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半導体について 〜設計から製造までのプロセス〜 ②シュミレーション ③プロトタイピング編

どうも、おらうです!
今回は半導体 ②シュミレーションと③プロトタイピング編についてまとめました。
*本記事は全て無料でお読みいただけますので、ご安心ください☺️

本作はシリーズ物となり、以下は前回分となります。
半導体への理解が進むかと思いますので、こちらもご活用ください😄

半導体について 〜設計から製造までのプロセス〜
①設計編


②シュミレーション

役割

シミュレーションは、半導体設計における設計が意図した通りに機能するかを仮想的にテストすることを目的としています。
具体的には、設計された半導体の動作、性能、および電力消費を事前に予測し、問題点や最適化すべき箇所を特定します。


重要性

設計ミスの早期発見:
物理的なプロトタイプを製造する前に、設計上の問題を発見し、修正することができます。
これにより、コストと時間の節約につながります。

性能の最適化:
システムの性能と効率を事前に評価し、必要に応じて設計を調整することができます。

信頼性の向上:
異なる環境下でのデバイスの動作をシミュレーションすることで、製品の信頼性を向上させることができます。

建築に例えると、
新しい家を建てる前に設計図をチェックするようなものです。
シミュレーションを通して、
間違いを見つけて直す(設計ミスの早期発見)、
コストを抑え、計画どおりに進める(性能の最適化)、天候や使う材料の違いにも対応できるようにする(信頼性の向上)ことができます。


手順

①仕様定義:
設計の目標と要件を明確にします。

②モデル作成:
設計された回路やシステムの数学的モデルまたは論理モデルを作成します。

③シミュレーション実行:
作成されたモデルに基づき、異なる条件下でのシミュレーションを実行します。

④結果分析:
シミュレーション結果を分析し、設計の問題点や改善点を特定します。

⑤最適化と検証:
設計を修正し、必要に応じてシミュレーションを繰り返します。

このように、製品へ起こす前に、デジタル検証を通して製品の最適化や問題の早期発見を行うことで手戻りを減らしているんですね🤔


シミュレーションツール

①Cadence Design Systems(CDNS)
主なツール: Virtuoso/Spectre
アナログ、デジタル、混在信号回路設計のための包括的なEDA(電子設計自動化)ツールセットを提供しています。

②Synopsys(SNPS)
主なツール: HSPICE

高性能および低消費電力のデジタルデザインを可能にするシミュレーションおよび合成ツールを提供しています。

①Cadence(CDNS)と②Synopsys(SNPS)は、半導体設計業界で最も広く使用されているEDAツールの開発で知られており、デジタル、アナログ、および混在信号IC設計の幅広いニーズに対応しています。

③Mentor Graphics(Siemens)
主なツール: Calibre, Questa

IC設計検証、テスト、製造のための先進的なEDAツールとソフトウェアを提供しています。
設計検証とテストが特に強みであり、設計プロセスのさまざまな段階で品質を確保するのに役立ちます。

④ANSYS
主なツール: HFSS, SIwave

電磁場シミュレーション、シグナルインテグリティ分析など、特に物理シミュレーションに焦点を当てたツールを提供しています。
物理的な挙動(熱、電磁場、力学など)のシミュレーションに特化しており、デバイスの性能を最適化するために不可欠です。


③プロトタイピング

役割

プロトタイピングの主な役割は、設計の実用性を実際の環境で検証することです。
これには、設計が機能的に正確であること、性能基準を満たしていること、および予想される製造プロセスで生産可能であることが含まれます。
また、潜在的な問題や不具合を早期に発見し、最終製品の品質と信頼性を向上させる機会を提供します。
プロトタイピングは、設計プロセスの中で高度に専門化されたステップであり、最終製品の成功に直接関わっています。
最適なプロトタイピング戦略と適切なツールの選択は、時間とコストを節約し、市場への早期投入を可能にする鍵となります。


重要性

プロトタイピングは、理論やシミュレーションだけでは予測できない物理的な問題や性能の限界を明らかにすることができます。
この段階を経ることで、高価な量産前の誤りを避け、設計の修正が必要な場合にコストを抑えることができます。
また、市場投入までの時間を短縮し、競争力を高めることができます。

プロトタイピングを「ケーキ作り」に例えると、
新しいレシピでケーキを焼くとします。
レシピ上では問題なく完璧に見えます。
しかし、実際に材料を混ぜてオーブンに入れてみるまでは、そのケーキが期待通りに美味しく焼けるかどうかは分かりません。
もし焼きあがってみて、味が濃すぎる、または焼き時間が足りないと気づいたら、修正する前に試食することが重要ですよね。
これがプロトタイピングの役割です。
理論(レシピ)を超えて、実際のテスト(試食)を行い、問題を修正して最終的には期待通りの製品(ケーキ)を作ることができます。

では、プロトタイピングをしないとどうなるか?
このケーキの例をもう少し掘り下げてみると、もし最初に試食せずに、そのレシピで大量のケーキを焼いてしまったとします。
そして、イベントでそれらを出したところ、味が濃すぎることが判明しました。
材料や時間の無駄はもちろん、調理者(あなた)の評判にもダメージを与えてしまいます。
同様に、半導体製造でプロトタイピングを省略してしまうと、設計の欠陥が最終製品まで見過ごされ、巨額の損失や市場での失敗につながるリスクがあります。

手順

①テストチップの設計と製造:
シミュレーションでの検証後、最初にテストチップを設計し、小規模な製造プロセスを通じて製造します。

②物理的テストと検証:
製造されたテストチップに対して、機能テスト、性能テスト、および環境テストを実施します。

③データ分析とフィードバック:
テストから得られたデータを分析し、設計に必要な変更や改善を特定します。

④イテレーション:
必要に応じて、改善された設計でプロセスを繰り返します。

こうした手順を取ることで、生産前に製品の改良や問題点の洗い出しが実製造で行われるのですね🧐


代表的な企業

①TSMC (TSM)
世界最大の専業半導体ファウンドリ(受託製造企業)で、広範囲のプロセス技術で製造サービスを提供しています。
多くの半導体企業が設計したチップの製造をTSMCに委託しており、プロトタイピングフェーズにおいても重要な役割を果たしています。

②Intel(INTC)
半導体製造のリーダーであり、自社のCPUやGPUなどの製品を設計・製造しています。
また、ファウンドリサービスも提供し始めており、プロトタイピングから量産に至るまでの一連のプロセスを支援することができます。

③GlobalFoundries(GFS)
カスタム半導体の製造において世界をリードする企業の一つで、特にプロトタイピングと迅速な製品化に強みを持っています。
顧客と緊密に協力して、設計から製造までのプロセスを迅速に進めることができます。

④ASE Technology Holding
半導体製造だけでなく、パッケージングとテストサービスでも強みを持っています。
特にプロトタイピングフェーズでの包括的なサービス提供により、製品の最終形態に近いテストが可能です。

⑤SMIC
特に中国市場において迅速なプロトタイピングサービスを提供しています。
ローカルでの強いプレゼンスと製造能力により、特にアジア地域の顧客に対して迅速なサービス提供が可能です。

⑥Keysight Technologies(KEYS)
電子測定機器のリーディングカンパニーで、半導体のテストフェーズにおいて、電気的特性を測定する高精度な機器を提供し、設計が仕様を満たしているかどうかの検証に貢献しています。
これらの機器は、半導体チップの電気的特性、信号の完全性、熱特性などを測定するのに不可欠で、設計が仕様を満たしているかどうかの検証に役立ちます。


以上となります!
如何でしたでしょうか?
また次回お会いしましょう☺️


お読みいただきありがとうございました!
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