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愛された日々は消えない

某年1月14日。

最近夢見が悪い感触がある。
私の夢はいつも学生で、いつもなかなか授業が受けられない夢。
教室に辿り着けない夢。
でも今日はホームルーム的なことをしていた。
ちなみに昨日はみんなでアルトリコーダーを使い、「白日」を吹いていた。
多分発表会みたいな感じだった。
「今」が少し混ざり込んでいる。

学生の夢はいつも苦しくて、でもどこか甘美だ。
甘い色彩感と守られた世界の中で痛々しいほどの新鮮さを全身で受け止めている。
まさか鈍麻するなんて思ってもみなかった。
まさかこんなに長生きするとは思ってもみなかった。
幼い私に、あなたが過ごす日常は全く日常ではないのだと伝えても信じないだろう。
あなたの過ごした日々が私にとって一生の宝だ。
「生まれてきて良かった」と思わせる日々だ。

凍えるような天候のなかで、あなたが触れた新雪の柔らかさや、太陽の眩しさを感じたあの時や、窓に打ち付ける雨を横目に見ながら、広辞苑や物語を読み耽る静かなあの時や、友達とお菓子を作って笑い合うあの時が、私を生かしてくれている。
夢では苦痛の多い学生だったかのようであるけど、実は幸福に思えた瞬間の方が多い。
夢における苦痛の記憶でさえ私には生きる喜びとして感じられる。
過ぎ去りしさまざまの夢。
記憶は輝きを増して私に語りかける。
愛された日々(きおく)は消えないのだと。

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