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第28話 夏はやっぱりガリガリ棒

28. 助動詞

(8月25日 メドりん宅⑤)

ゴルゴン家のリビングのドアを開けると、部屋の、――と言うよりも大ホールの――真ん中に、でんと構えている巨大な噴水がまず目に入る。
トレヴィの泉を思わせるどっしりとした大理石と透き通った流水が何とも贅沢で、その中央では馬車に乗った海神ポセイドンがこちらを睨みつけている。
ポセイドンは、最高神ゼウスの兄で、全ての泉と地震の神である。ローマ神話ではネプトゥヌス(Neptunus)と同一視され、英語ではネプチューン(Neptune=「海王星」の意)となる。
噴水の左側は、1段下がって真っ赤なカーペットが隅々まで敷かれており、さながら高級ホテルのレストランのような広々としたダイニングスペースとなっていた。
その奥には、プロの料理人が羨むほどの最新機器が揃った立派な厨房があった。
料理は専らアル男の仕事で、手先の器用な彼はゴルゴン3姉妹の好みの料理を何でも作ることができた。
中でも3人のお気に入りが「豚足」料理であることは、先に述べた通りである。
壁づたいにフリードリンクコーナーも設けてあった。
と言っても、いわゆるファミリーレストランにあるようなドリンクバーとは格が違い、紅茶はイギリス王室御用達のものから、コーヒーは希少価値この上ないコピ・ルアク、――巷のカフェでは1杯5000円で提供されるとも言われる――まで、世界各国のあらゆる飲み物がボタン1つで飲めるようになっていた。
もっとも、メドりんが好んで飲むのは、果汁0%のメロンソーダだったが、……。
さて、右側はというと、これまた豪華なソファーがL字型に置かれ、壁に掛かった液晶テレビは映画のスクリーン並だった。
見上げると、通風と採光を限りなく高める吹き抜けの天井があり、その内側は高強度のガラス張りで、夜になるとスイッチ1つで外側の屋根が開き、自然のプラネタリウムを堪能できるようになっていた。――
リビングを抜けると、カラオケルームと最新のアーケードゲームを取り揃えたゲームコーナーがあり、その奥は大人たち専用のバーになっている。
バーには専属のバーテンダーがいて、ゴルゴン長女と次女は、――たまにアル男も利用していたが、――そこで一杯やりながら、地下での仕事の疲れを癒すのだった。
人も羨む何とも豪勢なゴルゴン家だが、なるほど、1つ100万円もする黒蛇革の財布が、ほとんど経費ゼロで毎年ミリオンセラーになっているのだから、これだけの生活ができるわけである。――

「今日も暑いわねぇ」と、噴水の縁に腰掛けてタバコを吸う長女。
一粒の汗が耳元から首筋を通って胸の谷間へと落ちていく。
そこへ、
「ねぇ、アイスでも食べない?」と、デコルテラインを強調したワンピース姿の次女が寄ってきた。
「え? アイス?」と、ソファーで寝ていたメドりんが起き上がる。
「そうね。じゃあ、……アイスと言えば」
「「「ガリガリ棒! いぇあ!」」」
今日も見事な大合唱。
「じゃあ、俺、買ってきます」と、アル男。
「いつも悪いわねぇ、……そろそろセンセも見える頃でしょうから、これで買えるだけ買ってきてちょうだい」
「はい、ご主人様」
と、一眼巨人は長女から手渡された小銭入れを握りしめ、リビングをあとにした。

