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「サッカー小僧来る」

何の因果だろうか、あんなにも桜色が似合い、セレッソを終の棲家とするものと思われていた選手が、シーズン途中でオレンジ色のユニフォームを纏うなんて、、、。

退団に至った経緯の真相はわからないけれど、事の発端が彼の行動にあることは否めない。

行き場を失った彼に手を差し伸べたのは、ファジアーノ岡山の監督でエスパルOBの木山監督。そして、岡山の選手たちが温かく受け入れ、岡山のサポーター達も彼を温かく見守ってくれていた。
問題行動があった彼を練習参加させるについては、クラブとしても戸惑いもあったのではないだろうか。

しかし、そんな環境で笑顔を取り戻し、誰よりも大きな声を出し、賢明にトレーニグを積んでいたとサポーターは語っている。きっと、サッカーから離れていたことでサッカーができる歓びを改めて噛み締めたに違いない。

https://twitter.com/akarazmade12/status/1550330617061343232?s=20&t=heiAxzTB62x36KhZN9flpA

ファジアーノさんは、本当は彼を獲りたかったのではないだろうか。昇格目指すクラブとしては喉から手が出るくらいに素晴らしい戦力。けれど、彼の意向なのか、事情あってのことか、岡山さんとは縁がなかった。
それと、木山さんは、「彼が生きる場所はJ1なのだ」と思っていたのかもしれない。

そんな浪人生活を続けていた彼に、更に手を差し伸べたのがエスパルス。

公私で世間を騒がせた彼の獲得は、練習参加させたファジアーノさん以上の覚醒がエスパルスには必要だったはずで、その裏に大熊GMの強い決意、確信があったと思う。

セレッソの強化にいた大熊さんは、彼のことを知っていた。その溢れるセンスや技術の高さと豊富な経験は文句の付けようがない。
獲得には迷いもあったろうけれど、熱意を持って話をすれば解り合えると信じていたと思うし、ファジアーノでの姿を見て、信頼を寄せるに値すると考えたのだと思う。

大熊さんの熱意と、彼のサッカーをしたいという心からの欲求とが合致し、エスパルスへの加入に繋がったのは間違いない。

エスパルスOBで高校の戦友である村田くんは、「彼はサッカー小僧だ。」と言っている。雨で練習が無くなってもグラウンドに一人で練習していたというくらい。
本当にサッカーが好きなんだろう。その努力の裏打ちがあればこその代表や海外経験に繋がっていると思う。

サガン鳥栖戦で早速デビューした彼。
目の肥えたオレンジサポーターを唸らせるトラップを披露し、華麗なドリブル、正確なパスを繰り出し、期待に応えるプレーを随所に見せてくれた。
けれど、もっと素晴らしいと思ったのは、労を惜しまない守備だった。全力でプレスバックし、ボールを奪い、相手のパスコースを消したりと、その献身さの方にむしろ心を惹かれた。

もしも、彼がセレッソで問題行動を起こしていなかったら。
木山さんが手を差し伸べなかったら。
岡山の選手やサポーターが快く受け入れてくれなかったら。
エスパルスに大熊さんがいなかったら。
エスパルスが残留争いをしてなかったら。
彼とエスバルスは結ばれることはなかっただろう。不思議な巡り合せだと思う。

色々なことがあった彼だけど、アイスタで水を得た魚のように蘇った。
苦しかった時間と色々な人々の支えが自分を見つめ直すことに繋がったに違いない。
今回の移籍が彼のさらなる成長を促し、エスパルスに新しい息吹を吹き込んでくれるものと信じたい。

輝きを再び、乾 貴士!
暗闇を切り裂け、エスパルス!
掴むぞ残留、オレンジサポーター!

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