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第35話 ウルウルはどうなる?

35. There is ~./There are ~. の文

(9月30日 ソン太宅④)

かつては国内シェアNo.1を誇った羊毛加工会社ウルウルも、いよいよ倒産の危機が迫ってきた。
ソン太の父アイソンを謀り、会社を乗っ取ったアイソンの義弟ペリアスだったが、彼は私腹を肥やすために相変わらず会社の売上金を横領していた。
さらには、商品販売においても、その辺から拾ってきたような布切れをウール100%の高級セーターと偽って高額で客に売りつけたり、ネット販売では、ムートンブーツの代わりに使い古したゴム長靴を送ってみたりと、会社の評判はガタ落ちだった。
社長に嫌気がさした従業員たちは次から次へと辞めていき、今や会社はペリアス1人の詐欺会社と化していた。――
風の便りで、ソン太もそのことにはうすうす気付いていたが、そうなると精神的にもピリピリしてくる。
ちょっとした相手の言動にも、ついかっとなってしまうことも度々あった。――
授業が終わり、教室を出ようとしたところへ、「おい、ソン太」と、クラスメイトが話しかけてきた。「お前んとこの会社、ヤバいらしいな」
「ふんっ、余計なお世話だろ」
「うちの母ちゃんが言ってたぜ。ボロボロのセーターを押し売りされた、って。どうしてくれるんだよ。責任取れよ」
「知るか! 大体、今は経営者が違うんだからさ。俺には関係ないし」
「でも、お前、次期社長なんだろ。お前の父さんがやってた会社なんだしよぉ」
「うるさいなぁ、放っとけよ!」
「何だ、その言い方は、ああ?」
と、彼はソン太の胸ぐらをつかんだ。
が、背後からさらにその手をつかむ大男がいた。
「やめとけ」と、ヘラクレス。「人それぞれ、事情があるんだからよぉ」
「ま、まぁ、……そうだな」
「何?」
「い、いや、……そうです、ね」と、にわかに意気消沈して、その場を立ち去るやんちゃ坊主。
「あんまり、気にすんなよ」
「あぁ。ありがとう」
「何てったって、俺たちには大事な目的があるんだからよぉ」
「うん、……まぁ、そうだね」
「ところで、出発はいつだ?」
「一応、高1の夏休みに、って思ってる」
「1年後か」と、腕を組むヘラクレス。「間に合うかなぁ」
「何が?」
「か・ら・だ」
「はぁ?」
「鍛えとかなきゃな」
それ以上、鍛えてどうする? とも思ったが、良き友の協力を得られたソン太は喜びと感謝の気持ちでいっぱいだった。――
音楽室の前を通ると、何か心地よい、と言うよりも、ここは別世界かと勘違いしてしまいそうになる空気が漂っていた。
オルっぺの竪琴だった。
「あいつも、いろいろありそうだな」
「そうだね」
2人はしばらくの間、彼の演奏をその場で黙って聴いていた。――

「ども! 家庭教師のタムラです」
「やぁ、先生」と、ケイロンが出迎えた。「お陰様で、最近、随分とヤル気が出てきたみたいです。本当にありがとうございます」
「いやいやいやいや、まだまだ、これからですから。では、行ってきます」

「どぉれ、やっぞぉ。今日のテーマは『There is ~./There are ~. の文』ね。はい、早速、<アテナの黙示録35>を見ておくれ。

<アテナの黙示録35> There is ~./There are ~. の文
【1】 There is ~./There are ~. の文
|★There is ~./There are ~. で「~がある/~がいる」の意味になる。
|★There is ~./There are ~. の文の主語(=「~が」にあたる語句)はbe動詞のうしろにあり、be動詞は、単数主語であれば is/was を、複数主語であれば are/were を使う。
|★there は「そこに/そこへ」と訳さない。
|★普通、「場所」を表す修飾語句を伴う。
||例1)There is a pen on the desk.(机の上に本があります)
||例2)There are some pens on the desk.(机の上に何本かのペンがあります)
|★この構文は、the/this/that や人称代名詞の所有格(=my/your/his/her/its/our/their/Tom’s)で限定されたものが「ある/いる」場合には使えない。
||例1)There is the pen on the desk.(×)
|||||→The pen is on the desk.(机の上にそのペンがあります)
||例2)There are your pens on the desk.(×)
|||||→Your pens are on the desk.(机の上にあなたのペンがあります)

