Yuichi Miyagawa (DVM, PhD)

獣医師、博士(獣医学)、犬および猫の腎泌尿器疾患を専門に診療、研究しています。 日本獣…

Yuichi Miyagawa (DVM, PhD)

獣医師、博士(獣医学)、犬および猫の腎泌尿器疾患を専門に診療、研究しています。 日本獣医生命科学大学付属動物医療センター腎臓科を担当しています。腎臓病で苦しむ猫を減らすために日々精進しています。

最近の記事

猫の慢性腎臓病ってどんな病気?

慢性腎臓病の定義猫では、非常に多く、死因の上位にくる慢性腎臓病とはどんな病気なのだろうか。まず、その定義から書いていく。 昔、教科書には、「慢性腎不全」と記載されていた。腎不全とは、腎臓の機能が低下し、腎臓から排泄されるべき老廃物が体内に蓄積し、食欲が低下し、嘔吐などの症状を示す状態のことを表している。しかし、その「腎不全」を引き起こした原因が様々だったにも関わらず,まとめて「慢性腎不全」と呼んできた。腎臓が壊され、だんだん機能が低下していき、最終的に「腎不全」という状態に

    • どうして猫に慢性腎臓病が多いのか?予防する手段はない?

      どうして猫は慢性腎臓病が多いの? 猫の慢性腎臓病が認識されてから50年以上は経過している。驚かれるかもしれないが、「なぜ猫に慢性腎臓病は多いのか」という単純な疑問に、我々獣医師はその理由を今も答えられないままである。もちろんこの疑問に答えるために、我々は何もしてこなかったわけではない。生物学的な特性、他種との腎臓の解剖学や生理学的な違い、タンパクや細胞などのミクロな視点などから、猫が腎臓病になりやすい理由を、多くの研究者が探ってきた。しかし、「なぜ猫に腎臓病は多いのか」という

    猫の慢性腎臓病ってどんな病気?