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第34話 3人の英雄候補たち

34. 復習(10) 前置詞、接続詞の適語選択問題の解法

(9月25日 教室⑫)

「オーッス」と、ソン太が教室に入ってくると、待っていたかのようにメドりんがソン太を睨みつけた。
「ちょっと、ソン太。アタシのアネキたち、怒ってたよぉ」
「え? なんで?」
「あんたんところでムートンブーツをネット注文したら、汚いゴム長靴が届いた、って」
「マジで? ゴメンな」と、ある程度、予想はついていたソン太は素直に謝った。「でも、俺にはどうしようもないんだ。今、ウルウルを経営してるの、……俺の父さんじゃないからさぁ」
「え? そうなの?」
「うん。いろいろ、事情があってね」
「事情って、何だよ」と、ヘラクレス。
「ん? まぁ、……」と、事の経緯を話すソン太。
「そりゃ、ひでぇな」
「まぁね。『黄金羊の毛皮』さえ手に入れば、何とかなりそうなんだけど」
「『黄金羊の毛皮』? あの、失ったものを取り戻せる、ってやつか?」
オルっぺの耳がピクリと動く。
「うん」
「何だ、お前、……船旅って、そのためか?」
「まぁね」
「何だよ、そいつを先に言えよ。だったら、俺も手伝うよ」
「マジで?」
「あぁ。だって、『黄金羊の毛皮』が手に入るんだろ」と、含み笑いするヘラクレス。「ちゃんと、俺にも貸してくれよ」
「うん、……いいけど」と、ヘラクレスの顔を凝視するソン太。「お前さぁ、……何か変なこと、企んでないか?」
「いや、別に」と目を反らしながら、込み上げる笑いを必死に抑えるヘラクレスだった。
それ以上、詮索されるのを嫌ったヘラクレスは、ふと、オルっぺの視線に気付くと、「何だ、オルっぺ。お前も一緒に行くか?」と、うしろで1人ぽつんと座っているオルっぺに聞いてみた。
すると、
「う、うん」と、寡黙な少年が首を縦に振る。
オルっぺの意外な返答に、「何だ、オルっぺも何か企んでるのか?」と、ソン太。
「うん」
「『うん』って、お前、素直すぎだろ!」
ソン太のツッコミに大笑いするヘラクレスと、はにかんだような笑顔を見せるオルっぺだった。
目的はそれぞれ違うが、ここ「不可能を可能に、夢を現実に」する学習塾で、3人の英雄候補たちが一致団結しつつあった。――

「どぉれ、やっぞぉ。今日のテーマは『復習(10) 前置詞、接続詞の適語選択問題の解法』ね。はい、早速、<アテナの黙示録34>を見てみましょ。

<アテナの黙示録34> 復習(10) 前置詞、接続詞の適語選択問題の解法
【1】 前置詞の適語選択問題の解法
|★以下の、前置詞を含む表現は決まった言い方なので(=試験では、日本語に訳しても答えが出ない場合が多いので)、そのまま丸暗記する。
||in front of ~(~の前で), out of ~(~から), a lot of ~(たくさんの~), because of ~(~のために/~が原因で), instead of ~(~の代わりに), thanks to ~(~のおかげで), such as ~(~のような), at last(ついに), at once(すぐに), in fact(実際), for example(例えば), after school(放課後に), take care of ~(~の世話をする), leave for ~(~に出発する), go to ~(~に行く), walk to ~(~に歩いて行く), listen to ~(~を聞く), look at ~(~を見る), look for ~(~を探す), look like ~(~に似ている/~のようだ), look after ~(~の世話をする), look forward to ~(~を楽しみに待つ), wait for ~(~を待つ), laugh at ~(~を笑う), be interested in ~(~に興味がある), be different from ~(~と違っている), be famous for ~(~で有名である), be kind to ~(~に親切である), be surprised at ~(~に驚く), be afraid of ~(~を恐れている), be late for ~(~に遅れている), …
||例1)次の英文の(  )内から適語を選びなさい。
|||||I’m interested (in, on, at, of) American history.
|||||答え:in
|||||理由:be interested in ~(~に興味がある)の熟語。
||例2)次の英文の(  )内から適語を選びなさい。
|||||She took care (in, on, at, of) many children.
|||||答え:of
|||||理由:take care of ~(~の世話をする)の熟語。

