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ドイツ語とフランス語を同時に習得する方法

皆様、いかがお過ごしでしょうか?最近行った青山ブックセンターという本屋は広告代理店が好きそうなクリエイティブな写真集がたくさんあるお洒落な場所ですが、見向きもせずにフランス語検定1級の参考書を立ち読みしました。語学好きに恥じぬ振る舞いができたと、自画自賛します。

今日も語学習得について書いていきます。語学習得に年齢や国籍は関係ありません。いつでも脳を活性化させて、子供のような新鮮な状態にしてくれる自然のサプリです。大好きな女の子と初めて手を繋いだ時、嬉しい気持ちが湧いてくるのと同じで、言語で人と繋がるのはそれ自体が快感なのです。

脳というのは不思議な器官です。ものを考え、肺を動かし、心臓から血液を送り、痒いところを感知して手を伸ばしてポリポリするなどの一連の動きは全て脳からの電気信号です。また、こうした複雑な動きは意識で行っておらず、全て無意識です。長年、ビジネスの現場や論文などで英語を使っていると、考えるよりも先に言葉が浮かんできて、それを頭の中でもう一度見直すとすごく良くできた文章を書いている、ということがよくあります。これは英語が無意識に使えるからです。この無意識をいかに上手に使うか、言語上達の重要なキーになります。

東京大学の研究結果

言語上達と無意識の関係性について、2021年に東京大学が以下のような研究結果を発表しています。『日本語を母語とする参加者に対してカザフ語を新たに習得させ、MRI装置(注1)と文法課題を用いて言語習得のプロセスを調べました。その結果、左脳の言語領野の活動が、多言語群で二言語群よりも定量的に高くなりました。これらの結果は、複数の言語の習得効果が累積することで、より深い獲得を可能にするという仮説「言語獲得の累積増進モデル」を支持します。この仮説は、共著者の一人であるスザンヌ・フリン(米国マサチューセッツ工科大学 教授)がこれまで提唱してきたものです。日本の外国語教育で英語ばかりが取り上げられがちな中、多言語の音声に触れながら自然に習得することの重要性が科学的に明らかとなりました。』

要するに、「脳の言語を司る左脳のスペックが、1つの言語に絞って学習するよりも2つ以上の言語を同時に習う方が効率がよかった」という証明です。

義務教育の英語では歯が立たない

昔から、暗記や教科書を読み込むことを英語学習法と我々日本人は信じてきましたが、人の脳は計画して物事を覚えるような仕組みではないことが、先ほどの論文結果でわかったかと思います。僕自身、日本の大学を卒業するまではTOEIC240点と英語力は皆無でしたが、1年間のイギリス留学でペラペラ喋れるようになりました。イギリスの語学学校ではイタリア、スペイン、ロシア、チェコ、ポルトガルとさまざまな国の生徒がおり、一緒に会話をすると特有の訛りだったり、同じ国や地方出身の生徒同士が自国言語で話しているのを耳にしていました。そうした訛りや多言語を多く聴いてきた経験は、日本にいると得られない経験ですが、振り返ってみると、長期的には効果があったのだと実感しています。

ポーランド在住の時も、バルト三国やルーマニアなどを旅すると格段にポーランド語が上手くなっていることがありました。他のバイリンガルの友人についてもビジネスでバリバリ意見を言ったり、複雑な会話を聞き取る能力が高い人は、様々な英語(イギリス英語やシングリッシュ等)を聴いている人が多いのが特徴です。活きた英語学習ということを考えると、学校の板書をノートに写して暗記することよりも、無駄と思える遠回りをすることが上達の近道。学習用のYOUTUBEやオーディオが海外に行かなくても手に入る便利な世の中ですが、かえって自分の嗜好に合ったものを選んでしまいがちです。食わず嫌いをしない、できない、雑多な経験ができる海外経験は貴重です。

独創的な学習方法

「1言語を学習した生徒と2言語を同時学習した生徒の学習効率が2言語の方が良かった」という東大の研究結果ですが、これは結果が示されただけで、その論拠についてはまだ解明されていないことがポイントです。脳は謎が多いです。なので言語学習は、風変わりな勉強法でも効果が出るのではないか思っており、実践しています。一つは素読。参考書で基本的な単語や文法を覚えた後に、初級〜中級程度の小説を読むことです。理解できなくても読み進めることがポイントで、退屈と思ってもとにかく読み続ける素読をお勧めします。言葉のリズムをつかむことで自然な言い回しやフレーズが頭の中で構築されます。
それから2ヶ国語を同時に行う。ポーランド語とフランス語の学習やドイツ語と中国語の学習を同時に行うなどです。1言語を30分から1時間ほど学習し、別の言語を続けて学習する。没頭できる時は、習いたい言語に長時間集中してみる。脳が伸ばしたい部分を自由に学習してあげるといった感覚に近いです。子供と大人では学習方法が異なる、大人の勉強法は理論立てが不可欠と巷では言われていますが、同じ脳みそである限り子供に適するいくつかの方法は大人にも合っている、というのが僕の持論です。

語学とワインの共通点

ですので「来週までに単語を20個覚えること」や、「英文で自分の考えを400字以内で書くという練習」は試験にパスするためのテクニックであり、語学学習とは直接は関係ないと思っています。語学学習の醍醐味は、いかに知的好奇心を満足させ、脳の潜在能力を引き出すことにあり、そして一生モノの楽しみです。不思議なことに、知らない単語や読んだけれどわからない言い回しなどをあえてそのままの状態にしていても、ある日あっと分かる瞬間があったりもします。わからないことを辞書で調べず澱のように溜めておくと、言葉や音声がワインのように熟成されて生きた言葉として自分の中に蓄積されます。時間と手間をかけて自分の方法を見つけて取り組んでみる方が、人生の豊かさにもつながってくると思います。

今日は以上となります。読んでいただきありがとうございました。

最後になりますが、本ページでは、言語学習や海外生活のお得になる情報を配信しております。0から「住んでみた、働いてみた、恋してみた」を8年間積み重ねたノウハウを有料版で共有しております。宜しければそちらも併せてご覧ください。

では、本日もありがとうございました。また、皆様のお目にかかれることを楽しみにしております。(画像:ドイツ語の小説)

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