、うーんとどう言ったら良いのか分かんないけど声の振動が好きなんですよ。聞いてるこちらの感情まで揺さぶってくるようなその声が。もちろん普段のおちゃらけたスケアクロウの演技は最高に可愛いし、けれど彼の抱えるデカイものは比にならないってさっき書きましたけど、それはギャップじゃなくて今の彼を形作っている一つに過ぎないとわたしは思っています。
だから、根っこの彼のやさしさや素直さを損なわずに、それでもスケアクロウが背負っているものを表現してくださるその声が大好きで、やっぱり白井さん以外に適役がわたしには考えられない。

スケアクロウは他のメンバーと違って素直なので色んな感情が表に出ます。それは普段の彼からはとてもじゃないけど考えられないぐらいのものも。
その全てを演じきっている白井さん、本当に凄いと思います。

長えって!!キャラ紹介が長えってー!!!



オススメ攻略順などなど

このへんは専門の攻略ブログとか見て頂いた方が良いかなーとは思うんですが、そんなに知名度がめっちゃ高いゲームでもないだろうと思うのでわたしの目から見た個別ルートのオススメ攻略順も書いときますね。
ちなみにBadもGoodも同時に回収することを前提にしています。

バスタフェロウズ
シュウ・モズ → ヘルベチカ → リンボ・スケアクロウ

バスタフェロウズSeason2
シュウ・スケアクロウ → モズ・ヘルベチカ → リンボ

大体リンボを最後にやれば大丈夫。なんとかなる。
そういう全面的信頼がおけるのがリンボ。Season2は順番自体は正直リンボ以外の4人は好きにやればいいと思うんですが、やっぱりリンボは最後が良いと思うかな……。あとスケアクロウはGoodはともかくBadが今世紀稀に見るエグ演出があるので……ちょっとどこに持ってくるか悩みましたけど、かといってシュウだけが1番目にふさわしいわけじゃないのでこんな感じになりました。シュウとリンボに寄せる圧倒的信頼感。

ほんと個人的なオススメってだけなんで、好きにやって良いとは思います。ただやっぱSeason2だけはリンボを最後にするのをオススメします。



Season2共通プロローグ・エピローグ感想(ネタバレあり)

あー長かった……。
ここまでたどり着くのに2日かかりました。文章って書きだして調子が出てくるとどんどん冗長になっちゃって、キャラ紹介はそれが露骨ですよね。
もっとスッキリ文章まとめろよとは思うんですが、ぐだぐだした冗長な記事がわたしの個性でもあるので思っていることをそのまま全部書いてます。

開き直ってないです。

で、ここからはSeason2の共通ルートであるプロローグとエピローグの感想を書いて行きます。とはいえ、セリフや状況の説明を詳細には行いません。ガイドラインで禁止されてるもんでねえ……。

あまり乙女ゲームの記事をちゃんと書いたこともないので抵触してないか不安なのですが、誰かになんか言われたら調整します。ヘルベチカのキャラ紹介とか内容こそ全く触れてないけど若干アウトな気がするしな……でも沼なのは事実だしな……。

はい、ここまでがクッションですよー。以下スクロールするとネタバレ始まりますので、バスタフェロウズこれからやりたい人はお帰り頂いてとっとと遊んでから戻ってきてくださいね。いってらっしゃーい!













めっちゃスクロール長く取っちゃった。
はい、Season2のお気持ち表明始めます。

Season2プレイ済みの人はみんな誰かの感想を求めて探しまくったんじゃないかなって思うんですよ。わたしも探した。見つけて読んで「だよねー!!」って安心した。わたしが感想記事を書こうと思ったのもこれが理由なんですよ。

そもそもバスタフェロウズSeason2を購入した人って、どう考えても前作が好きで推しキャラたちのその後が気になった人ばかりだと思うんですね。
これはバスタフェに限らず、乙女ゲームのFDや続編買う人はみんなそうですよね。くっついた「2人の未来」が見たくて買うんだと思う。たとえ店舗特典商法やFD商法にイラついてたとしても、作品とキャラが好きだからお金を払ってプレイする。

