水郷のまち越谷、地元の自治会と新たなコミュニティの融合

「御狩場」という宮内庁が管理する鴨を狩猟するエリアが埼玉県越谷市の元荒川沿いにあります。越谷には古利根川、中川、綾瀬川が囲み、中央を元荒川、葛西用水路、新方川が流れます。春になると土手の桜が満開になり、緑と水辺を楽しめます。

川が多いが故に、数十年前の越谷は大量の雨が降ると浸水するなど、水害の多い町でもありました。しかし大型ショッピングセンターがある、レイクタウンの名前の「レイク」の元となった「大相模調節池」がそれを改善します。集中豪雨などの局地的な出水により、河川の流下能力を超過する可能性のある洪水を、河川に入る前に一時的に溜める役割を果たすようになったからです。

上棟式ならぬ棟下式

御狩場の元荒川をはさんで対岸に「荻島」という地区があります。曲がりくねった川に囲まれた土地には、車が横断できるような道や橋がありません。地図をみると不便な土地の印象をうけます。しかしかえってそれが「とても静かで暮らしやすい」と話すのが南荻島まちづくりサポーター 代表 石野 剛史さんです。40年以上越谷の荻島地区に暮らす石野さんは「本当にいいところで落ち着ける」と越谷愛を熱く語ります。

この荻島地区に、越谷に本社をおく総合住宅メーカー「中央グリーン開発」が64戸の分譲住宅の開発をてがけました。

http://www.polus-green.com/property/detail.php?k=3757

ここはもともと朝日信用金庫の研修所があった場所でした。テニスコートなどが市民に解放され、地元の人にも親しまれた施設でした。中央グリーン開発が買い取ることになり、大型の分譲住宅のエリアになることが決定します。

市民に愛された場所を単に壊すのは忍びない。そして家だけでなくまちづくりを目指した中央グリーン開発は、コミュニティづくりに力を入れた分譲住宅の開発と販売を展開していきました。

まずしかけたのは「棟下式(むねおろしき)」です。家を建てる時に行う上棟式とは逆のものです。研修施設を壊す際の儀式として「棟下式」を地域住民を招いて行ったのです。施設に残っている欲しいものを持ち帰ってもらう、思い出の建物の壁や床に落書きする、神主さんにお祓いをしてもらう。

気がついたら親しんだ建物がなくなっていて、いつのまにか住宅が建っていた。そのような状況にせずに、建物とお別れをする機会を作ったのでした。

みずべのアトリエ

越谷市では50戸以上の住宅ができる際には、集会場を作る決まりがあります。中央グリーン開発は、その集会場づくりも地域住民と作っていきました。どんな建物がいいか、その中には何が欲しいか、ワークショップをしながら考えていったのが「みずべのアトリエ」という名前の集会場です。予約すれば誰でも利用できます。

集会場の椅子を住民が作ったり、前の庭の芝生をみんなで整備します。埼玉県からカヌーを借りた水辺のイベントも開催。考えるだけでなく、実際に手も動かしたり、参加する仕掛けを通じて、人とのつながりや、場所の認知が広がっていきました。

住む人が快適にその町で生活できるよう、ハードとソフトを一緒につくっていった中央グリーン開発。販売当初、売れ行きは決して勢いの良いものではなかったといいます。しかし、イベントやコミュニティの広がりが功を奏して、水辺の住宅については抽選になるほどの人気になりました。

古い人と新しい人

地域のコミュニティを活性化するには、そこに熱意をもって関われる地域の住民が欠かせません。それが石野 剛史さんでした。700戸の荻島の自治会に参加しながら、新しい分譲住宅のエリアの集会場を管理する中心人物となって、さまざまなイベントをしかけています。

企業側は単に住宅を建てて終了ではなく、丁寧に住民との対話や関係性を築いていきました。また、古くからいた人と、新しい住民の対立がほとんどうまれなかったのは「もともとあった自治体もしっかりしていた」と中央グリーン開発の担当者は語ります。新しい人を受け入れる土壌があり、行き違いがあった場合は、コミュニケーションをとって解決していける風通しの良さがあったといいます。

アイデアが次々にでてくる石野さん。本を媒介としたコミュニティ「北越谷まちライブラリー」のトークイベントでは「将来的には、沼の水を抜く番組のように、川の水を抜くイベントを企画して、不法投棄されている自転車や冷蔵庫を釣り上げ、川を綺麗にしたい」と話します。

住宅はまだ数件、残っているようなので、新たな住まいを探している方は、越谷移住計画を検討してみてもよいかもしれません。越谷の住民が言うのもなんですが、いい町なんです。

(オプンラボ 小林)

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オプンラボ 小林利恵子が出会った、変人、事柄、イベントなどについて綴ります。名前の由来は、宅急便の宛名に記載されたオプンラボの誤植。ハッピーなイメージなので、マガジンタイトルに採用。