「ども! 家庭教師のタムラです」
「あ~ら、センセ、いらっしゃ~い」
と、長女が出迎えた。「お暑い中、ご苦労さま~」
「いえいえ」
「先生、アイスあるよ。いっしょに食べよ」と、メドりんが出てきた。
俺はリビングに案内されたが、入った途端、愕然とした。
「何ここ、公園? 広っ」
テーブルに着くと、「はい、どうぞ」と、メドりんがガリガリ棒とやらを手渡してきた。「これ、美味いんだよねー、……それに、アタリが出たらもう1本だし」
「ほぉ」
「でも、当たったためしがないのよねぇ」と、長女。「さぁ、いただきましょ」
「「「美味~い!」」」と、3姉妹。
「誰か、当たった? はい、お皿の上に棒、出して」と、長女が仕切る。
「みんな、ハズレじゃん」と、メドりん。
「ホントにアタリなんかあるのかしらねぇ?」と、腕を組む長女。「ん?」
「どうかした?」
「なんで、6本あるのかしら?」
「たしかに、……アタシとぉ、アネキたちでしょ。あと、アル男さんと、先生」
「あと、誰よ?」
「もしかして、……」
「お化け?」
「「「キャーーー!」」」
と、大騒ぎする3姉妹。
すると、
「わしらが食ったにゃむ」
「にゃむ?」
見ると、3人の老婆が揺れながら立っている。
「「「グライアイ!」」」
「あ~、美味かったにゃむ」と、満足げに揺れるグライアイ3姉妹。
「なんで、あんたらがここにいるのよ!」と、長女が言う。
「ドアが開いてたにゃむ」
「そうゆう問題じゃないでしょうが!」
(にゃむにゃむにゃむにゃむ)
何を言っているのかわからなかったが、生まれながらの老婆たちは、気付けばリビングから姿を消しているのだった。

「どぉれ、やっぞぉ。今日のテーマは『助動詞』ね。早速、<アテナの黙示録28>を見てみましょ。

<アテナの黙示録28> 助動詞
【1】助動詞の種類
|★うしろに動詞の原形をとって、「~だろう」「~できる」「~かもしれない」「~してもよい」「~しなければならない」「~した方がよい」「~すべきだ」のように、自分の思っていることを述べる単語を助動詞といい、全部で12個ある。
|will(<アテナの黙示録17>参照), can, may, must, had better, shall, should, would, could, do/does/did(<アテナの黙示録8>, <アテナの黙示録14>参照)

いがぁ。助動詞っていうのは、うしろに動詞の原形をとって、自分の思っていることを述べる単語のことね。全部で12個あるんだけど、will と do/does/did はもうやったんで、ここではやらん」
「わーい」
「よって、自分で復習しとくこと」
「あ~い」
「では、【2】から。

【2】can の用法
|★<can +動詞の原形~>で「~することができる」の意味になる。
||例1)She can play the piano very well.(彼女はとても上手にピアノを弾くことができます)
||例2)She can not play the piano very well.(彼女はあまり上手にピアノを弾くことができません)
|||||※否定文は、助動詞(=この場合は can)のうしろに not を入れる。
|||||※can not = can’t/cannot
||例3)Can she play the piano very well?(彼女はとても上手にピアノを弾くことができますか)
|||||―Yes, she can./No, she can’t.(はい、できます/いいえ、できません)
|||||※疑問文は、助動詞(=この場合は can)を主語の前に出す。
|★<Can I +動詞の原形~?>で「(私は)~してもいいですか」の意味になる。
||例)Can I open the window?(窓を開けてもいいですか)
||||―All right./O.K./Sure./Of course./Certainly.(もちろん/いいですよ)
||||―Sorry, you can’t.(すみませんが、だめです)
|★<Can you +動詞の原形~?>で「(あなたは)~してくれませんか」の意味になる。
||例)Can you open the window?(窓を開けてくれませんか)
||||―All right./O.K./Sure./Of course./Certainly.(もちろん/いいですよ)
||||―Sorry, I can’t.(すみませんが、できません)
|★<can +動詞の原形~>は<be able to +動詞の原形~>で書き換えられる。
||例)She can play the piano very well.(彼女はとても上手にピアノを弾くことができます)
||||=She is able to play the piano very well.
||||※否定文、疑問文のつくり方は、be動詞の否定文、疑問文のつくり方と同じ。

