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Day 0 ロンドンへの誘い

旅のきっかけ

思い起こせば半年前くらいになるだろうか。息子が大学の夏休みにロンドンへ行きたいんだけど、一緒に行かない?と話してきた。旅を楽しむには、世の中落ち着いて来た時期でもあるし、若い時に過ごしたロンドンへ行ってみたい。とても懐かしく、そして会いたい人への想いはどんどん高まっていった。

ロンドン郊外に住む親戚Yasukoが日本に一時帰国した。息子にも私にも、ぜひおいでと呼びかけてくれた。嬉しいお誘いだ。
気になるのは旅費だ。航空券代は上がってきたし、円安も止まらない。ホテル代は親戚を頼れるにしてもいったい旅費はいくら位になることだろう。なるべく安く済ますために航空券情報をスマホで日々チェックした。
そして日程。自分が経営する店を休まなければならない中で、休みは最小限かつ旅程はなるべく長く、そして身体に負担がかからない時間の便を考え出発日は9月4日月曜日とした。

航空券手配

JALのセールに数日気づくのが遅く、逃してしまったのは痛かった。日本に住むYasukoの娘はこのタイムセールで20万円で購入出来たという。直行便で行くのが私の年齢を考えれば理想なのだが、羽田空港からの朝出発する便に乗るには、朝6時過ぎには出かけなくてはならない。ならば経由便でも乗り継ぎ時間がなるべく短く、そして安くなるのならそれもありだなと思った。すると面白いルートを見つけた。成田空港から夜遅くに飛ぶフィンエアーとJALの共同運航便を利用するとヘルシンキヴァンター空港経由で、ヒースロー空港には翌日の朝に到着するので最大限滞在期間を伸ばせる。帰りはヒースロー空港から羽田空港への直行便だ。これなら出発日を1日早めて3日日曜日でも身体に負担がかからない。朝便は太陽を追いかけて行くようなものなので、その日の夕方に到着するのに対して、夜便はずっと真っ暗(今時分の北極圏を通過する頃にはずっと明るいが)。しかも仕事柄夜型人間の私は、ロンドン時間の方が日本よりも生活時間よりも近い。機内食やお酒を楽しみぐっすり寝れば、ヘルシンキにつく頃には朝だ。航空券代金も30万円を切る。あとは航空券をいつ買うかだ。燃油サーチャージ、他の航空券のセール情報ともにらめっこして出発の3ヶ月前に購入した。購入後も値段を調べていくと、それが底値だったようで、それ以降どんどんと値上がりし、最後には売り切れとなっていった。
ロンドンでの滞在期間は4日月曜日朝から10日日曜日の夕方までの6泊9日機中泊2泊。息子は私よりもひと月前に行き、私の帰国よりも2週間後に帰国。55日滞在する予定で彼も航空券を手配した。

フィンエアー

パリへの想い

滞在中ずっとロンドンで過ごすのも良いが、今やユーロスターで2時間半のパリへの旅も楽しそうだ。かつて私がパリに行った時はドーバー海峡をフェリーで渡ったので6、7時間かかったのではなかったのかと。日帰り旅行だって出来るのだが、どうせなら一泊しても良いなと思っていた時だった。

1991年9月
ドーバー海峡を臨む

パリへの誘い

私の店のお客さんが、パリに住む友達が来日する際、彼を私の店に連れてきて日本の居酒屋を楽しんでもらいたいという。こちらとしては、こんなお店で良ければ大歓迎だ。そして来店し沢山料理を食べてもらった。中国生まれフランス育ちの彼に、調理後に来店の挨拶をし、もしかするとパリに行くかも知れないと伝えると、その時はぜひ一緒に食事をしようと誘ってくれた。私としては社交辞令と捉えていたが、後日お客さんを通して、メールで「あの居酒屋のマスターはいつパリに来るのか?」と伝えてきた。まだまだ社交辞令だと思っていたら今度は、「友達(中国人)が経営しているラーメン屋に行って、日本食のアドバイスをしてあげて欲しい」と言っているらしい。アドバイスだなんて、ちゃんと修行もしていない私に何が教えられると言うのだろうか。とんでもないことだと思うのだが、うちのお店のお客さんの言うには「マスターいつもラーメン食べてるじゃないですか!」と。そして中国人が作る日本料理なので、何かヒントが欲しいのかも知れない。もうこうなったら、流されるようにしよう。面白そうなことに巻き込まれるのは楽しい冒険だ。

1991年9月
エッフェル塔

シャカタクライブ

私が中学1年生の頃、シャカタクというフュージョン(ジャズとロックの融合)のバンドが流行った。中でもナイトバーズは当時洋楽を聞いていた方には馴染みがあることだろう。聞いていなくても耳にしたことのある方も多いだろう。


この曲の他にも男女七人夏物語や秋物語の挿入歌にもシャカタクの楽曲が使われたりした。
昨年、シャカタクのライブをビルボードライブ横浜で楽しんだ。そのことをふと思い出し検索すると、予定している滞在期間中にハンプトンと言うロンドンの隣の街のライブハウスで公演があるのを見つけ、これは!とオンラインで予約した。

滞在予定期間中に見つけた
シャカタクのライブ

ロンドンでゴルフ

私が当日22歳、ロンドンにあったある日本食レストランでアルバイトをしていた。その店で寿司を握る大将(後に独立。そして現在は引退)に今回渡英する旨連絡をしてみた。今は入院中だが、元気だという。奥さんに滞在期間中に1人でゴルフのプレーをしたいので良いところを案内してもらいたいと伝えると、私の会員になっているコースでご一緒しましょうと嬉しいお誘い。そしてその後に大将のお見舞いに行きましょうと。逢いたい人に会え、楽しみたいことを楽しめる、こんな旅の骨格が出来上がった。

1991年8月
スコットランドでのプレー

こうして指折り数えた出発の日が近づいてきた。


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