いがぁ。【1】から。まぁ、この手の前置詞を含む表現っていうのは、もう、決まり文句だから、そのまんま暗記するしかないんだよね」
「また、暗記ぃ?」と、爪を研ぎながら他人事のように言うメドりん。
「こんなにいっぱい、……頭、パンクしちゃうよぉ」と、パンドラ。
――わかる。
「何か、いい方法、ないっすか? 暗記するのに」と、ヘラクレス。
「んー、まぁ、★に書いてある熟語を、ただ見てるだけじゃあ、なかなか覚えられないよね。暗記の仕方は人それぞれだけど、俺だったら、ノートを縦に半分に割って、左側に『~の前で in front ( ) ~』、右側に『of』、その下にまた、左側に『~から out ( ) ~』、右側に『of』って書いていって、最終的には一問一答式の問題集みたいになるようなノートを作るけどね。で、右側の答えを手で隠して、ちゃんと答えが言えるかどうか、みたいな」
「それ、いいね」と、ソン太。
「で、新しい熟語が出てくる度に、どんどん付け足していってさ。自分だけの問題集を作るわけよ。そうすりゃ、受験対策にもなるし、やってみる価値はあると思うよ。ただ見てるだけで結局覚えられないんだったら、それは受験勉強においては時間の無駄ってやつだからね」
「たしかに」
「てなわけで、じゃあ、入試ではどういう問題が出るか、っちゅーと、はい、例1)。I’m interested (in, on, at, of) American history. っていう英文の(  )内から適語を選びなさい、ってことなんだけど、これをどんなに頑張って『私はアメリカの歴史に興味があります』って日本語に訳しても、be interested in ~ で『~に興味がある』っていう熟語を知らないと、答えの in は出てこないわけよ」
「たしかに」
「例2)の She took care (in, on, at, of) many children. もそう。これを仮に『彼女はたくさんの子供たちの世話をしました』って日本語に訳せたとしても、答えの of はなかなか出てこない。でも、take care of ~ で『~の世話をする』っていう熟語を知ってれば、答えの of はすぐ出てくるわけでしょ」
「フムフム」
「よって、メドりん。爪研ぐ暇あったら、熟語の1つでも暗記せぃ、ってことね」
「あ~い」
「んで、次、【2】を見てちょ。

【2】 接続詞の適語選択問題の解法
|★以下の、接続詞を含む表現は決まった言い方なので(=試験では、日本語に訳しても答えが出ない場合が多いので)、そのまま丸暗記する。
||both ~ and …(~と…の両方とも), either ~ or …(~か…のどちらか), between ~ and …(~と…の間に), not only ~ but (also) …(~だけでなく…もまた), not ~ but …(~ではなく…), as soon as +文~(~するとすぐに), so ~ that +文…(とても~なので…), …
||例1)次の英文の(  )内から適語を選びなさい。
|||||He can speak both English (and, but, or, so) French.
|||||答え:and
|||||理由:both ~ and …(~と…の両方とも)の熟語。
||例2)次の英文の(  )内から適語を選びなさい。
|||||She was so tired (but, and, that, because) she couldn’t walk.
|||||答え:that
|||||理由:so ~ that +文…(とても~なので…)の熟語。

