田村塾の英語

読むだけで、初級英文法とギリシア神話の豆知識が自然と身につく実用小説。杜の都仙台を舞台…

田村塾の英語

読むだけで、初級英文法とギリシア神話の豆知識が自然と身につく実用小説。杜の都仙台を舞台に、塾長タムラと神々の子供たちが繰り広げるギャグ&ファンタジーです。受験生は生の授業を受ける感覚で、また、指導する側の皆様におかれましては日頃のご指導の箸休めとしてご活用頂ければ幸いです。

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もくじ(全70話、……の予定です)

プロローグ 第1話 俺は子供が嫌いだ(4月10日 教室①) 1. 英語の語順 第2話 迷える子羊たち(4月15日 教室②) 2. 主語と述語動詞 第3話 ヘラクレスの苦悩(4月20日 ヘラクレス宅①) 3. 現在形(1) be動詞の文 第4話 小さな森の大きなお家(4月25日 メドりん宅①) 4. 現在形(2) be動詞の否定文/疑問文 第5話 武士に二言はない(4月30日 教室③) 5. 復習(1) is, am, are からの適語選択問題の解法 第

    • 第35話 ウルウルはどうなる?

      35. There is ~./There are ~. の文 (9月30日 ソン太宅④) かつては国内シェアNo.1を誇った羊毛加工会社ウルウルも、いよいよ倒産の危機が迫ってきた。 ソン太の父アイソンを謀り、会社を乗っ取ったアイソンの義弟ペリアスだったが、彼は私腹を肥やすために相変わらず会社の売上金を横領していた。 さらには、商品販売においても、その辺から拾ってきたような布切れをウール100%の高級セーターと偽って高額で客に売りつけたり、ネット販売では、ムートンブーツの

      • 第34話 3人の英雄候補たち

        34. 復習(10) 前置詞、接続詞の適語選択問題の解法 (9月25日 教室⑫) 「オーッス」と、ソン太が教室に入ってくると、待っていたかのようにメドりんがソン太を睨みつけた。 「ちょっと、ソン太。アタシのアネキたち、怒ってたよぉ」 「え? なんで?」 「あんたんところでムートンブーツをネット注文したら、汚いゴム長靴が届いた、って」 「マジで? ゴメンな」と、ある程度、予想はついていたソン太は素直に謝った。「でも、俺にはどうしようもないんだ。今、ウルウルを経営してるの、…

        • 第33話 黒蛇革の財布

          33. 接続詞(2) いろいろな接続詞 (9月20日 メドりん宅⑥) 夜の森には何が潜んでいるかわからない。 子供はもちろん大人であっても、夜の森には決して足を踏み入れてはならない。 今宵もまた、ここ小さな森の大きなお家で、世にも恐ろしい惨劇が起ころうとしていた。 アオ~~~~~ン 「ども! 家庭教師のタムラです」 「あ~ら、センセ、いらっしゃ~い」 のっけから、明らかに作り笑顔のゴルゴン長女が出迎えた。 「あ、お姉様、……こんばんは」 「ど~も」 「ども」 「もうすぐ

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          第32話 怪鳥退治

          32. 接続詞(1) 接続詞の種類と用法 (9月15日 ヘラクレス宅⑥) 学校が終わると、ヘラクレスは机の中に入っていた封筒を手に、急いで家に向かった。 それはノートを破って作ったような封筒で、封じ目にはハート型の赤いシールが貼られていた。 ヘラクレスは、ドスッ、ドスッ、ドスッ、と大股で歩きながら、小さな期待に大きな胸を膨らませ、封を切ると、中を見た。 ヘラクレス、第6の課題だ。台原森林公園に棲む青銅の羽を持つ怪鳥を退治せよ。―― 「なぁんだ、アポロン兄さんか」と、足を止

