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切れそうで切れないつながり

わたしには、インターネットがなかった時代からつきあいの続く、友人たちがいます。
友人、というか、もっと正確にいうと、『創作仲間』ですね。
一般的に長いつきあいの友人というと、学生時代に同じ学校に通っていた人だったり、同じ会社に同期で入社した人だったりが多いのではないかと思います。
ですが、彼らは住んでいる場所はもちろん、学校も年齢も仕事も全部バラバラです。
今の時代だと、そういうつながりで長いつきあいの人がいるのも、珍しいことではないかもしれません。
けれど、インターネットがまだなかった昭和の終わりごろ、わたしは彼らと出会いました。

きっかけは、アニメ情報雑誌の読者ページに載った、ごく短い仲間募集の広告でした。
当時ようやく高校生になったぐらいで、1人へたくそな小説をルーズリーフに手書きで書き綴っていたわたしは、その広告に応募しました。
そして、マンガや小説やイラストを描く、同じようにアニメ好きの仲間を得ることになったのです。
ちなみに、この募集に応募したのは、全国から200人ほどだったそうです。
募集広告の主の方は、その200人を10人ぐらいのグループに分けました。そしてその中で、活動の中心である「肉筆原稿の回し読み」をすることにしたのです。
こうして、一つの創作サークルが生まれました。

「肉筆原稿の回し読み」って言っても、ネットのある現在では、ピンと来ないかもしれませんね。
ようするに、手書きの生原稿を郵便で順番に回して読んで感想を書いてもらって、最終的にはそれが自分の手元に戻って来る、というものです。
かなり昔のことなので、はっきりとは覚えていませんが、早ければ数ヶ月、遅ければ何年か、かかって手元に戻って来ていた気がします。
ちなみに、私の場合は、戻って来なかった原稿はありません。回したものは全て、時間はかかっても戻って来ました。そして、ちゃんと感想もいただけていましたね。
なお、わたしは、手書きのルーズリーフを1冊に綴じて、後ろの方に感想用の何も書いてないページをつけて回していました。

もちろん、グループ外の方の作品を読むための、年に何回か発行の会誌や会報もありました。
ただ、投稿する人はわりと決まっていたので、結局のところは同じグループの人たちと、会誌や会報でお見かけする方々だけが知っている人、みたいな感じにはなって行きましたけれどもね。

更に、年月が経つうちに、活動する人としない人に分かれて行って、サークルの規模はどんどん小さくなって行きました。
それでもわたしが社会人になったころには、合宿と称して年に2回ほど集まるようになって、そのうち映画を作ったりするようになりました。
当時は今のように、地縁のない者同士が交流して旅行に行ったりするのが一般的には珍しかったこともあり、宿泊先の旅館などではいろいろ不思議がられたりしたこともありました。
時にはわたしたちも、面白半分で「同窓会です」なんて言っていたこともあります。
今なら「オフ会」でかたづいただろうになあ……なんて思いますけれども。
ちなみに、そうした旅行に参加するのはだいたい20人ぐらいで、これまた決まったメンバーが多かったです。
ただ、時おりメンバーの誰かが他の創作友達を連れて来たり、いつもは参加しないメンバーが飛び入り参加したりと、わりとゆるい感じの集まりではありました。

最後にわたしがそうした集会に参加したのは、20周年の時です。
その時は、普通に観光旅行でしたが、とても楽しかったし、いい集まりでした。
ネットを始めた初期のころは、わたしのサイトの掲示板に仲間の何人かが書き込んでくれて、ネット上でわいわいやっていたこともありました。
ブログや日記を持っている人もいたので、互いにリンクしあったり、コメントしあったりと、これまた楽しく過ごしました。
ただ、他の人たちは次第にネット上には現れなくなり、いつしか年賀状のみのやりとりに変わって行きました。

そんな中、昨年、1人のメンバーの呼びかけで、久しぶりに仲間が集まりました。
……といっても、わたしは参加しなかったのですが(;^ω^)
体力的・精神的にしんどくて、断ってしまったのです。
でも、それでも。
細々とでも、彼らとの縁はまだ続いているんだなあと思うと、不思議な気がします。

雑誌の読者コーナーのごく短い呼びかけに応えて、それでその後、何十年にもわたるつきあいが続くなんて、普通、思います?
ちなみにわたし、その間に一緒になった同級生とか会社の同僚なんて、今つきあいある人、ほとんどいませんし、顔や名前すら忘れてる人も多いです。
なのに、お互いバラバラの土地で、全然違う人生を送っていて、それでこんなに長くつながりが続いている、なんて。
改めて思うと、本当になんらかの『縁』があったんだなあ……って不思議な気持ちになるのでした。

以上、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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