いがぁ。<can +動詞の原形~>で『~することができる』の意味になるよ。よって、『彼女はとても上手にピアノを弾くことができます』だったら?」
「She can play the piano very well.」
「そ。can のうしろは動詞の原形だからね、she が主語だからって言って、She can plays(×) な~んてやらないように」
「あ~い」
「んで、次。否定文のつくり方。『~できません』って言うときは、can のうしろに」
「not を入れる」
「そ。これは、will のときと同じね。よって、She can play the piano very well. を否定文にしたら?」
「She can not play the piano very well.」
「そ。can not は縮めて can’t でもいいよ。あと、cannot っていう単語もあるんで、覚えとこ」
「あ~い」
「で、この場合、日本語訳に注意が必要なんだけど、very well(とても上手に)を否定文で使うと『あまり上手に~ない』ってなるってこと。よって、She can not play the piano very well. を訳すと?」
「彼女はあまり上手にピアノを弾くことができません」
「てことね。OK?」
「おけ」
「んで、次。疑問文のつくり方。『~できますか』ってたずねるときは、can を」
「主語の前に出す」
「そ。これも、will のときと同じだ。よって、『彼女はとても上手にピアノを弾くことができますか』ってたずねるときは?」
「Can she play the piano very well?」
「そ。じゃあ、yes で答えたら?」
「Yes, she can.」
「うん。no だったら?」
「No, she can’t.」
「そ。can で聞かれたら can で答える、ってことね。OK?」
「おけ」
「んで、次。can を使った決まり文句、……次の★をご覧あそばせ。<Can I +動詞の原形~?>で『~してもいいですか』って許可を求める文になるよ。よって、『窓を開けてもいいですか』だったら?」
「Can I open the window?」
「そ。で、この場合、答えるときは普通、Yes, you can./No, you can’t. とは言わないで、『もちろん』とか『いいですよ』って言うときは、All right./O.K./Sure./Of course./Certainly. って答えるし、『すみませんが、だめです』であれば、Sorry, you can’t. みたいな答え方をするよ」
「フムフム、……あれ? なんか、前にやったような気もするけど」
「そだね。<アテナの黙示録17>でもやったけど、<Will you +動詞の原形~?>(~してくれませんか)で聞かれたときの答え方といっしょだね」
「あ~、それか。何となく覚えてた」
「まぁ、この機会に復習しといておくれ」
「あ~い」
「んで、次。<Can you +動詞の原形~?>で『~してくれませんか』の意味になるよ」
「<Will you +動詞の原形~?>と同じじゃん」
「そだね。よって、『窓を開けてくれませんか』は、Will you open the window? でもいいし」
「Can you open the window?」
「でも、いいってことよん」
「答え方もいっしょ?」
「そ。ここまで、いい?」
「おけ」
「んで、次の★。<can +動詞の原形~>は<be able[エイブル] to +動詞の原形~>で書き換えられるよ。よって、She can play the piano very well. イコール」
「She able to(×)」
「マテマテマテマテ、be動詞が必要」
「あ、そっか。じゃあ、She is able to play the piano very well.」
「てことね。否定文にしたら?」
「She is not able to play the piano very well.」
「そ。is があるんだから、is のうしろに not を入れるだけだ。疑問文だったら?」
「Is she able to play the piano very well?」
「そ。is を主語の前に出すだけね。じゃあ、yes で答えたら?」
「Yes, she is.」
「うん。no だったら?」
「No, she isn’t.」
「てことよん」
「意外と簡単じゃん」
「それは、今までの積み重ねがあっての話、……それだけ、メドりんは頑張ってやってきた、ってことさ」
「テヘ」
「んで、次、行くぞよ。【3】may の用法。

【3】may の用法
|★<may +動詞の原形~>で「~かもしれない」の意味になる。
||例)He may be a doctor.(彼は医者かもしれない)
||||※「彼は医者です」は、He is a doctor. なので、may のうしろに is の原形(=be)が必要。
|★<May I +動詞の原形~?>で「~してもいいですか」の意味になる。
||例)May I open the window?
||||―All right./O.K./Sure./Of course./Certainly.(もちろん/いいですよ)
||||―Sorry, you can’t.(すみませんが、だめです)
||||※Yes, you may./No, you may not. は、軍隊等で上司が部下に命令するような言い方になるので、日常会話では不自然。

