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不健康なバイアスを意識する

バイアス(英語:bias)
傾向、偏向、先入観、データ等の偏り、思考や判断に特定の偏りをもたらす思い込み要因、得られる情報が偏っていることによる認識の歪み
(実用日本語表現辞典)


 制度だけでは変われない
「無意識バイアスが日本の女性活躍を妨げている」
 
https://www.dhbr.net/articles/-/6543  

元ほぼ日の篠田さんが書かれた論文です。ご自身が無意識バイアスどっぷりの男性社会で、女性として、妻として、母として、ご自身の「キャリア」を築いてこられたからこその、本質的な問題提起、そして、とてもわかりやすく、示唆に富む提言内容で、正直なところ、バイアスについてあまり深く考えてこなかったんだということに気付かされました。

 
以下、私の学びです。

バイアスというのはあって当たり前だし、バイアスがある中で、公明正大に、市場性が機能していて、100人100通りに本人が希望する選択肢を選んでいけば世の中いい感じになるんじゃないかと思っていたのですが、これを読んで、現状の環境が既に歪んでいるとしたら、その歪んだ環境によってバイアスがかかっていることになるので、その環境から不利益を被っている本人にもバイアスがかかっていて、そうなるといつまでも歪んだままになるんだと理解しました。

つまり、世の中には不健康なバイアスと健康的なバイアスがあるんだと。では、それが歪んでいるのかいないのかはどう判断するのか。究極のところ「正」がわからなければ「歪み」もわからないのですが、私なりの基準としては、遺伝子的に、もしくは、自然の摂理としてあるがままになるのが「正」で、人間が後から作り出した環境によるものが「歪み」なのかなと。つまり、社会生活における、男女、人種、貧富の差による差別、もしくは、機会の不平等。これらが「歪み」であり、これらを先ずは正しくしてからでないと、健康的なバイアスが生まれないんだと思いました。人のカラダに例えると整体みたいなものかなと。

篠田さんは、その整体のステップとして(そうは書いてませんが…笑)、

バイアスの存在を知る
自分のバイアスを知る
バイアスを意識してコントロールする

の3つを上げています。おそらく今の姿勢で心地よい人(このバイアスで利益を得ている人)は、そもそもの歪みを知ろうとしないし、歪みを知ったとしても、痛くもないので、特に何もせずに終わる。なので、この姿勢を辛いと少しでも感じている人(不利益を被っている人)が、「姿勢(バイアス)が原因だ」ということを知り、「自分の姿勢(バイアス)」を知り、その姿勢をコントロールすることで正しい姿勢に戻していこうよ、と言ってるのかなと。ま、それが自分の姿勢だけならいいのですが、普段から使っている椅子や机も自分にあったものにしないといけないので、その環境を提供する経営者や上司などにも呼びかけようということですかね。逆にわかりにくい?笑

あと、「バイアスを意識してコントロールする」というところで、ふと思ったのは、そもそもバイアスが強くかかる言葉とそうでない言葉があるんじゃないかなと。人はカテゴライズして総称することでコミュニケーションを効率的にする傾向があると思うんです。男性と女性、日本人とアメリカ人、関西人と関東人などなど。これは普段の会話をしているときはそれほど問題にもならないのですが、一人一人のことを考えると、かなりバイアスのかかった表現で、その言葉を使っている人に無意識のうちに個性を見失わせてしまいます。

例えば、人の個性を表現する際に、
 
「男性で、日本人で、関西出身で、B型の山田理さん」
 
としたときに、バイアスが強くかかる言葉が入っていると、そのように表現された個性に結局はバイアスが残る可能性があるということ。「男性なんで仕事中心なはず」「日本人なんで協調性があるはず」「関西人なんでおもしろいはず」など。

つまり、強いバイアスもしくは機会の平等を妨げるバイアスが存在しないような表現を使うようにすると、不健康なバイアスが薄らいでいくのではないかなと。
 
「仕事中心のライフスタイルを好み、力仕事や体力にもそこそこ自信があり、話すのが得意な山田理さん」
 
というような表現にしていけば、健康的なバイアスにならないかなぁと思ったり。

言うがやすしですが、このような表現は、意外と人を評価する際の定形のフォーマットに組み込まれていたりするので、「意識的に」健康的なバイアスになる表現を組み込むようにしていけば、身近なところから変えていけるかも。

無意識バイアスについてここまでわかりやすく書いている本や論文はなかなか少ないのでマネジメントや制度をつくる側にいる方にはオススメです。ということで、私自身も先ずは無意識バイアスを意識することで不健康なバイアスをやっつけていきたいなと思います。

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