          第32話 怪鳥退治

          第31話 アプロディテとアレス

          31. 前置詞(2) いろいろな前置詞/前置詞を含む重要表現 (9月10日 パンドラ宅④) 「ヘパイストス、……私、ちょっと出かけてくるわね」と、香水を振りかけ振りかけ、アプロディテが言う。 「あぁ。(ふんっ、どうせまた、アレスの所だろ。今に見ておれ、……ヒーヒッヒッヒ)」 愛と美の女神アプロディテは、オリュムポス一の美しさを誇るも、なぜか神々の中で一番ぶさいくな男ヘパイストスと付き合っていた。 恋多き彼女は日々、いろいろな男と恋愛を楽しんでいたが、中でも一番のお気に入り

          第31話 アプロディテとアレス

          第30話 オルっぺと1人目の神父

          30. 前置詞(1) 前置詞の種類と用法 (9月5日 オルっぺ宅③) 繁華街とはいえ朝は閑散としていて、野鳥のさえずりだけが耳に心地よく響いていた。 愛犬を連れた老人が、青々と茂った欅の並木道をゆっくりと歩いてくる。 教会の前まで来ると彼は立ち止まり、小さな背中に木漏れ日を受けながらせっせと掃除している少女に優しく声をかけた。 「おはようさん」 掃除に夢中だった少女はちょっとびっくりしたが、老人に気が付くとすぐ、「おはようございます!」と、三つ編みにした髪を揺らしながらに

          第30話 オルっぺと1人目の神父

          第29話 枝豆パーティー

          29. 復習(9) 命令形/Let’s +動詞の原形~.、助動詞 (8月30日 教室⑪) アホー いつものように、カラスの鳴き声とともに田村塾の朝は始まる。 今日は田村塾主催の「枝豆パーティー」だ。 塾生・保護者を始め、日頃お世話になっている地域の皆様に感謝の意を表して開催する。―― (こんちわー!) (まだ朝だよぉ) (あ、そっか、おっはー!) ((キャハハハ)) ――何だか玄関先が騒がしい。 (あれ? 開いてないよ) (うっそー) (先生、まだ寝てんじゃない?) (ま

          第29話 枝豆パーティー

          第28話 夏はやっぱりガリガリ棒

          28. 助動詞 (8月25日 メドりん宅⑤) ゴルゴン家のリビングのドアを開けると、部屋の、――と言うよりも大ホールの――真ん中に、でんと構えている巨大な噴水がまず目に入る。 トレヴィの泉を思わせるどっしりとした大理石と透き通った流水が何とも贅沢で、その中央では馬車に乗った海神ポセイドンがこちらを睨みつけている。 ポセイドンは、最高神ゼウスの兄で、全ての泉と地震の神である。ローマ神話ではネプトゥヌス(Neptunus)と同一視され、英語ではネプチューン(Neptune=「

          第28話 夏はやっぱりガリガリ棒

          第27話 アウゲイアス牧場の怪

          27. 命令形/Let's +動詞の原形〜. (8月20日 ヘラクレス宅⑤) ヘラクレスは山中を走る4両編成の電車に揺られながら、あるチラシを読んでいた。 アルバイト募集 体力に自信のある方大歓迎! 職種:牛小屋の掃除 報酬:牛100頭 応募:随時 お問い合せはアウゲイアス牧場(奥新川駅から西へ徒歩30分、吊り橋を渡ってすぐ)まで。 このチラシは昨夜、アポロンからヘラクレスのもとへ届いたものだった。 これが第5の課題か。―― ヘラクレスは改めて、その内容に目を通した。 報

          第27話 アウゲイアス牧場の怪

          第26話 困った性格

          26. 復習(8) 進行形、冠詞/名詞、代名詞、形容詞/副詞、疑問詞の適語選択問題の解法 (8月15日 教室⑩) 今年は天気に恵まれているせいか、俺の育て方が上手いのか、庭の野菜がぐんぐん成長している。―― キュウリにトマト、トウモロコシ、ナス、ピーマン、そして枝豆群。 この分だと、月末のバーベキュー大会も大盛況だろう。 塾生・保護者を始め、地域の皆様を、塾長が手塩にかけた新鮮野菜でおもてなし、か、……フッ、悪くない。 が、これも雲になりたい少女のおかげだ、……感謝せねば

