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素材のチカラ、デザインで活かす

by 有限会社アイ・シー・アイデザイン研究所 黒田弥生

これは何ですか?

事務所内にある棚には、模型店か古道具屋かといわんばかりに様々なものが並べてあります。一見するとガラクタに見えてしまうような部品や破片も。

でも、これらは、弊社にとって貴重な財産であり、アイデアの種となる素材や加工(製造方法)、加飾、機構などのサンプル…宝物です。

お付き合いのある工場の方からご紹介いただいた素材や、展示会などで「面白い」「気になる」と琴線にふれた素材や加工を集めています。

あえて、「常に見える」「手に触れる」ように棚におき、自らが「面白い!」「使いたい」と思っている素材を活用できるチャンスを逃さないようにしています。

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いつもよりきれいに並べてみました。

素材にひそむ力を感じる

素材や加工などの情報は、本やカタログ、WEBなど様々な媒体から手軽に入手することができるようになりました。なのに、なぜ、手元に「実物」を集めているのか…。

それは、「実物」から数字や言葉、データからはわからない細かな特徴が、「感覚」に直接伝わってくるからです。素材が肌にふれたときの温度感や感触、光の反射、つや感、重さなど、データでは感じとりにくい素材にひそむ力を「感覚」として読み取ることでクオリティをあげることができるからです。

また、デザインをご提示するときにイメージに近い素材や加工のサンプルをあわせて示すことで、より具体的なイメージをクライアントと共有できるようになります。

特に、「こんな面白い素材があるので使ってみませんか」とクライアントが使ったことのない素材や加工をこちらから提案するときは、どんなにデータや資料で説明したとしても「実物」の説得力にはかないません。

人間の感覚ってすごいな!と感じる瞬間でもあります。

素材と加工・製造が、モノづくりの鍵

私がデザインするものは、クライアントのための「商品」です。
商品は、カタチ、色、素材、加工、機能が掛け合わされて五感に訴える情報でできています。

どんなにきれいなカタチでも、素材と加工を適切に設定しなければ製品になりません。

素材や加工を理解して設計しなければ、求められる耐久性や機能性などの要件を満足できません。

市場で評価されるコストで製造できなければ、「商品」としてユーザーの手にとどけることができません。

これらすべてを決めていくのは「デザインプロセス」です。

どの素材を選ぶのか、この商品に適切な加工はどれかを選ぶことが、「モノ」を製造する重要な鍵となります。素材や製造方法が変われば、デザインも変わってしまいますしね。

いまは、安全面だけでなく、地球環境への配慮、SDGsの取組も求められているため、数多くの素材や製造方法の中から適切な方法を選ぶことは、より一層難しくなっています。モノづくりの鍵となるそれらを適切に提案するために、棚にあるサンプルたちが大活躍しています。

新しい素材や加工との出会いが、未来をひらく

新しいプロジェクトがはじまるとき、事務所の中にある「素材の宝箱」から新たなサンプルを棚に並べます。モノづくりは、「五感に訴えるリアルなデザイン」です。

この素材はどうだろう、この加工がつかえたら新しい価値を提案できるかな。と、ちょっとワクワクしながら棚にならべていきます。

私にとって、新しい素材や加工、製造方法の情報は、モノの可能性の扉をあける「鍵」です。

こんな面白い素材があるよ! こんな加工できますよ!という方、こんな素材あるけどなんか一緒に考えて!という方、ぜひ ご一報を! ワクワクしてお待ちしています!

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3DCADでデータを作成し、からくり機構などの研究をしています。


有限会社アイ・シー・アイデザイン研究所

大阪・守口市にある工業デザイン事務所。
生活用品や雑貨から産業機器まで幅広いジャンルのデザイン・設計を行う。モノのデザインだけでなく、新素材活用や技術活用の提案も得意とする。
自社商品の製造・販売から得られた知財・販売などのノウハウの提供を積極的に行い、新規事業立ち上げの支援を行う。
https://www.ici-design.co.jp/


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