見出し画像

いぬのこと①

犬と会話ができる。
才能や運命は信じていないが、もしあるのだとしたら僕に与えられた能力は完全にそれだと言い切れる。要するに、犬にめちゃモテるのだ。

勿論人のそれと全く同じく、性格と相性ってのは当然あるわけだから、僕への興味が無い子の攻略は難しいが、そうでもなきゃ簡単にお持ち帰りも可能だ。犬と3対3の合コンがあったとしたら、終電を待たず散歩でもしながら全員家に持ち帰れる。

特にこの能力は経験上、初対面の場面でいかんなく発揮される。
今や7万人のYouTubeチャンネル『シネマンガブラザーズ』で子供たちの心を鷲掴みにしている、たろちゃんの実家に同期の芸人3人でお邪魔したことがある。
可愛いトイプードルを飼っていたが、やけに相性が良くこれはもう無茶苦茶に遊んだ。
顔をなめ回すタイプの子で、近くの銭湯にみんなで寄った帰りだったが、顔に限定すれば、風呂上りより断然濡れてたと思う。
盛り上がりすぎて、最終的に犬アレルギーの小野澤くんを含めた複数プレイに発展し、小野澤が高熱を出す事態でフィニッシュを迎えたが、小野澤が2年後に芸人を辞めるきっかけはこれだったと思っている。

他にも、学生時代の友人宅で破滅的に仲良く遊んだ後、
友人ママが「あんたもう石井君の家行きなさい」なんていう
事実上の「娘をよろしくお願いします」をいただいたこともあるし、
塗装のバイトでお邪魔した家で、1時間の休憩時間を総動員して『口笛を吹いたらちんちんを見せる』という一芸を仕込んで帰ったこともある。
この時はそのお宅がもう完全にそっちの組関係者だったから、ご主人に「どうも。ウチのが可愛がってもらっちゃって。」って言われたときは全く笑えなかった。

これらの、初めましての犬と対峙したときには一応の共通項がある。
まず第一印象ってのがめちゃ大事だ。
全く敵意がないこと。なんなら魅力的ですよ?あなたのこと知りたいです!!的なオーラを相手の性格に合わせた出力でアピールする。
そこからはフランクな関係を望む子もいれば、徐々に打ち解けたい子もいるからそこを見誤ってはいけない。ノリが違うなあと思われたら修復に無駄な時間を割くし、その日はもう話を聞いてもらえない可能性が高い。

どこぞのナンパ術みたいな前置きをしたが、僕はとにかく犬と遊ぶ。
特に最近はヨソの家の犬とめちゃくちゃ遊ぶがその理由は何となく分かってる。

我が家の愛犬と長らく会話が出来ていない寂しさを埋めるためだ。
それもやむを得ない。
きっとこの夏が一緒に居られる最後の夏になるだろう。
いつかいつかと思ってる時がどうやら近い。

彼女との思い出はまた次回に。

あなたのおかげでバイトの時間を減らせます。 マジで助かります。マジで