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〈ゲーム感想〉【FE無双 風花雪月】①フォドラでもシネマティック一騎当千!

偶然が紡ぐ運命の物語

FEシリーズ✕無双シリーズのコラボスピンオフ。無双でお馴染みのお手軽一騎当千アクションとシミュレーションがうまく風花雪月に噛み合った、『FE無双』に遜色のない作品です。

コエテクと一緒に作ってる時点でこれが出るのを本当に楽しみにしてましたよ…。


世界観 - “神”の不在

タイトルの通り、“風花雪月の無双”です。フォドラの架空戦記『風花雪月』の各章をベースに「もしも、三級長が先生と出会わなかったら」という視点で新たな物語が紡がれています。

最初の士官学校編では苦しい時に寄り添える教師、ではなく同じ目線で横に並ぶ仲間と出会うことで物語が始まります。

といいつつも表向き主人公は流れの傭兵「シェズ(※男女共通デフォルト名)」ですが、そこは歴史ものを手掛けてきた無双、それぞれのキャラが引き立つように活躍の場が与えられてます。

その影響もあり、本編であった出来事が少しずつ変わっており、やがてより苛烈な戦争へと向かっていきます。

一番大きなポイントは士官学校時代を過ごしていないこと。

"偶然"による"必然"の消失。

生徒たちのコミュニティの形成に一役買っていたガルグ=マク大修道院のもとでの学びの日々がすっぽり抜け落ちます。おそらくですが、本編でも先生が先生になってなければ同じ道を辿っていたことでしょう。

これが上手いことシナリオに効いてきています。本来得られるはずだったものの代わりに、本編でギリギリまで温められていた闇うごだのダスカーの悲劇だの因縁や謎がすぐさま解決したり、エーデルガルトやディミトリの胸のつかえが少し取れたり、良い側面がありました。

○ ○ ○

逆に…

学校で学ぶということは異なる価値観に触れてそれを吸収する期間です。それがなかったことによる弊害を一手に受けてしまったリーダーがいます。


綱渡りの盟主。

金鹿メンバーはみな自由と責任に間に立たされていて、一見お互いが違う方向を見てるようで一つにまとまってる印象があったのですが、それは士官学校時代に培われたものだと気付かされます。

なんやかんや帝国や王国は家同士のつながりが太く、関係性がはっきりしていますが、同盟の場合、どこからともなくやってきた、後ろ盾不在の謎の盟主候補が人柄のみでみなを導く羽目になります。

3周遊んでいるうちにわかりますが、同盟だけ引き抜かれる人材が多いです。

傍らに立つ大人がいなかったことがダイレクトに影響していましたね。

クロードくん…!!

キャラクター - 欠けたピース

無双といえば多種多様なプレイアブルキャラとそのアクション。戦記物とは抜群に相性がよく、かつ三勢力に分かれさせたおかげで、皆の活躍の場が作られており良い感じです。

関係性の変化から聞いたことのある話を違う視点から語ってもらえます。(イグナーツが三年後、騎士の道を選んでいてモヤモヤしていた人もいるはず…)

肝心なところで揺らぐんでしょ、知ってるよ。
歴史が変わってもぶれない少女の例。いい笑顔。

知っているからこそ気づくことが多く散りばめられており、最高の本編の補完です。

そして、欠けていたピースがついに埋められるように、モニカ、ロドリグ殿、ホルストさんがそれぞれの勢力に参戦します。

こうしないと交わらない親子。

モニカ救出による歴史の分岐によってなされた、三名のプレイアブル化。知らなかったことや知りたかったことが全部、そこに詰められています。

『風花雪月』と変わらぬキャラ愛増幅システムは現在で、新たに書き下ろされた支援会話やPTTならぬPPTを目指したくなる遠乗りなどのアクティビティはもちろん、そもそもお気に入りのキャラを動かせること、そして専用のシナリオが用意されているため、何度も何度も味わえる良い作品です。

帝国の双璧。専用ムービーまであるとは。

がちょっと待ってください。

前作仲間にできたのに…し、使用できないキャラがいるだと…。アップデートで追加されると思ってました。ツィリル…アロイス殿…ギルベルト…ハンネマン先生…。

キャラゲーとしてこればかりはマイナスなポイントです。確かに門番くんも好きですが、門番くんの前にですねぇ…!

○ ○ ○

さて、今作の新キャラクター、シェズとその運命共同体たるラルヴァについて。

ベレトとソティスの“神”に対となるキャラクターとして、ちょっと強いだけの傭兵と技術を駆使する科学者の、人間性、社会性の強いコンビです。

発言なんかも割と俗っぽいというか砕けた表現が多く、共に歩む級長たちの良き友として描かれています。

まあ正直なところ、ラルヴァのファーストインプレッションは「こいつの言うことはあんま聞きたくないな…」という反骨心が芽生えてました。名前といい絶対腹に一物抱えてるでしょ。

疑うのも人であれば、信じるのも人であるよ。

シェズについてもなんだかデザインが野暮ったいというか、無造作ヘア、ゴツゴツアーマーで荒々しいバンカラな感じが、同じ傭兵という身分にありながらベレト/ベレスとは対照的でしたね。

先生が導くのであれば、みんなで考えようぜ!ってするのがシェズ。正解を提示するのではなく、ラルヴァのように問いかけて自分で考えるのがシェズなのでしょう。

その人皇帝だぞ!

○ ○ ○

そして脇キャラ達…。『風花雪月』では顔すらわからなかったキャラクターがほとんど登場します。どんな嫌な奴なんだろうと思っていたらそれどころかその手腕に舌を巻くしかないグロスタール伯とか、期待を裏切らないへっぽこヴァーリ伯とか。

そして王国ではあのマイクランすら(いろいろ条件付きですが)味方として登場します。

人々のために戦い罪を償わせる王国。

味方側は一人たりとも余すところなく使われるので、それだけでも『風花雪月無双』を楽しむ価値はあります。


今回は一回手終わらせようと思いましたが、やはり語りたいことが多すぎるのでいつものごとく前後編に分けます。

まだ語り切れていないところのほうが多いので、続きは次回。

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