いがぁ。『~かもしれない』って言うときは、<may +動詞の原形~>で表すよ。よって、『彼は医者かもしれない』だったら?」
「He may a doctor.(×)」
「チョイ待ち。助動詞(=この場合は may)のうしろは、必ず動詞の原形がくるよ。『彼は医者です』だったら、He is a doctor. なんだから」
「あ、そっか。He may be a doctor. だ」
「そ。be を忘れないようにね」
「あ~い」
「んで、次の★。<May I +動詞の原形~?>で『~してもいいですか』の意味になるよ」
「またぁ?」
「そ。<Can I +動詞の原形~?>と同じだ」
「なんで、同じ意味なのに、いっぱいあんのぉ? 覚えるの大変」
「まぁ、それを言っちゃあ、日本語だって、許可を求めるのに『~してもいいですか』とか『~してもいい?』とか『~してもよろしいですか』とか『~してもいいの?』とか『~してもいいっすかぁ』とか、いろいろあっぺっちゃ」
「たしかに、そうだけどぉ、……」と、納得のいかないメドりん。
「まぁ、いろんな言い方を覚えておけば、会話も弾むってことよ。おげ?」
「おげ」
「んで、はい、may を使って、『窓を開けてもいいですか』」
「May I open the window?」
「そ。答え方は、<Can I +動詞の原形~?>のときと同じね。はい、どんどん行くぞぉ。【4】must の用法」
「えー! まだ、あるのぉ? 今日、長くな~い?」
「じょうがねぇべっちゃ。お姉様たちから、『夏休みだから時間、延長して下さい』って言われてるんだがら」
「マジでぇ?」
「うん」
「チッ、しょうがないか、……アネキたちの命令は絶対だからなぁ」
「そうなの?」
「うん、……チョットね」
と、メドりんは唇を噛み締めた。
――頑張れ。事情は人それぞれだけど、ヘラクレスも、パンドラも、ソン太も、オルっぺも、……みんな、悩みを抱えて生きてるんだから。それは俺も同じだよ。

【4】must の用法
|★<must +動詞の原形~>で「~しなければならない」の意味になる。
||例)You must go there.(あなたはそこに行かなければなりません)
|★<must +動詞の原形~>は<have to +動詞の原形~>で書き換えられる。
||例1)You must go there.(あなたはそこに行かなければなりません)
||||=You have to go there.
||例2)He must go there. (彼はそこに行かなければなりません)
||||=He has to go there.
|||||※主語が3人称単数のときは、<has +動詞の原形~>で書き換える。
|★<must +動詞の原形~/have to +動詞の原形~>の否定文
||例1)肯定文:You must go there.(あなたはそこに行かなければなりません)
|||||否定文:You must not go there.(あなたはそこに行ってはいけません)
||||||※must not = mustn’t[マスントゥ]
||||||※<You must not +動詞の原形~>は「(あなたは)~してはいけない」の意味で、<Don’t +動詞の原形~>で書き換えられる。
||例2)肯定文:You have to go there.(あなたはそこに行かなければなりません)
|||||否定文:You don’t have to go there.(あなたはそこに行く必要がありません)
||||||※<don’t have to +動詞の原形~>は「~する必要がない/~しなくてもよい」の意味になる。
||||||※主語が3人称単数のときは、<doesn’t have to +動詞の原形~>となる。
|★<must +動詞の原形~/have to +動詞の原形~>の疑問文
||例1)肯定文:I must go there.(私はそこに行かなければなりません)
|||||疑問文:Must I go there?(私はそこに行かなければなりませんか)
|||||||||―Yes, you must.(はい、あなたはそこに行かなければなりません)
|||||||||―No, you don’t have to.(いいえ、あなたはそこに行く必要はありません)
|||||||||※No のときの答え方に注意する。
||例2)肯定文:I have to go there.(私はそこに行かなければなりません)
|||||疑問文:Do I have to go there?(私はそこに行かなければなりませんか)
|||||||||―Yes, you do.(はい、あなたはそこに行かなければなりません)
|||||||||―No, you don’t have to.(いいえ、あなたはそこに行く必要はありません)

