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〈ゲーム感想〉【FE エンゲージ・後半】「作者の気持ち」が強すぎる

愚痴(はきだ)せ、新作のエムブレム

(ネタバレあり)
SRPGとしての一つの完成形と言ってもいい『ファイアーエムブレム エンゲージ』。やはり、と言いますかどうしても合わない部分はあります。作者の気持ち、なんとなく感じてしまうから辛いものです。
今回はエンゲージの悪いトコ編です。

良いトコ編はこちら:



UI/UX

今作、遊んでいて若干の煩わしさを感じませんでしたか?その原因、目的の情報にたどり着くまで“一手”多いところにあると見ています。

「実績」すぐ見つけられた?

例えば、各メニューやリスト間の繋がりが無く、それぞれがメインメニューを辿るしかないので、しばしば以下のようなユーザーの操作が発生します。

拠点メニュー」→「武器装備画面」(相性のいい指輪着けとこ)→「拠点メニュー」→「指輪装備画面」(スキル着け替えなきゃ)→「拠点メニュー」→「武器装備画面」→「継承スキル着脱画面」(SP溜まってるからほかのスキルも開放…)⇒エリア移動…

武器と指輪とスキルは密接な関係にあるのですが、何度もメニューを挟まないといけません。さらに指輪装備から継承スキル着脱へは直接移動できるルートはありません。メニューの並び順から見ると作成者側の意図としては「指輪→武器→スキル」の順だけを想定されているのでしょうか…。

煩わしいといえば、活動拠点のソラネルでは「アクティビティ」と言う名の直感ミニゲームがいくつか遊べます。試みとしては面白く、おぽのも「釣り」なんかは案外楽しめました。
ただ…

ただボタン連打するだけ、はゲームじゃないよ…

心なしか不服そう。

腹筋の「後半になるにつれ苦しくなっていく様」を表現したのでしょうが、要求される回数がさすがに多いです。しかもひたすらAボタンを連打するだけ。やらなくてもいいのが救いですが、筋肉体操周りのミニゲームはまだまだブラッシュアップできそうです。

UX(ユーザーの体験)は「作者の意図(やってほしいこと)」と「ユーザーの気持ち(やりたいこと)」の合致度で変わってきます。デザインや見せたいものへの意識が先行してしまい、実際触ったときの操作感はおざなりになっていることはエンゲージに限らずよく目にします。次回作はこれよりもさらにユーザーに寄り添っていただけることを望んでいます。


テキスト

ギャグキャラ、アホキャラは好きですか?おぽのは好きです。とはいえ、コメディを扱うときでも作る側はちゃんとしてないと困ってしまいます。

作品全体を通して特にコメディシーンは読んでいて辛い…。推し活とかジャンピング土下座とか古のオタクでも笑うかどうか。あと出来の悪い料理に「まずい!」とか「毒!」とか叫ぶメシマズネタも特に面白くないです。(ステータス上昇は美味しいので適当に飛ばして利用してます。)

おらっ笑え!(じゃあツッコんであげなよ…)

なんというか全体的にネタが古い…?そんな感じです。

支援会話も埋める気力は湧きませんでした。プレイヤーが欲しいのは、推しの新情報とかシチュエーションコメディとかその人の哲学であってキャラ属性を反復させるだけの会話は求めてないんです…。あれ?さっきの人との会話も似たような出だしだったような??

根本的な誤りも結構あります。鉛のティーカップって本気ですかエーティエさん。鉛を口にするものに使っちゃダメですよ。女王様、王子王女様方ってその敬称は独特過ぎやしません?
とにもかくにも、全編通して言葉の端々に気を遣っていない印象を受けてしまいます。

純粋な親切心によるアルフレッド王子弱体化計画。
宛名かな?

テキスト周りはさんざ言われた覚醒ifから進化してほしかった。間にキャラに沿った会話が安定しているEchoes、ボキャブラリー豊富な風花雪月を挟んだせいで余計に際立ちます。

その中でも絶対アカン台詞をあげるなら、これ。

貴様の手も血で汚れているぞ。

正直頭を抱えました。曲がりなりにも「戦争」を扱ってその台詞は無神経としか言いようがない。この台詞は全部自分にも返ってくるはずです。とどのつまり、同じ人殺しだ。この前後のシーンも今後の見せたいシーンの都合なのか味方全員の思考力が低下するため、ここでは味方側への共感がまずできなくなります。

何も小難しい言葉を使ってほしいということではないんです。ほんの少し、言葉と向き合ってほしい。正しい文法でなくその世界にふさわしい言葉かどうかを見てほしい。それが願いです。


演出

今作は珍しく会話にもサイドターン制を採用しています。どういうことか。つまり、相手が話し終わるまで他の人物は一切動きません。コトが起きても自分の出番まではじーっとしています。スポットライトを向けられるまでは背景に徹してると言ってもいいでしょう。

順番待ちの王子と守り人。

実機イベントはこれまでを考えても仕方ないところはあります。しかし進んだ描写技術に対して、この演出では違和感をおぼえるのも無理はありません。せっかくの素晴らしいCGが非常にもったいない使われ方をしています。

また問題の解決スピードが異様に早いです。限られた章数で話をまとめなくてはいけないのはわかりますが、それにしたって…その章で出た新事実が、その章の内に解消して以後のストーリーに影響を及ぼさない、というのはあまりにも空虚。

とか言いつつこの後、全部まるっと解決してくれる便利アイテムをくれる。

やりたいことはわかるけど魅せ方がとても見ていられない。設定が良くてもこの調子なのでほとんど入り込めませんでした。

この台詞の通り、直前のシーンは本当に自己紹介してるだけなんだよなあ…。

そんなこんなで事あるごとに制作側と自分のズレを感じてしまい、今作の世界観にはそんなにハマりませんでした…。

しかし、ゲームとしては間違いなく楽しい。シリーズ経験者ならなおのこと、今作は高難易度でも楽しいと感じられるのではないでしょうか。
もちろん、ノーマルで遊ぶのもよし、カジュアルで遊ぶのもよし。どんな人でも自分が楽しいと思える難易度でSRPGの良さを味わえるタイトルだと思います。

DLCストーリーの配信間近。まだまだ楽しみが続きますね。

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