20kg超の私の赤ちゃん。
帰りの電車内で、立ちながら寝てしまった娘。
時刻は、夕方の5時半。
今日は祝日だからか、帰りの電車は混み合っていって座れる席はない。足をカクカクとさせながら寝ているので、転ばないか心配になる。
そこで、思いきっておんぶすることに。
20kgの娘を背負いながら電車の揺れを耐えるのは、結構なスキルを伴う。
すると、ちょうど停車したタイミングで席が空き、娘を座らせることに成功。
娘もすぐに、深く寝入った。
今日は久しぶりのデート
今日は娘と2人だけでお出かけ。
こんな時間は本当に久しぶり。
祝日の都心はどこも混んでいる。
用事があった表参道は、観光客とオシャレな人たちで賑わっている。
すると、温かいモノが手に触れる。
娘の手だ。はぐれないようにと、自分から繋いできた。
普段は息子と手を繋いでいるので、娘と手を繋ぐのはいつぶりだろう。
私を見上げる娘の顔が、和らいでいる。
娘の目を見ながら、しっかり話を聞けてるせいか、全身から喜びが伝わってくる。
いつもは、自由奔放な息子優先のわが家。なので、動きや時間を娘に合わせてもらっている。
娘のペースに合わせて歩く。たまにはこんな時間もいい。
かわいい声と、いろいろおしゃべり。
普段はいつも助けてくれたり、私を気遣うふるまいをしてくれる娘。
実際は、持参したペンギンのパペットで遊んで笑っている様子を見ると、まだまだ子どもだなぁと思う。
「うちは紫が好きなんだよね。青が混ざっててカッコいいから。」
数ヶ月前まではピンク狂で、上から下までパー子状態だったのに。女の子の気分は移ろいが早い。
お友達の影響で、自分のことを「うち」という娘。そういえば、私も小学生のとき、周りに合わせて「うち」って呼んでたな。
時代が変わっても、変わらないものがあるんだね。
そんなたくさんの発見をした1日で歩いた歩数は、8,500歩に達した。
娘の歩幅に換算したら、ゆうに10,000歩は超えているだろう。
いつもだったら抱っこと言うのに……。
自分の足で歩いたから、疲れるはずだよ。
電池切れした、娘の寝顔に思いを馳せる。
乗り換え駅への到着のアナウンスが聞こえてくる。娘はいまだ寝入ったまま。
さてと、覚悟をして娘を抱っこして、電車を降りた。
戦友の娘の重み
抱っこした直後は、ぎゅっと掴まっていたのに、徐々に脱力していく。
再び寝入ったようだ。
寝ると、なんでこんなに重いのだろう。
6年分の重み。
ふとそんなことを思った。
今まで、この子と数々の分岐点を乗り切ってきた。
生後1か月で夫はシンガポールへ
昼間はよく泣く子で、毎日2時間くらいベビーカーを押して歩いた。昼寝してもらうために。
1歳1か月でシンガポールへ。
とにかく娘の安全を守るために必死。
さらに、息子がお腹に宿ると、この子たちを守らねばと使命感はより高まった。
2歳直前に日本に一時帰国。
息子を1人で出産。
娘のイヤイヤ期が激しくて、精神が不安定な産後の私に応えた。。。何度もぶつかって激怒して、感情で怒ってしまう自分に自己嫌悪して。
夫とのすれ違いが深まる中、4歳で再度シンガポールへ。
栃木で入園した幼稚園は半年で退園となり、悲しくて娘と大泣きした。
移住して半年で本帰国が決まる。
奇しくも、娘の5歳の誕生日がシンガポールの幼稚園のラストデーだった。
こちらも別れが辛くて、先生と泣きあった。
2個目幼稚園は9か月で退園。
怒涛のごとく、栃木に戻り退職。
東京に引っ越して、3つ目の幼稚園へ。
私もライターを始めて、四苦八苦で。
でも、5年ぶりの仕事は楽しくて、でもうまくいかないこともあって、心ここに在らずのときもあった。
娘はすぐに馴染んで、お友達との世界の方がどんどん楽しくなってる。
「家にいるより、幼稚園に行きたい!だって、家でできないことができるから。」
そんなたくましい言葉が返ってくるようになった、娘6歳。
激動を乗り越えられたのは、娘を支えなきゃとの想いだったけど、いつの間にか娘からのベクトルが私にも向かうようになっていた。
あんなに小さかった赤ちゃんは、20kgを超えてずっしりと腕に食い込むように。
思い始めたら、駅のプラットフォームで涙が溢れた。娘の重みと変わらない温かさが、私をずっと支えてくれていたんだって気づいた。
「◯◯行きの電車にお乗りの方は、停車場所が異なりますのでお気をつけください。」
駅員さんのアナウンスで、現実に引き戻される。
はるか後方に停まった電車に向けて、ひた走る。大切な重い宝物を抱えて。
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