乙女ゲームをただのデバガメ侍としてプレイしているわたしだって、攻略キャラと主人公には困難が当たり屋してきたり主人公側が勝手に突撃したりするけど、その困難を乗り越えてまた更に強い絆で結ばれるだろうっていう今までの経験則っていうか……セオリー、もっと強く言えば担保みたいなものが心のどこかにあって、それを依り代にしてバスタフェロウズにおいては共通ルートという一つの大きな事件の流れがくっついてると思っていた。

でもその乙女ゲームのセオリーってやつをあえて外してユーザーの足場を崩してきたのがバスタフェロウズSeason2だった。

だからわたしは、あえてこう言いたい。バスタフェロウズSeason2は、乙女ゲームとしては欠陥品だって。


◆欠陥品
ネタバレ防止で見出し使えないのちょい面倒ですが、未プレイでここ読んでる人のために簡単に共通プロローグ、エピローグの展開説明をさせて頂きますね。詳細な内容はもちろんガイドラインで禁止されているので書きませんが、ここで重視したいのは詳細なストーリー内容じゃなくてゲームとしてのシナリオ展開とシステムの部分です。

まずバスタフェロウズSeason2、以降バスタフェ2と呼ばせていただきますが、そのルート開放順序は以下になります。

共通プロローグ

個別ルート

共通エピローグ(個別ルートGoodED5種回収で強制in)

これは前作も共通ですが、個別ルートを5人分GoodED回収して開放されるのが「共通プロローグ」に対して「真相編と呼べる共通エピローグ」です。
5人目のGoodEDを回収すると自動的にエピローグに入ってしまうので、バスタフェ2ではリンボを最後に攻略した方が良いとオススメさせて頂きました。

で、何が問題かってこの共通エピローグをプレイするためには5人分のGoodED回収が必須であることから、主人公はまずエピローグで「誰とくっついたルートなのか」という選択をすることになります。

わたしは此度、スケアクロウから共通ルートにinしたので「ちょっとまってまって頼む待って!」と言いながらとりあえずTOP画面に戻ったのですが、たぶん選択肢自体はそのままやっても変わらないと思うんですよね。

主人公の恋人はリンボなのか、シュウなのか、ヘルベチカなのか、モズなのか、スケアクロウなのか。

その選択肢の後はルートは固定化され、選択肢というのは何の意味も持たない演出がされる。それは「主人公が何かしなくても人は勝手に死ぬし変わらない」ってことを意味しているのだと前向きに解釈すれば受け取れます。

でもその実、ゲーム体験としては最悪だったと言っても過言じゃないです。

主人公が呼ぶ名前しか変わらないテキスト、相手の言葉だってトータルで見れば全員一言一句ほぼ同じで、運命は選択肢じゃ変わらずに恋人は殺される。それを助けるために時間遡行して、また人が死んで時間遡行して……結局、主人公は誰を殺すかという選択肢をしなければならない。あれだけ嫌っていたはずの命の選択をしなければならないところまで追い込まれてしまった。

そして時間遡行という能力を使い過ぎた主人公は、代償として記憶を断片的に失います。大切だった幼馴染との思い出、お兄ちゃんの言葉、そして恋人との大切な会話も。

その演出の後に話すのは主に親友のルカとだけで、恋人と2人きりの会話は存在しません。だからプレイヤーには2人の関係値がどうなってしまったのか明確には分からないけれど、恋人になったきっかけを忘れてしまったのだから関係性も忘れてしまったんじゃないか、とわたしは思います。

別にこのストーリーの内容自体に不満があるわけじゃありません。別にこういう乙女ゲームがあっても良いと思うし、メリバ(なのか?)よりはそりゃハッピーエンドが良いですけど、まあ1つの作品としてご都合主義なハピエンよりも代償がきっちり描かれた方が好感は持てる。

たださ、乙女ゲームって基本的にはフルコンプ前提じゃないですか。で、個別Goodを全回収してからじゃないと開放されないのがエピローグなわけですから、つまりさっきも書いたけど名前以外はテキストもほぼ同じ、選択肢も展開も何もかも代わり映えしないしんどい共通エピローグを5回見ることを強いられる。

