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数字とツールをコミュニティ運営の味方につけよう〜KEEN Managerをどう使う?~【2023/4/18 KEEN meetupイベントレポート①】

2023年4月18日に東京ミッドタウン八重洲にて「KEEN Meetup 春のコミュニティ祭り」と題して自社主催イベントを開催しました。イベントでは、イベントレジスト株式会社の共同創業者で現在合同会社カラフルの代表を務められている小笹文さん、ウイングアーク1st株式会社でユーザーコミュニティ「nest」を運営されている大野美枝子さん、UiPath株式会社でユーザーコミュニティ「UiPath Friends」を運営されている渡辺俊平さんにご登壇いただき、お話を伺いました。本記事では、大野美枝子さんと渡辺俊平さんの登壇セッションのレポートをお届けします。

登壇者
ウイングアーク1st株式会社 マーケティング本部 nest企画室コミュニティマネージャー大野美枝子さん
UiPath株式会社 コミュニティマネージャー渡辺俊平さん
KEEN株式会社 Customer Team Lead 佐藤志保

*以下敬称略


ウイングアーク1st「nest」、UiPath「UiPath Friends」とは

佐藤 
まずはお二人の所属されているコミュニティ・会社と自己紹介をお願いします。

大野 
私は10年ほど営業を経験した後、出産を経てマーケティング部門に移り、カスタマーマーケティング部門の立ち上げや「nest(ネスト)」コミュニティの運営に携わり、コミュニティマネージャーとしては今年で3年目になります。
弊社は純国産のソフトウェアベンダーで、海外にも拠点を有し、主にプロダクトとしては帳票・文書管理ソリューションとデータエンパワーメントソリューションの二つの軸で展開しています。
コミュニティは2018年にFacebookグループからスタートし、昨年7月からウイングアークユーザーの成功を支援する取り組みの中で「nest」という大きな枠組みを立ち上げました。
「nest」の主な活動としては、今現在2,750名のユーザー様のご登録の元、ユーザー様主導で悩み・課題解決を図るための交流の場としてポータルサイトの運営をしています。また、企業の変化・成功ストーリーを新しいユーザー様に伝えていくサクセスストーリーというコンテンツや、個人にフォーカスし企業に変革をもたらした方にデータドリブンマイスターの称号を送っています。

渡辺
私はUiPathに入社し今年で4年で、コミュニティやパートナーマーケティング、テクノロジーアライアンスを担当しています。
弊社はRPAを軸としてPC作業を自動化する、エンタープライズ自動化ソフトウェアを提供する会社で、ニューヨークに本社があり、日本法人は2017年に設立されました。グローバルカンパニーなのでコミュニティもいくつか形態があり、その中で日本で活動しているコミュニティを「UiPath Friends」と言い、主にmeetupを中心に開催しています。UiPathユーザーを中心にご参加いただき、まだユーザーではないがUiPathに興味のある方にもご参加いただいております。
UiPathのコミュニティでは基本的にユーザーさんが主役となって企画アイディアを生み出し、勉強会を開催したりしながらユーザー主体のコミュニティとして交流を促進させています。我々のコミュニティでもMVP制度を行い国内では10名が認定、またコミュニティの成長と発展に貢献してくれたユーザーさんをUiPath Friends Loversと称した表彰をしています。、イベントは全てYouTubeでライブ配信やアーカイブ公開を行い、定期的な自主学習の場である「もくもく会」ではお悩み相談やUiPathの推進や開発について各自で学習をしていただいています。


コミュニティ発信のコンテンツを他部署の施策とも連携させビジネスゴールの達成を目指す

佐藤
ありがとうございました。
それではお二人にいくつか聞いていきたいと思います。
まず、コミュニティのビジネスゴールをどのように考えているのでしょうか。やはりコミュニティを運営しているといかにユーザーさんに楽しんでもらえるかという視点に立つと思うのですが、そことどのようにビジネスゴールを結び付けているかをお聞きしたいです。

渡辺
はい。UiPathではコミュニティのSPACESモデル(Support、Product、Aquisiotion、 Contribution、Engagement 、Successの頭文字をとったコミュニティのフレームワーク)を活用して、ユーザーさんの獲得・貢献・エンゲージメントを経てユーザー様が成功することを目標としています。このモデルを基に、コミュニティがあるからUiPathを選んだとお客様に言っていただけるような存在に昇華させていきたいと考えています。実際には、コミュニティの規模、ユーザー数、イベント回数などを指標にコミュニティ運営を行っています。弊社のコミュニティはユーザーさん主体なので、Contribution(貢献)の観点ではいかにお客様に熱量をもってコミュニティのコアメンバーとして活動してもらえるかが大切になってきます。
さらに僕が、コミュニティをやる上で気を付けていることはいろいろな施策にコミュニティのエッセンスを取り入れることです。例えば、MVPの方にイベントにご登壇いただいたり、事例に出演いただいています。また執筆いただいたブログ記事を紹介したり、、ユーザーさんが輝けるような表彰式であったり、ユーザーさんのインタビューをブログ化したりしています。