いがぁ。『~しなければならない』って言うときは、<must +動詞の原形~>で表すよ。よって、『あなたはそこに行かなければならない』だったら?」
「You must go there.」
「てことね。で、この<must +動詞の原形~>は<have to +動詞の原形~>で書き換えることができる。よって、You must go there. イコール」
「You have to go there.」
「そ。have to は発音注意ね。この場合に限り、[ハフトゥ]って発音しますんで」
「ふ~ん」
「んで、もひとつ。He must go there.(彼はそこに行かなければならない)だったら?」
「He has to go there.」
「そだ、よくできた。なんで、has にしたの?」
「主語が he だから」
「そのとーし! 3人称単数主語のとき、have は has にするんだった。いでしょ。ただし、これも発音注意ね。has to はこの場合に限り、[ハストゥ]って発音するよ。OK?」
「おけ」
「おしっ。んで、次、否定文、……3つ目の★ね。さて、ここで注意が必要。<must +動詞の原形~>と<have to +動詞の原形~>は、どちらも『~しなければならない』っていう意味なんだけど、否定文にすると意味が違ってくる、ってことね。例えば、You must go there.(あなたはそこに行かなければなりません)を否定文にすると?」
「You must not go there.」
「そ。助動詞の否定文は、助動詞(=この場合は must)のうしろに not を入れればいい。で、これはどういう意味かっちゅーと」
「あなたはそこに行ってはいけません」
「そ。よって、<You must not +動詞の原形~>は、禁止を表す命令文<Don’t +動詞の原形~>で書き換えられる、ってことね。
「Don’t go there. ってことだ」
「そ。must not は縮めて mustn’t[マスントゥ] でもいいよ。これも発音注意だな」
「フムフム」
「さて、You have to go there. の否定文は?」
「You don’t have to go there.」
「そだ。じゃあ、どんな意味になるか、っちゅーと」
「あなたはそこに行く必要がありません」
「そ。<don’t have to +動詞の原形~>は『~する必要がない』あるいは『~しなくてもいい』っていう意味になるんで、注意が必要よん。OK?」
「あ~い」
「んで、次、疑問文、……4つ目の★ね。はい、例えば、I must go there. を疑問文にしなさい、って言われたら?」
「え~っと、Must I go there?」
「そ。助動詞の疑問文は、助動詞(=この場合は must)を主語の前に出せばいいね。意味は?」
「私はそこに行かなければなりませんか」
「そ。じゃあ、yes で答えたら?」
「Yes, you must.」
「そだ。『私は~しなければなりませんか』って聞かれてるんだから、答えるときは『あなたは~しなければなりません』だよね。no だったら?」
「No, you must not.」
「うん、まぁ、文法的には間違いとも言えないんだけど、日常会話では普通じゃないな。no の場合は、No, you don’t have to.(いいえ、その必要はありません)って答えましょ。ま、答え方注意、ってことで。ちなみに、I have to go there. を疑問文にしたら?」
「Do I have to go there?」
「そだ。んで、yes で答えたら?」
「Yes, you do.」
「うん。no だったら?」
「No, you don’t have to.」
「てことね。いでしょ。んで、次、【5】に行くぞよ。

【5】<had better +動詞の原形~>の用法
|★<had better +動詞の原形~>で「~した方がよい」の意味になる。
||例1)You had better go there.(あなたはそこに行った方がよい)
|||||※you を主語にして had better を使うと、「あなたは~した方がいい、さもないと…」のように脅迫めいた言い方になるので、日常会話では should を使うのが普通。
||例2)You had better not go there.(あなたはそこに行かない方がよい)
|||||※否定文の not の位置に注意する。

いがぁ。<had better +動詞の原形~>で『~した方がよい』の意味になるよ。had better は2語で1つの助動詞だと思っておくれ。よって、『あなたはそこに行った方がよい』であれば?」
「You had better go there.」
「そ。じゃあ、これを『あなたはそこに行かない方がよい』っていう否定文にしてみよう」
「You had better not go there.」
「そ。had better で1つの助動詞と考えるんで、not の位置は had better のうしろね。had だからって言って、didn’t have better(×)な~んて、やらないように」
「あ~い」
「んで、次、【6】。

【6】should の用法
|★<should +動詞の原形~>で「~すべきだ」の意味になる。
||例)You should go there.(あなたはそこに行くべきです)

