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【試し読み】画像技術の宝物 ~「ナラティブ技術論」のススメ~ 中巻 画像技術は,いよいよディープなり!

 2023年12月に発行した電子書籍「画像技術の宝物 ~「ナラティブ技術論」のススメ~ 中巻 画像技術は,いよいよディープなり!」。同書の「まえがき」と本文の一部を抜粋して紹介いたします。ご執筆は輿水大和先生(中京大学名誉教授)です。

ま え が き

 アドコム・メディア㈱のO plus E 誌にて,『輿水先生の画像の話』という連載エッセイが2018 年1 月号からスタートした。『画像技術』を同誌の所掌のもっと主軸ちかくに置くためのお手伝いを依頼されたのだった。数えて5 年の一区切りの一環にて,これまでの連載記事を再構成して,このたび本書を出版することになった。

 『画像技術の宝物 ~ナラティブ技術論のススメ~』が拙著の名前である。本書では,画像技術研究の舞台に埋もれている学術的宝物も画像技術そのものの宝物も,さらにそれらを支える宝物的な知恵も力も広く深く探したいと願った。こんな欲ばった願いは,事柄とその出来事をあたかもナラティブ(narrative)に物語るときだけに結晶して見えてきてくれるような気がして,緩々でもいいので“現場を支える技術論” にもこだわってみたいと考えて,こんな副題を添えることにした。どちらについても,あたかも川辺で鋼はがねや砂金を探すような心持ちにて,僥倖と幸運に倦まず弛まずこの身を任せてみようと努めてきた。
 思い描いた読者であるが,万感を込めて,画像技術研究・開発の現場で闘っている敬愛する,実戦的ノービス,若き友人(novice)の諸兄姉に読んでほしい。画像技術が向かい合う現場に立ち会う時,わが立ち位置は,いつでもどこでも幾つになっても“ノービス” たらんと在ることが自然であって,かつそれが最強のプロフェッショナルな心構えに違いないからである。もしかしたら本書は,話題が画像技術に特化しているが,そうでない技術分野の読者にも通底して何かが届くかもしれないと夢想している。

 画像技術の今後には大きな期待ばかりで何の憂いもない。そうあるためには,迅速な舵取りやトレンドキャッチアップの短期的展望に是非もなく取り組みながら,社会と産業現場からの要請と期待に対して,また画像技術を下支えする諸子百家の天声に対して,真っ直ぐに向かい合っていることが肝要であると思っている。その折節において画像技術研究開発の日毎の糧に,そんな天声に耳を澄まそうと願った本書がその座右の片隅におかれていたらこんな嬉しいことはない。

「物まなびに心ざしたらむには,まづ師をよく択びて,その立ちたるさまを,よくかむかえて従いそむべきわざなり。」

(本居宣長,玉勝間十二の巻一節)

 本書は,上・中・下巻の3 分冊にまとめる。
 百聞は一見に如かず。
 聴覚,触覚,視覚,味覚,嗅覚といったヒトの五感において,広大な情報科学技術とAI 技術の画像モダリティと画像技術の存在感は断トツである。誕生は1970 年代で若輩技術と言ってよく,未だにその理論も基盤も発展途上にあることは上巻で触れたとおりであった。
この中巻では,発展途上において宿命的に担うべき,ディープなテーマに迫る話題を二つ設けた。一つは万能視覚とでもいってよいKIZKI 処理の実用的魅力に背中を押されてヒト視覚の振る舞いの学びを,二つは画像技術にとっての技術論とでもいうべき切り口を見つけ出す藻掻きを,顔研究と似顔絵生成と深層学習技術という具体例に助けを借りてトライしたい。

2023 年12 月
   著者記す   輿水大和

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電子書籍ですが,紙の書籍をご希望の方にはPOD(オンデマンド)書籍もあります。(POD版は電子書籍とは価格が異なります)

以下は本書の目次です。

目次
発刊に寄せて

第1部 等身大の科学技術,画像研究
 第1話 画像研究の事始め
 第2話 顔の画像研究の世界
第2部 画像技術の実世界,カッティングエッジ
 第1話 デジタル化問題のシャノン標本化と量子化
 第2話 デジタル化問題のその先
 第3話 画像のエッジ考
 第4話 新エッジ保存平滑化法の夜明け
 第5話 大局視覚と Hough 変換
 第6話 Hough 変換の実用強化作戦
 第7話 型破りな Hough 変換の発見
あとがき

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