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炭酸 発散 バブルマン――2023/08/01

一時的に、ブームになる謎の炭酸飲料というのは、いつの世代にもある。

私が小学生の頃、
ほんとうに短い間だったが確実に流行った炭酸飲料。

それが「炭酸 発散 バブルマン」だ。

キャッチ―なTVコマーシャルによって、
それはもう、小学生にバカ受けだった。

誰かがCMソングを口ずさめば、みんなキャラクターの謎の動きをマネする。

CMは強烈だったが、実際に飲んでみると、割と無個性な炭酸飲料。
「ガムみたいな味」と言われるタイプの飲み物。

早い話が、ファンタの下位互換だ。

このバブルマンという飲み物について、
ひとつの都市伝説のような噂があった。

それは、
「バブルマンは、振って飲む方が美味い」
という説だ。

- 振って飲むと炭酸が泡立ってよりおいしくなる
- ふわふわになる
- 逆に炭酸が強くなる
- バブルマンという名前は、飲む前に振ることで「泡」を楽しむ飲み物だから
- キャラクターの奇怪な動き(カンチョーのような手の組み方をしながら体を揺さぶる)は、飲む前にペットボトルを振ることを表現している

特に下の二つは、小学生の私にとって妙な説得力があった。
結論から言うと、完全にデマである。
当たり前だが、炭酸飲料なので、振っても吹きこぼれるだけだ。
手や、真夏のアスファルトがびちゃびちゃになるだけで、
炭酸も弱くなるし、美味しくなることもない。

それでも、私は、自分の振り方が悪いのでは?
どうにか上手に振ることで、
何か変化が起きるのでは?と思っていた。


静かに振る、開封前に振る、いろいろ試しながら、何度も吹きこぼれさせていた。

炭酸ジュース自体、あまり好きではなかったのに、バブルマンは何度も買ったのを覚えている。


結局、味はファンタの方が美味いし、
「振って飲む」ことに何度も挑戦している愚かな奴は俺以外にいなかった。

そしてパッケージとCMが小学生にウケただけの、
凡庸な炭酸ジュースは、
私の周りでは2ヶ月くらい流行って、話題に上がることはなくなった。

その後、2年で終売になったらしい。
炭酸飲料の入れ替わりは早い。

余談だが、その後、私が中学生くらいの頃に

ファンタの「ふるふるシェイカー」が発売された。

炭酸のシュワシュワ感がある、「ゼリー飲料」だ。

ここではじめて、
「振って飲む炭酸」という新しいジャンルが確立されたのだ!!

まあ、そりゃ、炭酸を振るんだったら、
ゼリーにするくらい大胆な工夫をしないと噴きこぼれるわな。

「振って飲む炭酸」の正解を見せつけられたことで、
「バブルマンは振って飲むと美味い」という噂は本当にデマだったと、
自分の中で合点がいくとともに、
なんだか負けた気分になった。



夏に炭酸を飲むと思いだす。


あの宇宙人たちは、今も宇宙のどこかで元気にしているだろうか。


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