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匠の「SaaS事業PMFチェックポイント」を解説

懇意にしているセールスの匠さんがTwitterにてSaaS事業としてARR1億円を達成できるかチェックするポイントを公開されていました。大変わかりやすい指標でしたので、指標の紹介と事業改善のための解説をします。

SaaS事業として適正なリスティング獲得リード数と製品単価

匠さんは「リスティングで獲得できるリード件数月100件/CPA3万円以内」と発表しています。

これは月5万円〜10万円のサービスの例なので、仮に月50万円のSaaSの場合は月10件のリード獲得が目安になるでしょう。

SaaS事業は「ニッチで高単価」「マスで低単価」のどちらかから市場開発を始めます。主な対象は前者は大手企業向け、後者はSMB向けです。

SaaSの事業数値は初めは悪い。事業投資を行いPMFを目指していく

しかし、いきなり高単価のSaaSや、マスで売れるSaaSを作れれば苦労しません。
ニッチSaaSなのに低単価、マスSaaSじゃないのに単価が取れないということが発生します。
その理由は複数ありますが、機能、サービス、運用、信用、事例などが追いついていないのです。
また、SaaSは新しい事業でもあります。サービスが新しすぎて導入に時間がかかるのです。

そのため、SaaSの事業の運営とは、あらゆる事業改善アクションを高速で回し、徐々に単価改善ないしはマス化を狙って、製品サービスを市場に受け入れられる形にしていくことです。そして販売しうる単価ないし顧客数が一定の閾値を超えたときの状態をPMFと呼べます。

SaaSの成長パターンと多層からなる市場開発

SaaSの主な成長パターンには2つあります。
「①ニッチで高単価」パターンは、課題に深く刺さること、大手対応出来ていること。
「②マスで低単価」パターンは、トレンドになっており、誰でも使えるUXであること。

PMFのチェック項目は、匠さんロジックで言えば①月10リード/単価50万円、②月100リード/単価5万円をCPA3万円以内にリスティングで獲得出来ているか。

ALL STAR SAAS FUNDの投資先企業としては、①はログラス、②はSmartHRがわかりやすいでしょう。

ただし、SmartHRの顧客属性の拡張(エンタープライズ向けの機能拡張と単価改善)を見る限り、ベンチャー事業としてマーケットを広げていくには、顧客属性を多層階層で考え、①と②の複合体のような事業になっていきます。

以前、ALL STAR SAAS FUNDの神前さんの情報交換をしたときに、SaaSの価格モデルの理想はhubspotという話をしていました。
hubspotは個人向け、SMB向け、大手向けの複数の価格バリエーションを有しており、それぞれの顧客規模に応じた機能とソリューションが用意されています。

特定のマーケットからスタートし、成長過程で顧客セグメントを広げて、価格や機能もセグメントごとに最適化していくことがSaaSの成長戦略になるのです。

カスタマーサクセスのレベルの高さがSaaSの営業数値を大きく改善する

リードタイムと商談化率・受注率でPMFを図るという方法も匠さんは紹介されていました。

私の考えでは、リードタイムや受注率は、ROIの高さと信頼度(再現性)に表れています。つまり、ROIが高く、それが再現可能である。事実そうだし、そう信じられている状態。それがSaaS事業の営業数値を大きく変えるのです。
そしてこれはつまり、製品サービスによるカスタマーサクセスの水準の高さがものを言います。

リードタイムが短い、受注率が高いとは「社内稟議のしやすさ」とイコールです。つまり、会社として社内にツール導入の話を持っていったときに、スムーズに稟議が通りやすいかどうかです。

稟議の通りやすさは、顧客企業内の「課題の深さ、重要性、緊急度」に依ります。そのため、何が困るのかを絶え間なくヒアリングし、その課題にヒットした製品とカスタマーサクセスを作り込むほど、営業数値が改善します。

つまり、アウトプットとしては営業数値に表れるのですが、営業努力だけではなく、製品開発やカスタマーサクセスの努力をしなければ、SaaS事業は伸びないのです。

SaaS事業の経営改善ツールopenpage

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