ゲーム体験としてはもう本当、最悪。

せめてまだ各々の反応やシーンがもっと違っていれば、運命は結局変わらなくたって納得できたかもしれないのに。銃を持っている犯人にシュウが無防備に近寄って行った挙句に殺されるなんてわたしには想像がつかなかったし、ここら辺からシナリオのためのご都合主義が始まったなって思った。

わたしは共通エピローグも最初はモズで始めたので、モズだからあっけなく殺されてしまったのかと思ったけど全員死に方も雑談以外のセリフ回しも同じだったからね。

そもそも5人分周回する必要あるの?って話はあるんですが、誰のタイミングかは記憶吹っ飛んでたんで明確には覚えてないんですが、わたしエピローグ3周目ぐらいでアーカイブスが1個開放されたんですよ。たしかキャラそれぞれでエピローグをプレイして貰えるメモラビリアもあるからフルコンプするのには必須だと思います。


◆お綺麗なオブラート
「生きてさえいれば、全て強さに変えられる」というのは今作のテーマの1つであり主人公の信念になっている言葉ですが、すみませんけどわたしにはこの結末を迎えた主人公に対する皮肉にしか見えなかったですし、強くならなきゃいけないのは周りの方だろと思ってずっと見ていました。

特に主人公が前作でもトラウマレベルの傷を心に負ってしまったものですから、攻略キャラたちはセラピーに通っているなんて話もちらほら出てきてたんですよ。シュウが通ってたかは忘れたけど他4人はそれぞれ自分のためだったり主人公のためだったりと理由はともかく、セラピーに通ってた。
大切な人を支えたいから、そうやって出来ることを模索してくれていたんですね。

個別ルートでまた1つの事件を乗り越えて強まったはずの絆は、主人公の能力の代償に失われてしまった。攻略キャラや親友のルカは、形や物言いはちょっと違うけれど「もう能力を使わないで欲しい」と主人公にお願いしていました。知らない誰かの命を救って自分を傷けないで欲しい、って。

それでも生まれつき時間遡行の能力を持っている主人公の中では「放っておく=見殺し」で、そもそも何もしないという選択肢が無かった。それにたった一人気づいたスケアクロウは本当に凄いと思いました。主人公の立場で物事を考えていない限り、絶対に出てこない言葉だから。
主人公は個別ルートでも攻略キャラが死ぬ展開になれば迷いなく時間遡行した。しなかったルートもあるけど、5人中3人のルートで主人公は時間遡行をしている。主人公に「何もしない」という選択肢を与えられるのは、人が主人公の目の前で死ななかった時だけだというのはプレイヤーは身をもって知っている。

でも主人公は主人公で自分が選択し続けて得た結果なわけですから、ある意味自業自得――っていうと流石に可哀想か、ええと因果応報がギリ近い?であるとも言えます。前作で主人公も時間を遡った結果、人を不幸にしたりしているので。そういう可能性を知った上で今作だって時間遡行をしていたし、その時点で主人公の中で既に命の選択自体は行われている。でもそれは人間的に考えれば責められたことではないし、フィクサー達の正義にだってそういうところはある。物事はなんでも善悪両面を持ちますから。

だから今作では何度も何度もプロローグでグエロが言ってくれてた。
「人は片方しか選べない、どちらも選ぼうとするとどちらも失う」って。

でもさ、プレイヤーは選ぶことすらできなかったんですよ。
グエロの言葉をいくらプレイヤーが胸に刻んだって、主人公は勝手に個人情報を知らない奴にベラベラ話すし、敵か味方かも分からない奴と情報共有するし、前作のテウタだったらこんなことしなくない?って思うこともたくさんあった。他人を分かろうとすることと、無防備に他人に近づいていくことは違う。まあ今作は最初から主人公が情緒不安定なので仕方ないことだったのかもしれないですけど、ぶっちゃけそんなリアルな変化までは求めてない。
その因果のせいで大切な人が危険な目に遭うところまでキャラクターを追い詰めるのはいいけれど、それはアメとムチが良い塩梅にあるからこそ作品として成り立つのであってだな。

