見出し画像

ほんとうに人を好きになったことはあるか 日記#18

示しあわせた訳でもないのに、私が恋人と別れたのと時を同じくして、友人も恋人と別れていた。

二人とも恋愛経験豊富とは到底言えない経歴なので、ほぼ初めての別れ話(自分から振るパターン)というものを経験した結果、気力体力がすっからかんになってしまった。そのことが互いにわかってからこの日まで、失恋の痛みを共有しあいながら日々を乗りきってきたのだった。なお、この経験を通して「どんなに経験を積んだとしても、きっと別れ話は毎回ダメージがでかいはずだ」「世の中の皆さんはこのような辛い別れを経験しながらも翌朝何事もなかったかのように仕事をしているのか、すごすぎる…」といった具合ですべての恋愛経験者に頭が下がる思いになった。

遅めのランチにうどん、その後たい焼きを食べつつ映画館へゆき観たのは「窮鼠はチーズの夢を見る」。
観賞後、友人は「恭一はただのクズではないか」と言っていたが、私はなんとなく恭一のスタンスもわかるような気がしてしまった。

この人のことがほんとうに好きだ、と確信するのってどんなときだろう。

友人は恋人と付き合っている当時、お弁当を作って届けてあげたり、バレンタインの日の仕事終わりにサプライズでチョコレートを届けてあげたりしていて、私はそれを仲睦まじくていいな~と思って見ていた。でも実際のところは「会っていない日に『いま何してるかな』って彼氏のこと考えることはほとんどなかった」のだそうだ。

私は離れた場所にいる恋人のことを想うとき、あぁ好きだなぁとじんわり実感する。その人が私の意識の内に占める割合が日に日に増していくのを、わずかな気恥ずかしさとともに受け止める。
そういう瞬間を積み重ねるうちに、ほんとうに好きになっていく。これは私の場合。

彼女はどんなときにそれを感じるんだろう。
次の恋では、胸の内に宿るじんわりと温かな気持ちに気付けるといいなぁ、そんな相手と恋をして、毎日の出来事を嬉しそうに話して聞かせてほしいなぁ、と密かに願う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?