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「マニアはすごい」「マニアは楽しい」の理由と自分が読んだ小説の感想と学びをただひたすら…

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「マニアはすごい」「マニアは楽しい」の理由と自分が読んだ小説の感想と学びをただひたすら書いていきます。

マガジン

  • メフィスト賞受賞作家さんの作品に学ぶ

    メフィスト賞受賞作家さんの作品を読むたびに、感想と学びの言葉を綴っていきます。

  • マニアになって楽しく生きる。(格言集)

    マニアの凄さ、楽しさといった特徴の格言をまとめています。「マニアとは」から始まり、マニアのすごさ、楽しさ、マニアになるためには、マニアの品格といった感じで、増やしていきます。

最近の記事

「無事に返してほしければ」を読んで  (”子どもだから”という偏見を見直すのに役立つかも)

 この物語は3部構成で描かれている。最初の1部と2部と最後の3部は、物語としては繋がっているが、まるで違う作品のように感じた。    1部で事件が起き、2部と3部で解決するという構成になっている。登場人物は、夫婦と長女と死亡扱いとなっている弟の長男である。物語は、2年前に川で行方不明になり死亡扱いとなっている長男を誘拐したという電話がかかってきたところから始まる。そして、その事件のさなか、さらに姉も行方不明になる。2部は、姉の行方不明に関する事件の解決が描かれ、3部では、残り

    • 13 マニアの追求は、迷惑にもなるし、社会貢献にもなる

       マニアは自分の好き追及する。そして追及の結果、迷惑な場合もあるが社会貢献する場合もある。鉄道マニアが私有地に不法侵入して写真を撮っていたとか、社員のふりをして乗務員室に入ったとかといったニュースを見た。一方で、描くことが好きな鉄道マニア、いわゆる”描き鉄”の人が東日本大震災で被害を被った三陸鉄道の復興イベントに駅名標の挿絵や記念スタンプ、電車の外装デザインに取組、社会貢献しているという記事も見た。このように、自己欲求で他人に迷惑をかける人、自己欲求を他者への貢献という形で実

      • 上木らいちシリーズを読んで(一風変わった探偵を知りたい人にお薦めかも)

        こんな探偵の小説があるのかと思った。それに尽きる作品でした。素直に面白かった。探偵小説好きには一読の価値があると思います。援助交際を生業としている女子高校生が探偵の小説。援助交際が生業だからこその斬新な切り口で謎を解明していくことが面白く感動しました。だからといって、適当ではなく説得される論理性がさらに良かった。 パイアグラを飲むタイミング、男性のズボンのジッパーの開け方を軸にした推理、性行為をネタにしたアリバイトリック、Mの性癖があることを前提とした行動予測。援助交際の相

        • 『ギロチン城』殺人事件を読んで(ギロチンのことを少し知りたい方は、読む価値あるかも)

          ギロチン城と呼ばれる、ギロチンをはじめとする処刑道具が集められた城のような館のなかで、人を斬首し続けるロシア人形の逸話と降霊術や都市伝説として伝えられる”スクエア”という儀式を題材にしたミステリー小説です。最後に、ギロチン城はなぜギロチン城かわかるようにもなっています。 スクエアとは、真っ暗にした正方形または長方形の部屋の4角に4人が立つ。ある角の一人が対角線ではない違う角に向かってまっすぐ歩き、その角にたっている人の背をたたく。叩かれた人は、違う角へ向かって歩き、その角に

        「無事に返してほしければ」を読んで  (”子どもだから”という偏見を見直すのに役立つかも)

        • 13 マニアの追求は、迷惑にもなるし、社会貢献にもなる

        • 上木らいちシリーズを読んで(一風変わった探偵を知りたい人にお薦めかも)

        • 『ギロチン城』殺人事件を読んで(ギロチンのことを少し知りたい方は、読む価値あるかも)

        マガジン

        • メフィスト賞受賞作家さんの作品に学ぶ
          36本
        • マニアになって楽しく生きる。(格言集)
          15本

        記事

          「密室ロジック」を読んで(論理的な解明が好きな人向け)