二次元のキャラクターの変化を制作陣のご都合だと思うかキャラクターの成長だと捉えるのかは、わたしは凄く難しいと思っている派なんですけどね。モズあたりはそれが個別ルートでも顕著だったかなと思うんですが、結果的にその「成長」かもしれない部分が「最悪の結末」を引き起こして、プレイヤーには為す術もなく、全体的に無力感に襲われるようなシナリオ傾向だったことは間違いないです。

前作のように「推理して動く」というパートもほぼ無かったしなー……「この選択肢でなんで好感度上がるん?」みたいなのばっかりで、因果の話であるのに因果関係分かり辛いみたいなところもまあ言っちゃえば不満。

だからなんだろう……「生きてさえいれば全て強さに変えられる」ってただのオブラートで包んだ綺麗ごとじゃね?って思ったんですよね。

確かに死んじゃったらそこで終わりだし、生きてさえいれば事態は好転するのかもしれない。わたしらプレイヤーには見ることは今叶ってないけれど、また新しい関係値で踏み出す恋人との未来も延長上にはあるのかもしれない。けれどそれはただの可能性の話で、為るべくしてなった結末は悪化の一途を辿るだけで、先にあるのは「死んだ方がマシ」っていう人生かもしれない。まあ実際たぶん、そういう絶望を乗り越えるために言い聞かせてきた言葉だから意図は間違ってないのかもしれない。

前作では「死ぬのは1回、今日じゃない!」ってテウタが言ってるんですけど、それと今回の「生きてさえいれば強さに変えられる」はなんかだいぶ主張するには状況が違う言葉だなとは個人的には感じたってのもあります。
なんつーかえーと……まだ「選ぶことができる」状態と「もう選べない」状態の中での言葉って言えば良いですかね。今作のキャッチコピーが「変わるか、終わるか」なので言ってしまえば初手から絶望は示唆されてたわけですけど。

アダムにメールを送り続けるのだって、主人公は気付かないフリしてるのかガチで気付いてないのかは最終的には正直分からんですが(アダム関連も連続時間遡行のせいで記憶がなくなってる)、ルカや他のキャラたちは気付いてるんじゃないかと思うんですよね。別にその行為を否定はしませんけど、ただなんていうか……わたしは見ててすごく辛かった。頑張って乗り越えようと思っているのに乗り越えられていないことばっかだったね。仕方のないことだけど、アダムの手紙だっていつかきっと尽きる時が来る。あー……えっと既にアダムはいないってことじゃなくて、時が流れる限り永遠なんてないしアダムにとっては時間は残酷だけど誰よりも早く流れてるだろうってことです。それを知った時に彼女たちはどうやって折り合いをつけて生きていくんだろう。生きてさえいれば全て強さに変えられる。

本当に、そうだろうか?
そもそも、強さに変える必要なんてあるんだろうか。

色々考えさせられるゲームだし、本当に嫌いじゃないですけど。

けどこれ乙女ゲームなんだよなあ、っていう前提を踏まえるとやっぱりゲーム体験は言わずもがな、どの選択肢を選んでも全て同じ運命に帰結するというのはどんな意図があったって手抜きにしか見えなくても仕方ないし、なんか攻略キャラの声優さん全員にテウタとしてセリフ言わせたかっただけじゃね?とも思っちゃうわけなんですよねー。実際、見どころそこぐらいしか無かったし。でもまあ共通ルートだから帰結先は全部一緒だろ、と言われればそうねー……って感じでしかない。

じゃあ最初の恋人選ぶ選択肢いらなくない?
結局のところプレイヤーもとい主人公にとっての人質或いは代償として誰が効率的かっていう選択肢でしかないんですよね。
別に共通ルートなんだからたとえばの話、人質に撃たれたのがサブキャラクターや特定の攻略キャラだとしたって、主人公は絶対に時間遡行をするんだからわざわざその選択肢をいれないっていうシナリオ作りも出来たと思う。失う記憶だってみんなの記憶を失うってことでも良かったと思うし。
演出として否定はしないけどさ、ニッコニコで推し選んだ方は推しをぶっ殺されるわけですからねー……そんなエグいことってあるかよ……。ひとのこころはないのか。考えれば考えるほどご丁寧に鬼畜ルート作ってるんですよ。