いがぁ。There is ~./There are ~. で『~がある/~がいる』の意味になるよ。例えば、『机の上にペンがあります』であれば、There is a pen on the desk. ってことね。で、この文の主語(=この場合は a pen)は、be動詞(=この場合は is)のうしろにあるんで、もし、主語が『何本かのペン(=some pens)』みたいに複数主語であれば、There are some pens on the desk. ってなるよ。OK?」
「はい」
「じゃあ、『テーブルの上に本があります』だったら?」
「There is a book on the table.」
「てことさ。『テーブルの上に2冊の本があります』だったら?」
「There are two books on the table.」
「てことね。OK?」
「はい」
「『ドアのそばに猫がいます』だったら?」
「There is a cat、あれっ、『ドアのそばに』って何でしたっけ?」
「by the door」
「あ、そっか。じゃあ、There is a cat by the door.」
「そのとーし! 今みたいに『~がいる』って言うときにも、There is ~./There are ~.を使えるからね」
「はい」
「で、ここで注意なんだけど、『~がある/~がいる』っていう意味でも、There is ~./There are ~. が使えないときがある。それが5番目の★ね。the/this/that や人称代名詞の所有格(=my/your/his/her/its/our/their/Tom’s)で限定されたものが「ある/いる」場合には使えない、ってことよん。例えば、『机の上にそのペン(=the pen)があります』って言うときは、There is the pen on the desk.(×)とは言えない、ってことね。じゃあ、どう表現するかっちゅーと、普通に the pen を主語にして、The pen is on the desk. って言うよ。『私の猫はドアのそばにいます』だったら?」
「There is じゃなかった、My cat is by the door.」
「てことね。OK?」
「はい」
「んで、次、【2】、There is ~./There are ~ の否定文。

【2】There is ~./There are ~. の否定文
|★There is ~./There are ~. の否定文は、be動詞のうしろに not を入れてつくる。
|★否定文では、some を any に代える。
||例)肯定文:There are some pens on the desk.(机の上に何本かのペンがあります)
||||否定文:There are not any pens on the desk.(机の上にはペンが1本もありません)
|||||||=There are no pens on the desk.
|||||||※not any ~= no ~ で「1つも~ない/全く~ない」の意味になる。

まぁ、be動詞の文なんだから、否定文にするときは、be動詞のうしろに」
「not を入れる」
「そ。ただし、『いくつかの』を表す some は、否定文では any に代える、ってことをお忘れなく。例えば、There are some pens on the desk. (机の上に何本かのペンがあります)を否定文にしたら?」
「There are not any pens on the desk.」
「そ。で、ここでまた注意なんだけど、not any ~ っていうのは、非常に強い否定なんで、訳すときは『1つも~ない/全く~ない』ってなるよ。よって、今の否定文を日本語に訳すと?」
「『机の上にはペンが1本もありません』」
「てことね。それから、入試レベルでちょいと覚えといてもらいたいんだけど、この not any ~ は no ~ で書き換えられる、ってことね。この場合の no は『いいえ』じゃなくて『全く~ない』っていう意味の no ね。よって、今の否定文を no を使って書き換えると?」
「There are no pens on the desk.」
「てことね。OK?」
「はい」
「んで、【3】、There is ~./There are ~ の疑問文。

【3】There is ~./There are ~. の疑問文
|★There is ~./There are ~. の疑問文は、be動詞を there の前に出してつくる。
||例)肯定文:There are some pens on the desk.(机の上に何本かのペンがあります)
||||疑問文:Are there any pens on the desk?(机の上に何本かのペンがありますか)
|||||||※疑問文では、some を any に代える。
|||||||※答え方:Yes, there are.(はい、あります)/No, there aren’t.(いいえ、ありません)
|★How many +名詞の複数形~ are there +場所…? で「…には~がいくつありますか」の意味になる。
||例)How many pens are there on the desk?(机の上にはペンが何本ありますか)
||||―There are five (pens).(5本あります)