          殺人事件が起きます。 論理のみで犯人を推理します。 犯人がAの場合、犯人がBの場合、もしくは犯人がAとBの共同の場合等、犯人となるパターンを列挙し、一つずつ犯行が加納であるかを論理的に検証します。動機の推測はありません。物的証拠の探索もありません。ただ論理的の検証した結果、犯人となる可能性は誰某だと帰結して、この本は終わります。本当に論理パズルの解き方を説明するような小説です。 例えば、ある登場人物Xが犯人の場合には、逃走ルートの可能性はABCの3通りあります。Aルートの

          「密室ロジック」を読んで(論理的な解明が好きな人向け)

          「スロウハイツの神様」と「V .T .R .」を読んで(創作に興味ある方にお勧めかな)

          「スロウハイツの神様」は、既に成功している映画脚本家と小説家、そして児童漫画家や画家等をめざすクリエイターの男女が棲むアパート(スロウハイツ)での物語。及びその小説家のデビュー作品。 本編でも言及されるが現代版トキワ荘をイメージしている感じがしました。小説家が手塚治虫で、売れない漫画家を世話する石ノ森章太郎が脚本家、そして、児童漫画家は、暴力的な漫画に悲観していたテラさんこと寺田ヒロオさんかなと思いました。 クリエイターとしての成功者、非成功者の苦悩、クリエイターにならな

          「スロウハイツの神様」と「V .T .R .」を読んで(創作に興味ある方にお勧めかな)

          「六法推理」を読んで(単純に面白い本を読みたい人にお薦め)

          面白かった。単純に続きが読みたいと思った。法律に詳しい学生が、サークル活動として、無料法律相談を行っており、相談してくる学生を法律知識で助けていく物語。 主人公は、司法試験にパスしていないが、法律の知識が豊富かつ論理力に長けている。しかし、人の行動原理を推理するのが苦手。また、周りにあまり心を開かないという設定。 ヒロインの女の子は、前向きで他人の行動原理を推理するのが得意。そして、他人の心(主人公にだけかも)にずかずかと入っていく性格という設定。 この二人が、それぞれ

          「六法推理」を読んで(単純に面白い本を読みたい人にお薦め)

          「サーカスから来た執達吏」を読んで

           面白かった。時代は大正時代、サーカス出身の借金取り(執達吏)の少女と借金の担保として執達吏に預けられた少女の二人が、借金返済のために、ある華族の財宝探しをする物語  大量の財宝が数時間で消失する不可解な現象、その際に起きた殺人事件、財宝の場所を示す暗号といった謎を解いていく物語ではあるが、結局のところ、借金の担保として預けられた女の子の成長の物語であった。    借金取りの女の子は、家族はいない、字が読めないが頭が良く行動力もありマイペース、良くも悪くも非常識という性格。

          「サーカスから来た執達吏」を読んで

          各務原氏の逆説シリーズ2冊を読んで

           とある高校のとある事件について、生徒が用務員さんに相談しながら解決していく物語  用務員さんは、経歴不詳・年齢不詳ではあるが知識があり頭もよく、生徒の相談もよく受けるという設定になっている。    事件を解決したい生徒が用務員さんに相談するという形で、アリバイや証拠・証言を用務員さんに提供し、用務員さんがその謎を解くという安楽椅子探偵風小説である。  安楽椅子探偵”風”としたのは、この用務員さん、あらゆる可能性を列挙し、論理的に推理していくのだが、一部推理も外せば、魅せ

          各務原氏の逆説シリーズ2冊を読んで

          魔女の原罪を読んで(道徳の勉強に)

          この本は、 ”法律違反以外は自由”という校則の高校。特定の人物に対する無視は、”話をしないという個人の自由選択の範囲内”であり、法律違反ではないため、校則違反ではない。そのため、全生徒が特定の人物を無視している事実を学校側が認識しても、何も対応しない。そんな学校で、校長先生が盗難事件があったと発表する。盗難事件を起こした生徒に対して、全校生徒が、”話をしない”という選択を実行する。主人公の青年は、そんな学校に違和感を抱き、その生徒を助けるべく、盗難事件の全容把握に努め、無視

          魔女の原罪を読んで(道徳の勉強に)

          「傲慢と善良」を読んで(生き方に関するちょっとした参考書)