渡辺
どのようにコミュニティと他の業務を掛け合わせているかの例なんですけど、コミュニティ×パートナーマーケティングとして、パートナーの年次カンファレンスに、コミュニティで活躍されているユーザーさんに登壇していただいて、企業を超えたナレッジシェアの魅力をお話しいただきました。また、コミュニティ×テクノロジーアライアンスとして、弊社はウイングアークさんともパートナーシップのアライアンス関係を結んでおりまして、UiPath Friendsの年次カンファレンスでウイングアークさんの社内の事例をユーザーとしてご紹介いただき、また共通のユーザーさんにコミュニティで活用方法をご紹介してもらったりしています。

大野
弊社は主にパートナーセールスを主軸として、マーケティング部門としては潜在顧客をいかに顕在化させていくかということと、いかにそこを営業につなげて受注した後LTVをどれだけ最大化できるかが大切だと思っています。ただ、nestというコミュニティの役割を考えたときに、受注金額への貢献を目標とすることは難しいため、ユーザーさんの声を社内でフィードバックしていくことで、そこをキーとして新たなイベントを創出していったり、開発にもつながっていくことを目指しています。
さらにマーケティング部門だけでなく、ユーザーさんの成功を支援するというところでは、カスタマーサクセスとの役割分担もあり、全体的には、カスタマーサクセスが注力しているハイタッチ・ロータッチの部分でカバーしきれないユーザーさんに、いかにnestを通じて情報を伝えていくか、という協力体制で今年からカスタマーサクセス部門とより連携を深めることができています。これから具体的にどう役割分担をして施策を回していくかということに関しても、コミュニティの社内の理解が深まってきているのかなと感じます。

佐藤
ありがとうございます。お二人のお話の中で部門間の連携というお話がありましたが、マーケティング部門とカスタマーサクセスや広報との連携はまだまだ可能性がとてもある領域だなと感じました。

Excel管理でユーザー情報を完全に把握し運用するのは困難だった

佐藤
ここからは実際にコミュニティの中で使うツールやデータの活用について伺っていきたいと思います。コミュニティの中でいろいろなツールを利用していると思いますが、結構分散するものですか?

大野
そうですね。今ですと、コミュニケーションを取るところは、コミュニティサイト構築サービスのCommmune、イベントの集客をするところはMAツールのシャノンを利用しています。コミュニケーションの取り方についても、文字でのコミュニケーション(ポータルサイト)はCommmuneで、音声でのコミュニケーションはoViceをかなり活用させていただいております。

渡辺
うちでも発信はTwitterメインで行い、イベント集客はDoorkeeperを利用しています。

佐藤
実際にツールがばらばらだとデータが散在してしまいますよね。ウイングアークさんには今KEEN Managerをご利用いただいていると思うんですけど、その前はどの様な形でデータの統合や情報の管理などを行っていたのですか?

大野
そもそもコミュニティを引き継いだ時、コミュニティにユーザーさんがどれだけいるかということも把握できませんでした。また、半年ほど運営をしたりイベントを企画したりすれば、自然とユーザー数が増えるのかなと思っていたのですが実際は全く増えず…次第にイベントに参加してくれるユーザーさんがいつメン化(メンバーが常に変化なく見知った顔だけになってしまうこと)してしまいました。
そこでアクティブなユーザーさんを増やすために、コミュニティのカスタマージャーニーを作り、施策を検討しようと考えました。これはアドボケーター(製品、サービスを指示し、推奨してくれるユーザー)を育てるというのをひとつのゴールとして設定し、アドボケーターになっていただくためにどんなステップが必要なのか考えて作成したものです。そのための具体的な施策も1か月くらい悩んで考えました。

実際にいざユーザーさんにあてはめようと思ったときに、当時のExcelによる管理ではイベント参加回数などの定量的な情報はとれても、ユーザーさんがどういう状態なのかが一切わからなかったんです。さらにどうステップアップしていくかも追っていきたいのに、Excelに情報の漏れがあるのではということと、人的リソースの少なさゆえにかなりの工数を必要とするExcelのアップデートができずに、結果的にあれだけ時間をかけて考えた施策をほとんど打つことができずにいました。

ユーザーの状態をデータで可視化し、「熱い」ユーザーを発掘、育成できるようになった

大野
そんな中、KEENさんからKEEN Managerのお話をいただき、まずExcelの情報をKEEN Managerの方に入れることからスタートしました。結果として成果になったのかというと、見えなかったユーザーさんが見えるようになったことでした。これはものすごい効果で、ユーザーさんが今どういう状態にあるのか、コミュニティ全体を俯瞰したときにそのユーザーさんがどのポジションにいるのかが分かり、そこからさらに分解して施策をここに当てようとか、施策を当てた結果どうなったのかということがPDCAサイクルとして回せるようになったんです。