いがぁ。There is ~./There are ~. の疑問文は、Is there ~?/Are there ~? になるってことね。答えるときは、there で答えるよ。よって、There are some pens on the desk. (机の上に何本かのペンがあります)を疑問文にしたら?」
「あれ? 疑問文でも some は any に代えるんでしたっけ?」
「そうよん」
「じゃあ、Are there any pens on the desk?」
「そのとーし! そうすれば、『机の上に何本かのペンがありますか』っていう疑問文になる。はい、yes で答えたら?」
「Yes, there are.」
「そ。no だったら?」
「No, there aren’t.」
「てことね。ここまで、いい?」
「はい」
「んで、最後に、『いくつありますか』ってたずねるときの言い方。さて、『個数』をたずねるときは、何を使うんだったっけ?」
「How many」
「そ。How many のうしろには必ず名詞の複数形がくるからね。よって、『机の上には何本のペンがありますか』だったら?」
「How many pens、……ん?」
「there are の疑問文なんだから」
「are there」
「そ」
「How many pens are there on the desk?」
「てことよん。はい、『5本あります』だったら?」
「There are five pens.」
「そ。pens は、この場合、敢えて言わなくてもわかるから、普通は省略するよ」
「There are five. でいいのか」
「そ。OK?」
「オッケーです」
「おしっ。んで、ちゃっちゃと<スピンクスの謎35>をやっちゃうよ。

<スピンクスの謎35> There is ~./There are ~. の文
次の英文を(  )内の指示に従って書き換えなさい。
(1) There is a dog under the tree.(否定文に)
(2) There are some people in the park.(疑問文に)
(3) There is your notebook on the desk.(正しい英文に)
日本語の意味になるように(  )内の語句を並べ換えなさい。
(4) (students / are / how / there / many) in the classroom?(教室には何人の学生がいますか)
2つの英文がほぼ同じ意味になるように(  )内に適語を入れなさい。
(5) There were not any children in the park.
||=There were ( ) children in the park.

はい、(1)から、書き換えた英文読みぃ」

次の英文を(  )内の指示に従って書き換えなさい。
(1) There is a dog under the tree.(否定文に)

「There is not a dog under the tree.」
「そのとーし! is のうしろに not を入れるだけね。はい、書き換えた英文の意味」
「木の下には犬がいません」
「おしっ。はい、次、(2)、書き換えた英文読みぃ」

次の英文を(  )内の指示に従って書き換えなさい。
(2) There are some people in the park.(疑問文に)

「Are there some(×)」
「まてまてまてまて、大事なルールを忘れてるぞ」
「あ、Are there any people in the park?」
「そのとーし! some は疑問文では any に代える、ってことね。ちなみに、yes で答えたら?」
「Yes, there are.」
「そ。there で聞かれたら、there で答える。no だったら?」
「No, there aren’t.」
「おしっ。書き換えた英文の意味は?」
「公園には人々がいますか」
「おしっ。はい、次、(3)、正しい英文読みぃ」

次の英文を(  )内の指示に従って書き換えなさい。
(3) There is your notebook on the desk.(正しい英文に)

「Your notebook is on the desk.」
「そのとーし! ところで、なんで There is ~ は使えないの?」
「your notebook が主語だから」
「そのとーし! There is ~ は、人称代名詞の所有格で限定されてる主語には使えないんだった。いでしょ。はい、意味」
「あなたのノートは机の上にあります」
「おしっ。はい、次、(4)、並べ換えた英文読みぃ」

日本語の意味になるように(  )内の語句を並べ換えなさい。
(4) (students / are / how / there / many) in the classroom?(教室には何人の学生がいますか)

「How many students are there in the classroom?」
「そのとーし! ちなみに、『40人います』って答えるときは?」
「There are forty.」
「おしっ。いでしょ。はい、ラスト、(5)、答え入れて読みぃ」

2つの英文がほぼ同じ意味になるように(  )内に適語を入れなさい。
(5) There were not any children in the park.
||=There were ( ) children in the park.

「There were no children in the park.」
「そのとーし! not any ~ は no ~ で書き換え可能だった。ちなみに意味は?」
「公園には子供が1人もいませんでした」
「そ。not any ~/no ~ は『全く~ない』っていう強い否定を表すからね。いでしょ。はい、今日のところ通してどっか、質問ある?」
「ありません」
「おしっ。んで、本日終了。おつかれさ~ん」

階段を下りると、ケイロンが待っていた。
「先生、お疲れ様です。これ、よかったら家で飲んでみて下さい、……新発売のビール」
「何だべ、すみません」
「私も飲みましたが、……なかなか、ウマいよ!」
「マジすか。(『ウマだけに』、とかってやめてよ)」
「ウマだけに」
――言うんかい!
「は、はは」
ウケた、と言わんばかりに蹄を鳴らすケイロンだった。

<オイディプスの答え35> There is ~./There are ~. の文
(1) There is not a dog under the tree.
(2) Are there any people in the park?
(3) Your notebook is on the desk.
(4) How many students are there
(5) no

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