          面白かった。読んで良かった。小説としてではなく、生きることを学ぶ本として。 自分の意志で生きてきた男性(傲慢)と母親の言いなりで生きてきた女性(善良)の、ぞれぞれの考え方や価値観、そして世界の捉え方について、結婚をテーマに教えてくれる本です。  女性から男性へ「ストーカーが家に来ている」という電話から、物語は始まります。その電話をきっかけに、二人は同棲し結婚を約束する。しかし、何も言わずに女性が突然行方不明になる。  男性は、ストーカーに誘拐されたのではと考え、ストーカー

          「傲慢と善良」を読んで(生き方に関するちょっとした参考書)

          僕のメジャースプーンを読んで(自分で決めることが苦手な方におすすめ)

          単純に面白かった。 他人の行動を制限できる能力を持つ少年が、偶然、その能力を使ってしまう。それを知った母親から危険な能力と言われ、使用を禁止されていた。 しかし、2年後、仲良くしている女の子が理不尽な目に遭い心を閉ざしてしまう。少年は、一週間後にその原因となった青年に会う機会を得る。禁止していた力を使いたいと少年は考えた。母親は、使って欲しくなかったけれど、同じ力を持つ先生(母親の叔父)のもとで、この力を勉強させることにした。さて、少年は、この力を青年に使うのか、使うとした

          僕のメジャースプーンを読んで(自分で決めることが苦手な方におすすめ)

          「子どもたちは夜と遊ぶ」を読んで

           辻村深月さんの出版された2作目の作品。デビュー作は、非常に引き込まれサクサクと読めたのに、正直、今回は読むのに少し苦労した。感想を書くのも難しい。不可解な殺人事件が発生し犯人は誰かといった要素もあるが、ミステリー小説というよりも人の心情や人間関係の機微に重きをおいた小説と感じた。  優越感を満たすために特定の人と付き合う人。真面目で人に寄りかかれない人。ダメ人間に依存する人。家族の思いにすがって生きる人。そういった完璧ではない人の思いや感情が描かれたミステリー風作品。  頭

          「子どもたちは夜と遊ぶ」を読んで

          閻魔堂沙羅の推理奇譚6、7を読んで(テンポの良い推理小説が読みたい人にお勧め)

           このシリーズは、1話完結の短編または中編小説である。死んだ人に対して天国か地獄かを判断する閻魔大王代理の閻魔堂沙羅と死んで復活する各話毎の主人公を中心とする物語である。起承転結もパターン化している。  起:主人公の悩みや人間関係が描かれる。  承:主人公が何者かに殺される。  転:沙羅が主人公に、生き返りたかったら自分が死んだ謎を解きなさいと    提案し、主人公が推理する。  結:主人公の推理が成功し、主人公が生き返り、今までと違う生き方が始   まる。  推理に失敗

          閻魔堂沙羅の推理奇譚6、7を読んで(テンポの良い推理小説が読みたい人にお勧め)

          「匣の中」を読んで(蘊蓄が語られる小説に興味がある人には、たぶんお勧め)

          「奇怪な事件」「みんな探偵みんな容疑者の推理合戦」「理解を超えた結末」そんな奇怪な小説です。1964年の「虚無の供物」1978年「匣の中の失落」、1988年「匣の中」、2007年「天帝のはしたなき果実」・・・。僕の知識が足りず、列挙できる数は少なく申し訳ないが、このような奇怪小説は、もっと世にあって、将来も生まれ続けるだろうと考えている。  奇怪な事件が起きる。関係者が集まる。その関係者が順番に探偵となり、推理を披露する。その推理を誰かが否定し、違う人が違う推理を披露する。

          「匣の中」を読んで(蘊蓄が語られる小説に興味がある人には、たぶんお勧め)

          「幻告」を読んで(選択により物語が変化するゲームが好きな人にお勧め)

           面白いゲームをしている感覚だった。望むエンディングに向かって、どの選択肢を選ぶかに悩む。これを選択するとこんな物語になるのかというのを楽しむ。そんな感じの本でした。「かまいたちの夜」のようなサウンドノベルが大好きな僕には、最高に楽しい小説だった。  裁判を舞台にした物語、公判の進行に合わせて物語も進行していく。主人公の行動によって、公判の内容や人間関係が変化していく。最後の判決はどうなるのだろうか、主人公は最後にはどうなっているのだろうか、ハッピーエンドもバッドエンドも両方

          「幻告」を読んで(選択により物語が変化するゲームが好きな人にお勧め)