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その17 仕事理解とアイデンティティ

なぜ仕事理解?

皆さんが就職活動をしていた時にどのような点に注目して会社を探していましたか。業種、業務、働く場所、給料、休暇、残業、社会保険などを見くらべて、エントリーされたのではないでしょうか。1次2次と何度かの試験をパスして入社されたのではないかと思います。新卒の方であれば、数か月の新入社員教育を経て、中途入社の方は即日、配属されたと思います。

 すでに皆さんは、就職に先立ち希望する仕事を調べる行動をとっているのではないでしょうか。これはこのブログその16で書いた環境理解の一部ミドル・ミクロ視点での環境理解ともいえるかもしれません。

今回は、環境理解の深堀として仕事理解について書きたいと思います。

  1. 職業とは「生計維持のために何らかの報酬を得ることを目的とする継続的な人間活動」

  2. 産業とは「事業所において社会的な分業として行われる財貨およびサービスの生産、または提供にかかるすべての経済活動」

申し訳ありません。言葉の定義から入ってしまいました。ここからわかるのは、組織が行う事業活動は、「社会的分業」であるということです。その「経済活動」を支えるために私たちは労働力を提供して対価を得ているということです。

見方を変えると、その組織がどのような社会的分業をもって社会に貢献しているのかを知る必要があるということです。さらに、私たち一人ひとりがどのようにかかわり、価値を生み出して報酬を得ているのか、その構造と意義を知る必要があります。
 この部分は、仕事理解の始まりでしかありませんが、次の項のアイデンティティにも関係してきます。同様にアイデンティティにかかわる仕事理解の項目としては、冒頭で挙げたような、働く場所や給料、休暇など求人票に書かれている内容もあります。

    代表的な仕事理解に含まれる事柄

  • 事業所の商流上の位置づけ

  • 仕事の内容と責任

  • 必要な能力

  • 期待される人間像

  • 作業環境

  • 入離職の実績

  • 財務状況

アイデンティティ

  広辞苑第五版によると「人格における存在証明または同一性。ある人の一貫性が時間的・空間的に成り立ち、それが他者や共同体からも認められていること。自己の存在証明。自己同一性」とあります。また、ダグラス・ホール(組織行動 米.1940-)によると第1の構成要素として「どの程度、自分の価値観・興味・能力・計画に気づいているか」、第2の構成要素として「どの程度、過去と現在と将来の自分について統合できているか」とされています。つまり自分どのような人間であるか客観視し理解しているかということです。

仕事を選ぶときの自身の思い(価値観や興味)との一致度合や、仕事を進めるときに発揮する能力や仕事に対するモチベーションをより高くするために必要な事柄がこのアイデンティティという視点ではないかということです。

仕事理解とアイデンティティとの統合

  ここまで書いてきたように、アイデンティティと仕事理解は深く関係しています。私たちが仕事に就いて、仕事を円滑に効率よく進め、より高い価値を生み出すためには、その要素を振り返って見直していく必要があると考えています。例えば自分の価値観や興味がAIやプログラミングにあり、相応の能力・スキルを身に着けていている自分を理解(アイデンティティ)しており、組織が求める「必要な能力」に合致していたなら、そこで働く「自分」は、その仕事に満足する(内的キャリア)ということになります。

 今回もややこしい話になってしまいました。機会がありましたらキャリア研修で「こういうことか」と腑に落ちていただける資料を作って共感していただければと考えています。

 ご質問やご意見は   ooshimatomohiro@gmail.comまでお寄せください。


2024©大島智宏

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