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「NEJMが接種中止を提言」は誤り

[2023/4/23更新]
「NEJMが接種中止を提言」は誤り。
”Perspective”とあるので、査読論文ではない。NEJMの見解でもない。”If that happens”とあるので、仮定の話であり現状の否定ではない。“ all symptomatic infections in healthy”とあるので、全員ではなく高齢者を優先、つまり「接種中止を提言」は誤り。

【解説】
 NEJM掲載のOffit氏著レビューを誤読して「あのNEJMがワクチンの接種中止を提言した」と拡散された。原文をよく読めば誤読だとわかる。
 “
Perspective”なので、これは査読論文ではなくレビューである。Offit氏の意見であり、NEJMの見解ではない。内容も既出のもの。(Offit氏のレビューが誤りだとか軽いとかいう意味ではない。念の為…)
 「接種中止を提言」は単純な言葉の切取りによる誤解。前文をよく読めば「重症化防止が無効になる変異が起これば」という仮定の話の続きであるとわかる。今回の反省として、今後も変異と開発のイタチごっこを繰り返すなら、緊急度の高い高齢者やリスク保有者を重点的に接種し、健康な若者の接種は直ぐに次の変異で時代遅れになるから中止すべきという優先度を述べたものである。
つまり「NEJMがワクチンの効果を否定したから接種中止を提言した」ということではない。

◾️NEJM(2023/1/11)
[Perspective] ”Bivalent Covid-19 Vaccines — A Cautionary Tale”
https://www.nejm.org/doi/pdf/10.1056/NEJMp2215780

以下、原文より関連部分の抜粋(自動翻訳)。

”Perspective” 
 “Perspective”は個人の意見であり、査読は無く編集の権限で掲載されるもの。NEJMの見解でもない。科学的な議論を深める為のものなので、反対意見も含め様々な立場の見解が掲載される。
”Fortunately, SARS-CoV-2 variants haven’t evolved to resist the protection against severe disease offered by vaccination or previous infection. If that happens, we will need to create a variant-specific vaccine.”
 幸いなことに、ワクチン接種や過去の感染による重症化防御効果を崩すような変異株には進化していない。もしそうなった場合は、特異的なワクチンを作る必要がある。
“Although boosting with a bivalent vaccine is likely to have a similar effect as boosting with a monovalent vaccine, booster dosing is probably best reserved for the people most likely to need protection against severe disease — specifically, older adults, people with multiple coexisting conditions that put them at high risk for serious illness, and those who are immunocompromised. In the meantime, I believe we should stop trying to prevent all symptomatic infections in healthy, young people by boosting them with vaccines containing mRNA from strains that might disappear a few months later.
 二価ワクチンの追加接種は一価ワクチンと同様の効果が期待できるが、それは重症化の防御を最も必要とする人々、具体的には高齢者、重症化リスクの高い複数の疾患を併せ持つ人々、免疫不全の人々に対して行うことが最善と思われる。一方、健康な若者に、数ヵ月後には存在しなくなるかもしれない新たな変異株の為のワクチンを接種して、症状のある全ての人の感染を防ごうとするのは止めるべきだと思う。

【追記】
ワクチンや治療薬の有効性・安全性については自己でご判断ください。当方は、皆さんが正しい情報を基に判断できるよう、デマの指摘に努めます。