大野
KEEN Managerの中にクラスタというユーザーさんを管理していく機能があるんですけど、ちょっとお恥ずかしいことに、そのクラスタの中のスター顧客候補、つまり先程お話したデータドリブンマイスター候補となっていくネクストスターの方が43人いらっしゃいますが、そのうち13人を運営側で認識できていませんでした。さらにネクストスターにつながるマルチアクティブに至っては28人中25人認識していないという実態がわかりました。ここでは、名前はお聞きしたことあるけど実際に面識はないし、どういった風に製品を活用されているのか理解できていないという風に「認識できていない」を理解していただければと思います。この状態を知ることができたことで、次に認知していない人を知るためにどういう施策を打っていこうかという会話に繋がるかなという風に考えています。

大野
KEEN Managerの中ではユーザーさんがイベントにどれだけ参加したかという「イベントスコア」とSNSでの発信やポータルサイトでの投稿、コメントやリアクションをどれだけしたかという「シェアスコア」に、それぞれ係数をかけて算出しています。これで結構面白いのが、スターの方を上回っているネクストスターの方がいらっしゃるんです。この方の属性を一人ずつ見れるんですけど、スターになっていただくにはどういう要素が足りないのかといった会話もできるようになり、全体向けの施策と個別にターゲティングして行う施策と分けて施策を考えられるようになりました。なので我々としてはKEEN Managerを導入したことで、スター顧客を育成するというところの意味がさらに深くなった気がします。
ユーザーさん自身が発信していただくコンテンツは我々が発信するものの何十倍も濃いものです。なので、ユーザーさんのコンテンツを外に発信する機会をもっと作り、またコンテンツを発信する方々を輩出していくという活動もしていきたいと思います。一部ではnestはタレント事務所だとも言われておりまして、年一回行われるカンファレンスのイベントでは60以上のセッションがある中で、nestから輩出したセッションの満足度が非常に高く、ユーザーさんの活動が評価されることにもつながっているのでこうした活動を来年以降も続けて行きたいと考えています。

佐藤
nestはタレント事務所ということでしたが、まさにコミュニティはそういうところだなと感じます。ユーザーさんそれぞれが思いをもって参加してその中から輝くスターになる方が出てくる、コミュニティマネージャーはいかにそういった場を用意できるかということだと思います。そこにKEEN Managerをご活用いただけるのはとても嬉しいことです。
大野さんに追加でひとつお聞きしたいのが、以前営業の方やCSの方と会話するときにKEEN Managerを使うことで話が合うようになっていったとおっしゃっていましたが、具体的にどういう現象が起きたのでしょうか。

大野
今まで営業とは会社名で会話していたのですが、KEEN Managerを利用してからは、この会社のこういう人がイベントにどれだけ参加してどれだけ投稿してくれていますという「人単位」の情報を開示しています。営業と我々がリーチしている方が異なるケースも多く、我々が持っている情報の方が解像度が高いことも多いので、営業が顧客を理解し提案する際の材料を得るという点でも、「会社」ではなく、「人」で会話できるようになったのは大きいと思います。

佐藤
大野さん、ありがとうございました。
渡辺さんは今、KEEN Managerトライアルをご利用いただいておりますが、渡辺さん目線ではどうですか?

渡辺
そうですね、すごい良い話だと思っていて、うちの営業もコミュニティによく来ているユーザーさんのことは知らないケースもあり、今まではアナログでシェアしていました。そこをウイングアークさんみたいに共有できるようになると、おそらく見えないところでもユーザーさんを個人として見れるようになり、至る所でそういった会話ができるようになるのかなと思います。

佐藤
渡辺さんにもKEEN Managerを利用することでコミュニティ活動でどの様なことを挑戦していきたいかというお話を伺えたらと思います。

渡辺
そうですね、UiPathのコミュニティでは年次カンファレンスを行う月にはメンバー数が急激に増えますが、他の月には多くて50名程とあまり伸びておらず、ここをどう活性化させていくかというところを課題に感じております。施策の中でもやはりユーザーさんの発信やコンテンツが重要だと考えています。コミュニティをきっかけに発信を始める人を増やしたいため、隠れた実力者で熱い思いを込めているけど、まだご登壇いただいていない人を発掘していくのにKEEN Managerは絶対に効くと期待しています。次のスターになる素質を持っている方が実際にどの様に行動をしているのかが見えていないので、これをどう発掘してステップアップさせていくかというところでKEEN Managerを活用していきたいと考えています。

佐藤
お二人とも本日はありがとうございました。

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