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【不思議な話】おまじない

今回の『不思議な話』は、「おまじない」の話をしよう。

先日、父や祖母(母方)のことを考えていて、ふと思い出したことがある。
それは、2人とも「おまじない」が使えたなあ、ということ。

父の「おまじない」は血止めだった。
詳しくは、結局兄弟の誰も教えてもらえなかったからわからないけれど、半紙を折りたたんで、それに何か呟きかけていた……ような気がする。
ともあれ、父のこの「おまじない」はよく効いた。
私が初めてこのおまじないをしてもらったのは、たぶん、小学校2年とか3年ぐらいの時だ。
抜歯をしたあと、血が止まらなくて、止めてもらった。

祖母の「おまじない」については、実ははっきり覚えていない。
なんらかの痛みを止めるものだった気もするが……私自身はやってもらったこともなく、うろ覚えだ。
ただ、こっちは方法を覚えていて、足の親指に糸をきつく巻き付けて縛ったあと、その親指の先を針で突いて血を出す、というものだった。

そういえば……2人ともその「おまじない」をいったい誰から教えてもらったんだろう?
2人が生きていたころは、それを不思議ともあんまり思っていなかったこともあって、聞いたこともなかったなあ……。

ちなみに、父の母だか叔母だかは、生まれ故郷の近隣では「狐の憑いている人」みたいなことを、言われていたとかいないとか。
いやこれも、先日ふと思い出した話で、たぶん祖母とか母とかから聞いた気がするが、めちゃくちゃあやふやな話。
どちらにしても、父には多少は霊感めいたものがあったことはあったらしい。
祖母の方は、いとこにバリバリの霊能力者の人がいた。
といっても、祖母自身はたぶん、そういう力はなかったと思う。
ただ、親族にそういう人がいたからか、霊能力とか神様とか、そういうのは信じていたのかな、とは思う。

さて、2人とは別にもう一つ、「おまじない」の話を思い出したので、ここに書いておこう。

私がまだ小学校に入る前、郷里の山里にいたころの話。
私は虫歯がひどくて、しょっちゅう歯の痛みに悩まされていた。
そしてそういう時に行くのが、「おまじない」をしてくれる、まじない師さんの所だ。
もしかしたら、歯科医院に行ってそれから――だったのかもしれないけれど、私の記憶には、歯科医院はなくて、そのまじない師のおばさんのことしかない。
その人は、高野豆腐に痛み止めのまじないをかけてくれる。
私は、まじないのかかった甘辛く煮た高野豆腐を食べる。すると痛みが止まる、といった感じだ。
子供だった私は、家ではめったに食べられない高野豆腐の煮物が食べられるのがうれしくて、歯が痛いのはイヤだけど、そこに行くのはうれしかったものだ。

……というわけで、今回の話は以上だ。


今回は試験的に、いつもと文体を変えてお届けしました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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