正直このあとにFDで補完するよー!とか言われても恐怖の方が勝つし、わたしは脳死で買うなんて決断はきっとできない。蛇足でしかないような気がするし、FDでたとえハピエンだよーって言われても「じゃあSeason2はなんだっ゛た゛ん゛で゛ず゛が゛!!!!」ってなるの目に見えてるし。

ただ世の中にはこんな乙女ゲームも存在するんだってこと自体は別にそれで良いと思うから、今度はユーザーのゲーム体験という視点でもう少し優しくしてくれたら嬉しいですね今度があるのかは知らんけど。


書きたいこと書いたらスッキリしました。
いつもぼやいてるだけだろと言われたらその通りなんですが、まあこの物語は勧善懲悪でもないしクライムサスペンスだけどヒューマンドラマの一面もあると思うんですよね。

だから主人公サイドだからって別に主人公たちが幸せになるとも限らないし、敵サイドだからって死ななきゃいけないわけでもない。
死ぬのも生きるのも幸せになるのも実は誰にでも権利があるようで権利なんてなくて、結局のところ誰かのために人生捧げたって不幸になる人は不幸になるし、どんな善人だって運が悪けりゃ死んじゃうし、どんなクソ悪人だって運さえあれば生き延びて幸せな家庭を持つことだってあるだろうし。
そういうのぜーんぶ含めて、人は自分の人生すら完璧にコントロールすることは絶対にできない。

それでもなりたい自分に近づくために努力することだけは出来ると思うし、いつか来る別れのために大切な人との時間を大事にすることだって「今」なら選べる。そういうことなんじゃないかなって思いました。はい。

結局のところ作品から何を受け取るかって受け取り側が勝手に決めて良いものですので、嫌だー!って思ったらこうやってぼやいて壁に投げつければ良いし、それで足りなかったらご意見送れば良いし、生のユーザーの声を聴かせてあげれば良いと思います。
制作側だって100%のものが出来た!って自信満々に送りだせてることほとんどないと思うんで、反省を生かして次!っていう目標が出来るし。それはクリエイター全般に言えることだし。

何事もそうなんですけど、目的と手段が入れ替わっても別に良いけど、ところどころで初心に帰るって大事だよなって思いました。

感想終わり。










おわり(ネタバレなし)

いろいろ書きましたけど、乙女ゲームをここでちゃんと取り上げるのは初めてだった気がします。わたしは別に乙女ゲームだったらなんでもやってるってほどのプレイヤーではないんですが、イケメンを探し求めているゾンビのようなものなので結果的に乙女ゲームも多くやっています、というだけで。

まあ別作品のタイトル挙げて比べるものでもないんですけど、やっぱバスタフェは演出という点に置いてはわたしが今までやってきた作品よりは抜きんでてると思います。

没入感という点では、たぶんこれに没入できる人はいないんじゃないか……?急にフィクサーになります、鮮やかな悪に染まれって言われて染まれる人おる?おるならすげえなと思います。

シナリオに関しては好き嫌いは分かれると思うし、乙女ゲームとしての糖度?もよくわからんけど足りないんじゃないですかね。わたしはゲロ甘苦手なんでスパイス程度に挟みこまれる会話ぐらいで丁度良いですけど、歴戦の乙女ゲーマーを満足させるタイプの作品かって言われたら違う気がする。

じゃあ改めて誰にオススメできるんだよって今考えてたんですけど、「変わった乙女ゲームがやりたい人」……か?

今までのテンプレに当てはまらない乙女ゲームがやりたい人にはうってつけだと思いますね。そこに関してはデバガメ侍が自信をもってオススメします。


さて、わたしは積みゲー消化にまた戻りますけども。
次はジャッジアイズとロストジャッジメントを続けて消化する予定ですね……。記事書くかは分からんです、たぶん書かないと思う。

わたしのゲーム指向完全にバレよるな。