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《有料、冒頭試読》【ロッテ球団73年考察/(12)(投手編)「防御率」73シーズンベスト10】

(写真 最優秀防御率複数回獲得の2投手、左・3度の村田兆治、右・2度の伊良部秀輝)

(12)(投手編)「防御率」の73シーズンベスト10

 投手力を現わす指標が「防御率」である。いわゆる「1試合完投した場合に何点に封じるか」という数値になる。今回はこの防御率についてのランキングを考察する。

 まず「チームの防御率」をランキング化しようと思ったが、このランキングは意味がないと考えた。というのも、シーズンチーム防御率2点台前半が並ぶが、投手力が圧倒的だったと言われる球団創成期時代の1950(昭和25)年代がズラリと並び、現在では3点台でリーグトップに立つこともあるからだ。
 そこで、歴代チーム防御率の一つの指標として、チームの歴代ランキングではなく、過去73年間で各シーズンのチーム防御率がリーグで何位だったのか、という点から考察してみたい。

【シーズンチーム防御率 リーグ1位シーズン】

★1955(昭和30)年 2.458(リーグ3位)(中川(2.08)/植村(2.13)/和田(2.24))
★1960(昭和35)年 2.655【リーグ優勝】(小野(1.98)/中西(2.13)/若生(2.15))
★1970(昭和45)年 3.225【リーグ優勝】(小山(2.30)/木樽(2.53)/成田(3.21))
★2005(平成17)年 3.210【PO優勝日本一】(渡辺(2.17)/セラフィニ(2.91)/小林宏(3.30))
※シーズン防御率/最高記録 2.400(1956(昭和31)年)※リーグ4位(植村(2.01)/荒巻(2.12))
※参考 直近2022年シーズン 3.389(リーグ4位)(小島(3.14))

 球団史をめくると、防御率がリーグトップだったことが上記の4シーズンしかない。「ミサイル打線」「新ミサイル打線」「マリンガン打線」など打線の愛称があったように、長らく「打線のチーム」だったことが読み取れる。ただ、リーグ防御率が最下位だったことは11度あるが、歴史的に投手力が弱かったかというと、そうとも言い切れない。
 そこで、73年間のチーム防御率のリーグ順位を見てみると
・1位…4度
・2位…11度
・3位…18度
・4位…15度
・5位…14度
・6位…10度
・8位…1度(1956(昭和31)年8球団制)
となる。打線が支えてきた球団であることは間違いないが、2位が11度、3位が18度、4位が15度と比較的安定しており、投手力が圧倒的に弱い訳ではない。つまり、打線が良くとも一定の投手力があって、初めて勝負できる戦力になるという事が言えるのだ。

 それでは、防御率の個人の成績を見ていく。

【「最優秀防御率」獲得投手 一覧】

◎現役
★1950(昭和25)年…荒巻  淳(24歳) 2.064(274.2回)/26勝
★1955(昭和30)年…中川  隆(20歳) 2.083(229.0回)/18勝
★1960(昭和35)年…小野 正一(27歳) 1.984(304.0回)/33勝※最多勝と二冠
★1964(昭和39)年…妻島 芳郎(26歳) 2.146(151.1回)/6勝
★1969(昭和44)年…木樽 正明(22歳) 1.722(162.0回)/15勝
★1975(昭和50)年…村田 兆治(26歳) 2.203(191.2回)/9勝
★1976(昭和51)年…村田 兆治(27歳) 1.821(257.1回)/21勝
★1989(平成元)年…村田 兆治(40歳) 2.505(179.2回)/7勝
★1995(平成7)年…伊良部秀輝(26歳) 2.527(203.0回)/11勝
★1996(平成8)年…伊良部秀輝(27歳) 2.403(157.1回)/12勝
★1997(平成9)年…小宮山 悟(32歳) 2.494(187.2回)/11勝
★2001(平成13)年…Nミンチー(32歳) 3.259(204.1回)/12勝
★2007(平成19)年…成瀬 善久(22歳) 1.817(173.1回)/16勝
★2016(平成28)年…◎石川 歩(28歳) 2.162(162.1回)/14勝

 各年代で最優秀防御率投手を輩出していることが分かる、つまり、年代ごとに「頼りになるエース」が存在してきたのはもちろんだが、それを支える投手がいたことも読み取れる。
 初代獲得投手は創設年の荒巻だが、1955(S30)年には2年目20歳の中川隆が獲得する。この年、リーグの投手成績には2位に植村義信(2.127)、5位に和田功(2.240)、8位に荒巻淳(2.351)と4投手が防御率2点台でランクインしている。1960(S35)年には小野が球団史上2度目の防御率1点台で最多勝とともに初獲得。この年もリーグ3位に中西勝己(2.135)、4位に若生智男(2.147)、10位に三平晴樹(2.810)と4投手が2点台でベスト10入り、球団史上4投手のランキングベスト10入りはこの2回である。
 1964(S39)年には妻島芳郎が獲得。移籍した小山正明が43試合に先発してフル回転して最多勝を獲得したが、毒島はローテーションの谷間を埋め、リリーフで安定したピッチングで6勝ながら規定投球回に到達しての獲得となった。
 1969(S44)年にはリリーフの木樽が獲得。木樽は45試合にリリーフ登板し、6試合に先発した。リリーフとして120回以上を投げているので、リリーフ登板1試合平均約3回を投げた計算になる。
 1975(S50)年には村田が初獲得。村田は先発17試合、リリーフ22試合とフル回転しての初タイトルだった。村田は翌年も先発24試合、リリーフ22試合と登板し21勝。最多勝はならなかったが、防御率1点台を記録して2年連続タイトル獲得となった。村田は右ヒジ手術を経て、22年目の1989(H1)年にも40歳で自身3度目の最優秀防御率に輝いた。
 千葉移転後、マリーンズとなって初めて最優秀防御率に輝いたのは1995(H7)年の伊良部。伊良部は翌96(H8)にも2年連続して獲得。その伊良部がメジャー移籍すると、97(H9)年には小宮山が初獲得。マリーンズが3年連続で最優秀防御率に輝いた。
 2001(平成13)年には安定したピッチングが持ち味のミンチーが3点台ながら獲得。自身唯一のタイトルとなった。2007(平成19)年には成瀬善久が獲得。防御率1.817は球団歴代3位の好記録だった。
 近年では2016(平成28)年に石川歩(28歳)が獲得している。

【シーズン防御率 ベスト10】

◆1位…木樽 正明 1.722(162.0回)【最優秀防御率】1969(昭和44)年
◆2位…小野 正一 1.727(296.1回)(パリーグ2位)1957(昭和32)年
◆3位…成瀬 善久 1.817(173.1回)【最優秀防御率】2007(平成19)年
◆4位…村田 兆治 1.821(257.1回)【最優秀防御率】1976(昭和51)年
◆5位…小野 正一 1.984(304.0回)【最優秀防御率】1960(昭和35)年 ※最多勝と二冠

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