いがぁ。接続詞にも何個か大事な熟語があるんで、覚えとこ。★に書いてある熟語を知ってれば、余裕のヨッちゃんよん。はい、ヘラクレス、例1)、答え入れて読みぃ」
「He can speak both English and French.」
「そ。なんで、and を選んだの?」
「both ~ and …(~と…の両方とも)の熟語だから」
「そのとーし! ちなみに意味は? メドりん」
「えっとねー、『彼は英語とフランス語の両方を話すことができます』」
「おしっ。ちなみに、『~か…のどちらか』だったら? パンドラ」
「えっとねー、あ、あった。either ~ or …」
「そ。ま、セットで覚えておきましょ。んで、次。ソン太、例2)、答え入れて読みぃ」
「She was so tired that she couldn’t walk.」
「そ。なんで、that を選んだの?」
「so ~ that +文…(とても~なので…)の熟語だから」
「そのとーし! ちなみに意味は? オルっぺ」
「『彼女はとても疲れていたので歩くことができなかった』」
「うん、いでしょ。前半の文が過去だから、that のうしろでも can’t の過去形 couldn’t を使ってるよ。これを時制の一致、って言ったね。はい、ここまで、どっか質問ある?」
「「「「「なーい!」」」」」
「おしっ。んで、ちゃっちゃと<スピンクスの謎34>をやっちゃうよ。

<スピンクスの謎34> 復習(10) 前置詞、接続詞の適語選択問題の解法
次の英文の(  )内から適語を選びなさい。
(1) Sendai is famous (in, for, to, of) cherry blossoms.
(2) My idea is different (from, of, in, at) yours.
(3) Animals are afraid (in, of, from, with) fire.
(4) My father was surprised (in, for, at, from) the news.
(5) He speaks not only English (and, or, that, but) also French.

はい、ヘラクレスから、(1)、答え入れて読みぃ」

次の英文の(  )内から適語を選びなさい。
(1) Sendai is famous (in, for, to, of) cherry blossoms.

「え~っと」
「テキストを調べながらで、いいよ」
「あった。Sendai is famous for cherry blossoms.」
「そのとーし! なんで?」
「be famous for ~(~で有名である)の熟語」
「そ。ま、知ってるか、知らないかなんで、この機会に覚えておくれ。はい、意味」
「仙台は桜の花で有名です」
「おしっ。はい、次、(2)、メドりん、答え入れて読みぃ」

次の英文の(  )内から適語を選びなさい。
(2) My idea is different (from, of, in, at) yours.

「My idea is different from yours.」
「そのとーし! なんで?」
「be different from ~(~と違っている)の熟語」
「そ。この from も、日本語に訳したって、なかなか出てこないからね。はい、意味」
「私の考えはあなたの考えと違っています」
「おしっ。はい、次、(3)、パンドラ、答え入れて読みぃ」

次の英文の(  )内から適語を選びなさい。
(3) Animals are afraid (in, of, from, with) fire.

「Animals are afraid of fire.」
「そのとーし! なんで?」
「be afraid of ~(~を恐れている)の熟語」
「そ。はい、意味」
「動物は火を恐れます」
「おしっ。はい、次、(4)、ソン太、答え入れて読みぃ」

次の英文の(  )内から適語を選びなさい。
(4) My father was surprised (in, for, at, from) the news.

「My father was surprised at the news.」
「そのとーし! なんで?」
「be surprised at ~(~に驚く)の熟語」
「そ。はい、意味」
「私の父はその知らせに驚きました」
「おしっ。はい、ラスト、(5)、オルっぺ、答え入れて読みぃ」

次の英文の(  )内から適語を選びなさい。
(5) He speaks not only English (and, or, that, but) also French.

「He speaks not only English but also French.」
「そのとーし! なんで?」
「not only ~ but (also) …(~だけでなく…もまた)の熟語」
「そ。はい、意味」
「彼は英語だけでなくフランス語も話します」
「おしっ、いでしょ。はい、通してどっか、質問ある?」
「「「「「なーい!」」」」」
「んで、本日終了。おつかれさ~ん」

「先生、今日も居残り勉強してっていいですか」
「あぁ、どうぞ」
「じゃあ、俺も」と、ヘラクレス。
「僕も」と、オルっぺ。
「どうぞ、どうぞ」
――てか、お前ら。何か、企んでないか?

<オイディプスの答え34> 復習(10) 前置詞、接続詞の適語選択問題の解法
(1) for
(2) from
(3) of
(4) at
(5) but

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