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映画「天気の子」感想 若い世代から観る映画×好きな人か町か×君の名は。では

割と楽しめた映画だ。映画館で2回観たが、20代前半ぐらいまで若者とそれ以外の人で共感できるか変わると思う。好きな人を救うために東京近郊を海に沈めるかという問題だ。若いと守るもの、築いてきたものがイコール好きな人になるとは思う。わたしも大学生ぐらいまでは、恋愛作品に共感できたし、こーゆー恋愛もいいかなあとは思った。しかし、年齢を経て、キャリアとか家とかお金などが存在するとそうもいかなくなる。劇中で、小栗旬が演じたおじさんの言葉のままだ。仮に東京に仕事場も家も資産もあったら、かなり迷う。東京で仕事が制限され、不動産の価値も下がるだろう。結婚相手ならまだしも、彼女か人生か選べというのは厳しすぎる。あと、帆高と陽菜以外の人間が、二人の行為を知ったら激怒するとは感じた。東京に住むにしても、住みにくくなるし、何より、不動産価格が高い東京なら、大損をする人がいてもおかしくない。住めない地域が相当増えるからだ。本編では、瀧の祖母が広い庭付きの日本住宅から、それよりは狭いマンションの一室に移り住んでいた。達観しているならともかく、苦労して買った土地がなくなるのは辛すぎる。働く世代である程度実績や経験があると、帆高の判断はよくないかもしれない。好きな人と自分の知らない土地なら、後者を捨てるわけだ。賛否両論だと思うが、若い世代から見れば感動するかもしれないが、流石に東京が海に沈むのはどうかと感じた。

君の名は。と大きく違うのが、「好きな人を救うことで、まわりの人々まで救うのか」ということだ。君の名はでは、瀧の判断は糸守町の人々を救った。三葉とともに過ごした日々が無駄ではなく、町を救うための準備であり、覚悟だった。しかし、天気の子では、東京を犠牲にしてしまう。これが大きな違いで、君の名は。はだから王道とも言える。みんな救われて、社会人になった瀧と三葉が出会いハッピーエンドになるのだ。天気の子は、まだ大学生と高校生の帆高と陽菜が出会い、別れ、また出会うのだが、東京は水に浸かり、雨も止まない。しかも、若い二人でまだ生活力もない。ビターエンド、一般人から見たらバッドエンドだ。だからこそ、天気の子は観る人を選ぶ。

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