いがぁ。<should +動詞の原形~>で「~すべきだ」の意味になるよ。よって、『あなたはそこに行くべきです』だったら?」
「You should go there.」
「てことね。まぁ、日常会話では、you を主語にして had better を使うと脅迫めいた言い方になるんで、should[シュドゥ]を使うのが普通よん」
「なんか、should の方が『~すべきだ』って、きつい言い方のような感じだけど」
「たしかに、……日本語を見るとそうだよね。でも実際は逆なんで、覚えとこ」
「あ~い」
「んで、次、【7】。

【7】shall の用法
|★<Shall I +動詞の原形~?>で「(私が)~しましょうか」の意味になる。
||例)Shall I open the window?(窓を開けましょうか)
||||―Yes, please./Yes, thank you.(はい、お願いします)
||||―No, thank you.(いいえ、結構です)
||||※答えの文で、Yes, you shall./No, you shall not. とは言わない。
|★<Shall we +動詞の原形~?>で「(私たちは)~しましょう」の意味になる。
||例)Shall we open the window?(窓を開けましょう)
||||―Yes, let’s.(はい、そうしましょう)
||||―No, let’s not.(いや、やめましょう)
||||※答えの文で、Yes, we shall./No, we shall not. とは言わない。
||||※<Shall we +動詞の原形~?>は<Let’s +動詞の原形~>で書き換えられる。

いがぁ。『(私が)~しましょうか』って言うときは、<Shall I +動詞の原形~?>を使うよ。よって、『窓を開けましょうか』だったら?」
「Shall I open the window?」
「そ。でね、この shall[シャル]っていう助動詞は普通、疑問文でしか使わないんだけど、答え方に注意ね。例)にあるように、『はい、お願いします』だったら、Yes, please. あるいは、Yes, thank you. って答えるし、『いいえ、結構です』だったら、No, thank you. って答えるからね。OK?」
「おけ」
「んで、次の★。<Shall we +動詞の原形~?>で、『~しましょう』の意味になるよ」
「Let’s と同じじゃん」
「そ。よって、『窓を開けましょう』は、Let’s open the window. でもいいし、shall を使えば」
「Shall we open the window?」
「てことね。よって、答え方も Let’s のときといっしょ。yes であれば」
「Yes, let’s.」
「うん。no だったら?」
「No, let’s not.」
「てことよん。OK?」
「おけ」
「おしっ。んで、次、【8】。

【8】would の用法
|★<Would you +動詞の原形~?>で「~して下さいませんか」(<Will you +動詞の原形~?>よりも丁寧・控え目な言い方)の意味になる。
||例)Would you open the window?(窓を開けて下さいませんか)

いがぁ。<Would[ウドゥ] you +動詞の原形~?>で「~して下さいませんか」の意味になるよ。まぁ、<Will you +動詞の原形~?>よりも丁寧・控え目な言い方、って覚えとこ。よって、『窓を開けて下さいませんか』だったら?」
「Would you open the window?」
「そ。答え方は、<Will you +動詞の原形~?>のときと同じね」
「あ~い」
「はい、ラストだ、【9】。

【9】could の用法
|★<Could you +動詞の原形~?>で「~して下さいませんか」(<Can you +動詞の原形~?>よりも丁寧・控え目な言い方)の意味になる。
||例)Could you open the window?(窓を開けて下さいませんか)

いがぁ。<Could[クドゥ] you +動詞の原形~?>で「~して下さいませんか」の意味になるよ。まぁ、<Can you +動詞の原形~?>よりも丁寧・控え目な言い方、って覚えとこ。よって、『窓を開けて下さいませんか』だったら?」
「Could you open the window?」
「そ。答え方は、<Can you +動詞の原形~?>のときと同じね」
「あ~い」
「ま、『~してくれませんか』って相手に頼むときは、<Will you +動詞の原形~?>または<Can you +動詞の原形~?>、『~して下さいませんか』って丁寧に頼むときは、<Would you +動詞の原形~?>または<Could you +動詞の原形~?>てことだ。で、答え方はどれも同じね。OK?」
「おけ、……てかさぁ、これ、覚えるの大変じゃね?」
「まぁね。一気に全部覚えようとするから大変なんで、今日はコレ、明日はコレ、……みたいにコツコツやるのがよろしいかと。大体、一気に全部覚えても、一気に全部忘れっからさぁ」
「キャハハハ、たしかに、たしかにー」
「てなわけで、<スピンクスの謎28>、やっぞぉ。

