人や物に対する好みは人其々で、靴も然り。

この靴は過去に何度か修理させて頂いている靴で、大切に履かれている靴です。

過去に、つま先補修、ヒール交換、インソール交換、靴底剥がれで、再圧着&底縫いがなされています。

そして、今回はアッパーとソールの接着部が裂けて持ち込まれ、アッパー補修＆オールソール交換のご依頼でした。

メーカーとしては、この靴は駄目になるまで履いて貰って、新しい靴と買い替えてもらうと言う意図で製造している靴だと思います。

その為、素材も作りもその駄目になる日まで使える仕様となっており、駄目になるタイミングを過ぎると様々な不具合がでて、修理するにしても手間暇がかかり、修理費用は嵩んでしまいます。

ですので、このお客様の様にモノを大切にされるのであれば、修理前提の作りのワンランク上の靴をおおすめすべきかと思う時があります。

けど、それって人の好みを遠回しに否定している気になり何も言いません。

なんせ持ち込まれた靴がこれらな訳ですから。

同じ雰囲気の同じ製法の靴が好きで、修理しながら大切に履かれているのです。

一途な事が伝わってきます。これを見て何か言うのは野暮ですね。

私自身、癖のある車が好きで、ちょこちょこ故障もするし、リセールも難しい車に乗っていていますが、仮にメンテナンスに出した時に、整備士さんから本気で「プリウス乗っといたら」と言われたら興醒めですよ。