          第26話 困った性格

          第25話 真夏の昼の夢

          25. 疑問詞(2) how を使った疑問文 (8月10日 ソン太宅③) 東北三大祭りの1つに数えられる「仙台七夕」も幕を閉じ、七夕一色で賑わっていた街中も、ようやく落ち着きを見せてきた。 とはいえ、夏の暑さはまだまだ続くようで、この日の気温は、昼前だというのに、すでに30度まで上がっていた。 交差点で信号待ちをする人々も、こぞってビル陰や木陰を選び、無風の日向でじっと信号が青になるのを待つ人は誰もいなかった。―― 駅裏にあるこの交差点は、横断歩道を渡るとすぐに、踏切に差

          第25話 真夏の昼の夢

          第24話 新弟子ブリアレオス

          24. 疑問詞(1) 疑問詞の種類と用法 (8月5日 パンドラ宅③) パンドラの父ヘパイストスは、幼いころに自分を捨てた母ヘラへの復讐に燃えていた。 彼は自宅の片隅にある工房で、完成した例の椅子の前に立ち、にんまりとしていた。 「あとは、こいつをヘラに送るだけ、……ヒーヒッヒッヒ」と、勝ち誇ったかのように笑っていると、神々の使者ヘルメスがやってきた。 「どもー、毎度」 「おぉ、ヘルメス。悪いがこれをヘラに届けてくれんか」 「ええ、お安いご用で」 彼は早速、翼の生えた帽子と

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          第23話 高級ブランドGORGON

          23. 形容詞/副詞 (7月30日 メドりん宅④) ひんやりとした闇の中、滴の垂れる音だけが周りの岩壁に響いていた。―― 鍾乳洞と言えば、様々なパール色の鍾乳石やエメラルドグリーンの地底湖といった幻想的な世界を思い浮かべるかもしれないが、もちろんそれは照明ありきの話で、元来、自然の鍾乳洞というものは、その先に何が潜んでいるかもわからない闇の世界である。 今、この暗黒の迷路とも言える洞窟の中を2人の女が迷うことなく奥へ奥へと歩いていく。 前方、はるか彼方に白い光がおぼろげに

          第23話 高級ブランドGORGON

          第22話 ゼウスは不死身か?

          22. 代名詞(2) it の特別用法 (7月25日 ヘラクレス宅④) 秋保大滝。――秋保温泉から名取側上流へ約12kmに位置し、夏冬を問わず、55mの高さから流れ落ちるその姿は壮大な眺めである。 ヘラクレスは今、この滝を目指して温泉街をのっしのっしと歩いていた。 真夏の太陽を背に受けながら、川沿いに点在する温泉宿には脇目も振れず、のっしのっしと歩いていく。―― 舗装道路がいつの間にか砂利道になっている、と思った矢先に、前方に雄大な渓谷が現れた。 「おぉ、すげぇ」 と、汗

          第22話 ゼウスは不死身か?

          第21話 オルっぺと2人目の神父

          21. 代名詞(1) 人称代名詞の格変化 (7月20日 オルっぺ宅②) 教会の扉を開けると、中には長い廊下があり、その突き当たりが礼拝堂の入り口になっている。 天窓から差し込む自然の光が唯一の照明らしく、辺りは昼間でも森の中の小道のように薄暗かった。 両壁には何台かの燭台が掛けられていたが、これらはおそらく夜用だろう。 廊下の左側手前には小部屋が1つあり、その奥には2階に上る階段があった。 右側には手前から神父の部屋、食堂、トイレと順にあり、今、オルっぺは食堂で神父と一緒

          第21話 オルっぺと2人目の神父