<スピンクスの謎28> 助動詞
次の英文の(  )内から最も適切なものを選び、記号で答えなさい。
(1) “Can I use this pen?” “(ア Yes, I can. イ Sure. ウ No, you don’t. エ Sorry, I can’t.)
(2) “Must I speak English here?” “(ア No, you don’t have to. イ No, you can’t. ウ O.K. エ Yes, let’s.)
次の2つの英文がほぼ同じ意味になるように(  )に適語を入れなさい。
(3) She can swim very fast.
||=She is (    ) to swim very fast.
(4) Don’t open the door.
||=You (    ) open the door.
(5) Let’s sing a song.
||=(    ) we sing a song?

んで、(1)から、答えは?」

次の英文の(  )内から最も適切なものを選び、記号で答えなさい。
(1) “Can I use this pen?” “(ア Yes, I can. イ Sure. ウ No, you don’t. エ Sorry, I can’t.)

「イ」
「そのとーし! 疑問文の意味は?」
「このペンを使ってもいいですか」
「そだ。『(私は)このペンを使ってもいいですか』って聞いてるんだから、アとエは主語が I だからダメだよね。ウはなんでダメだと思う?」
「do で答えてるから」
「そのとーし! よって、イの Sure.(もちろん)が正解。いでしょ。はい、次、(2)、……答えは?」

次の英文の(  )内から最も適切なものを選び、記号で答えなさい。
(2) “Must I speak English here?” “(ア No, you don’t have to. イ No, you can’t. ウ O.K. エ Yes, let’s.)

「う~んと、ア」
「そのとーし! 疑問文の意味は?」
「私はここで英語を話さなければなりませんか」
「そだ。よって、アの『いいえ、その必要はありません』が正解。ちなみに、イはなんでダメ?」
「can で答えてるから」
「そだね。ウも、O.K. って言ったって、何が O.K. なのかよくわからん。エは、『~しましょう』(=<Let’s +動詞の原形~./Shall we +動詞の原形~?>)って言われたときの答え方だからね。いでしょ。はい、次、(3)、……答えは?」

次の2つの英文がほぼ同じ意味になるように(  )に適語を入れなさい。
(3) She can swim very fast.
||=She is (    ) to swim very fast.

「えっとねぇ、……can イコール、何だっけ」
「テキストを調べながらでもいいよ」
「あ、あった、able」
「そのとーし! 上の文と下の文で違うところは、can と is ( ) to の部分だからね。ちなみに意味は?」
「彼女はとても速く泳ぐことができます」
「おしっ。んで、次、(4)、……答えは?」

次の2つの英文がほぼ同じ意味になるように(  )に適語を入れなさい。
(4) Don’t open the door.
||=You (    ) open the door.

「mustn’t」
「そのとーし! 意味は?」
「ドアを開けてはいけません」
「そ。<Don’t +動詞の原形~.>=<You mustn’t +動詞の原形~.>だからね。いでしょ。はい、ラスト、(5)、……答えは?」

次の2つの英文がほぼ同じ意味になるように(  )に適語を入れなさい。
(5) Let’s sing a song.
||=(    ) we sing a song?

「Shall」
「そのとーし! 意味は?」
「歌を歌いましょう」
「そ。<Let's +動詞の原形~.>=<Shall we +動詞の原形~?>ね。『そうしましょう』って答えるときは?」
「Yes, let’s.」
「おぉ。『やめましょう』だったら?」
「No, let’s not.」
「そだ。はい、通してどっか、質問ある?」
「な~い」
「おしっ。んで、本日終了。あとは、ご自由に」
「わーい! ダイジャのドラマ、見なきゃ」

(テレビ、テレビ! ダイジャ、ダイジャ)
(メドゥサ、……あんた、テレビ見る前に、ゴミ捨てだよ)
(あ~い)
――メドりんも大変だなぁ。どぉれ、俺も帰って「恐怖の蛇使い」でも見るか。ダイジャって、そんなにカッコいいのかしら?

<オイディプスの答え28> 助動詞
(1) イ
(2) ア
(3) able
(4) mustn’t
(5) Shall

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